https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

 今季の優勝が絶望的となった阪神タイガースで、“球団お家芸”のストーブリーグが早くも開幕している。

 10月9日に揚塩健治・球団社長が今季限りでの辞任を発表。3月に藤浪晋太郎ら3選手、9月25日には糸原健斗ら5選手とスタッフ4人の計9人の新型コロナ陽性が判明。「チーム内に感染者が相次いだことの責任」と説明したが、発表までの経緯は奇妙だった。

「辞任発表前々日(7日)の夕刊フジ、前日(8日)には系列のサンケイスポーツに、阪急阪神HDの角和夫CEOのインタビューが載った。そこで角氏は“球団の管理責任が問われる。慎重に調査したうえでけじめをつけるべきです”と苦言を呈していた。この発言を受けたかのように、揚塩社長が辞任会見をした。規則を破って会食した福留孝介ら11人に制裁金を科したのも、角発言を踏まえての措置でしょう。

 阪急と阪神は2006年に経営統合したが(阪急が阪神連結子会社化する形で阪急阪神HDが発足)、タイガースは阪神の子会社ということもあり、その後も球団オーナーには阪神出身者が就任し、“阪急側は口を出さない”という不文律があった。ただ、阪急が口を出さないのは“統合から10年間”という条件もあったといわれる。阪急出身(阪急電鉄の元会長)の角CEOが球団への“処分”に言及したことで、タイガース関係者は“ついにその時が来たか”と震えたはずです。

 集団感染にフロントの管理責任がゼロとはいえないが、そもそもの原因は選手らの規則破りにあり、このレベルの問題で社長が辞めるのは過剰に思える。にもかかわらず揚塩社長が早々に辞任を決断して幕引きを図ったのは、“あまり抵抗すると、今度は阪急サイドが監督人事にまで介入しかねない”という懸念があったからでは」(全国紙経済部記者)

 辞任会見で揚塩社長は、「フィールド外(の問題)についてはフロントトップである私の責任です。監督には責任はないとオーナーに伝えた」と語り、矢野燿大・監督の去就には発展しないことを強調した。

 が、そんな“親心”は台無しになる。10月12日発行の夕刊フジが、広島遠征中に矢野監督が選手らを飲食店に連れ出してミーティングをしていたことをスッパ抜いたのだ。同紙は角CEOを再直撃し、「ルール違反は問題。内部調査をしてもらわないと不公平になる」とのコメントを掲載した。

 一方、10月13日付けの在阪スポーツ各紙は阪神タイガースの藤原祟起オーナー(阪神電鉄元会長)を直撃し、「矢野監督続投」のコメントを引き出した。矢野監督の責任を巡り、阪急出身者と阪神出身者がマスコミを介して激しく綱引きしている。

 タイガースを長年取材してきた元デイリースポーツ編集局長の平井隆司氏が語る。

「阪急阪神HDのトップがスポーツ紙の一面でタイガースについて言及するのは初めてのこと。これでいよいよ阪急がタイガースに関与してくるのかな……という空気を感じます。阪急出身者がオーナーや球団社長に就任する可能性も出てくるかもしれない」

 阪急サイドが本格的にフロントや人事に関わってくるとすれば、どんな事態が予想されるのだろうか。虎番記者はこんな見方をする。

「規律を守らなかった選手への“懲罰トレード”は大いにあり得るでしょう。3月に部外者を含む複数の関係者と会食して感染した藤浪、伊藤隼太、長坂拳弥は、それ以前から活躍が物足りなかったこともあり、放出される可能性が高まっている。9月の集団感染グループに含まれる若手の糸原や木浪聖也は“免罪”されそうだが、彼らを引き連れていった球界最年長の福留孝介が引退に追い込まれるかもしれない」

 対象は選手だけではない。

「矢野監督は3年契約の2年目ですが、監督に抜擢した揚塩球団社長の辞任で後ろ盾を失い、かなり立場が危うくなった。阪急OBの山田久志氏や福本豊氏などが監督、ヘッドコーチ、あるいはGMの候補として名前が挙がりそうです」(同前)

 親会社の経営統合劇と同じく、阪急が阪神を呑み込む展開となるのだろうか。

#スポーツ