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大手損害保険グループ3社は19日発表した、ことし4月から9月までの中間決算で、今年度の台風や浸水など自然災害の被害に対する保険金の支払い額の見込みを公表しました。

それによりますと、9月の台風15号と、先月の台風19号の被害に対する保険金の見込み額は「MS&ADホールディングス」が3650億円、「SOMPOホールディングス」が2720億円、「東京海上ホールディングス」が2318億円で、3社合わせると8600億円を超えています。

さらに、8月に起きた九州での豪雨被害や、毎年発生している雪の被害分を含めると、今年度の保険金の支払い総額は、3社合わせて1兆円規模となる見込みです。これまで最も支払い額が多かった昨年度のおよそ1兆6600億円に次ぐ規模で、ことしの自然災害の被害の大きさがうかがえます。

また、保険金の支払いが想定を超える見込みのため、3社ともに今年度の経常利益の見通しを下方修正しました。

大きな自然災害が相次いだことで火災保険や地震保険は、このところ値上げが相次いでいます。

火災保険の保険料は将来、災害が起きる確率などを都道府県ごとに計算し決まります。台風被害や河川の氾濫による水害などが相次いで保険金の支払いが多くなれば、災害が起きる確率も上がり保険料が上がることになります。

保険金の支払い額は最近、増える傾向で、損害保険協会によりますと、2014年は関東地方に降った大雪の被害で3224億円、2015年には台風15号による豪雨被害で1642億円にのぼりました。

また、去年2018年は大規模な災害が相次ぎ、西日本豪雨で1956億円、関西地方を襲った台風21号では、これまでで最も多い1兆678億円、静岡県や神奈川県などで停電が広範囲に及んだ台風24号では3061億円の保険金が支払われました。

こうした自然災害によって大手損害保険会社は、2015年10月に保険料を全国平均で2%から4%値上げしたのに続いて、ことし10月にも全国平均で6%から7%の値上げを実施しました。さらに再来年の1月にも値上げする見通しです。

また、地震による被害も相次いでいることから各社は「地震保険」の保険料も2014年7月、2017年1月、ことし1月と値上げし、再来年1月にさらに値上げすることにしています。

火災保険の契約者が支払う保険料は、細かくみると「純保険料」と「付加保険料」の2つに分かれます。

純保険料は、災害が発生した際、契約者への保険金の支払いに充てられ、一方の付加保険料は、保険会社の経費などに充てられます。

そして契約者への支払いに充てられる保険料をいくらにするかを決める際の目安の指標になるのが「参考純率」。第三者機関が将来、自然災害が起きる確率や、予測される保険金の支払い額などを都道府県ごとに計算して決めます。

自然災害が相次ぐと災害が起きる確率が計算上高くなるため、目安の指標が上昇し保険料も値上がりすることになります。

去年は、西日本豪雨や台風21号で大きな被害が出たため、全国平均の目安の指標が上昇し、損害保険会社は再来年1月に保険料を値上げする予定です。ことしの台風15号や19号の被害が今後、目安の指標に反映されると、さらなる値上げがまた行われる可能性があります。

一方、保険会社の経費に充てられる付加保険料は、損害保険会社が独自に決めています。人件費などのコストを抑えることができれば、保険料の大幅な上昇を抑えることもできます。

現在、損保各社は被害現場にドローンを飛ばして効率的な被害確認を行ったり、衛星写真で被害範囲を把握したりして人件費の削減も進めています。保険料の相次ぐ値上げで契約者の負担が増える中、コストの削減が課題になっています。

火災保険の保険料は、地域によって災害の発生状況が違うため、都道府県や建物の構造によって異なります。

損保ジャパン日本興亜の試算によりますと、東京都にある耐火構造の一戸建ての住宅で、建物に2000万円、家財に1000万円の火災保険をかけた場合の保険料は、この4年間で5000円程度高くなっています。

具体的には、2015年9月までは保険料は、1年間で建物が1万7000円、家財が1万8000円で合わせて3万5000円でした。

2015年10月以降は、建物が1万4000円、家財が2万2000円になり、合わせて3万6000円に。さらに先月以降は、建物が1万7000円、家財が2万3000円で合わせて4万円となっています。

去年の台風21号や台風24号の被害を踏まえて、2021年1月に全国平均の保険料は再び値上がりする見通しです。

東京都、大阪府、愛知県の大都市圏に加え、熊本県や宮崎県などでは値上がりする見通しですが、静岡県や福岡県など値下がりする地域もあります。