https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

WTO世界貿易機関の新しい事務局長にナイジェリアの元財務相が選ばれ、およそ半年にわたるトップ不在の状況が解消されることになりました。

WTOは15日、加盟国の臨時の会合を開き、新しい事務局長にナイジェリアのオコンジョイウェアラ氏を選びました。

オコンジョイウェアラ氏はナイジェリアの財務相や外相、そして世界銀行でナンバーツーの専務理事を歴任したことで知られ、WTOのトップに女性として、またアフリカの出身者として初めて就くことになります。

WTOでは加盟各国の合意で事務局長を選びますが、アメリカのトランプ前政権が韓国の候補者を推したためこう着状態に陥りました。

しかし今月、韓国の候補者が立候補を取り下げ、バイデン新政権も方針を変えたことで決着に至りました。

就任は来月1日の予定で、自由貿易体制の中心となる国際機関で去年8月の前事務局長退任後、およそ半年続いてきたトップ不在の状況が解消されることになりました。

オコンジョイウェアラ氏は会合で「新型ウイルスの感染拡大で経済が打撃を受ける今こそ開発途上国を含むすべての加盟国が公正な貿易ができるよう国際的な連携を強化しなくてはならない」と述べました。

WTOでは貿易紛争の解決にあたる「上級委員会」で委員を選出できず機能停止に陥っているほか、今の貿易問題に沿った改革が求められていて、新しいトップのもと多くの課題への早急な対応が求められることになります。

WTOの新しい事務局長に選ばれたオコンジョイウェアラ氏は会合のあとの記者会見で「何よりも新型コロナウイルスの問題に焦点を当てるべきだ。WHO=世界保健機関など貧しい国へのワクチンの供給を広げようとしている組織と協力する必要がある」と述べました。

そのうえで「ワクチンを囲い込む動きには意味がなく、世界全体の問題として考えるべきだ」と述べて、WTOとして輸出を制限する動きを監視するなどしてワクチンをめぐる格差の是正に取り組む考えを示しました。

日本政府は、事務局長に求められる資質として公正中立であることや国際機関などでの実績、それに加盟国をまとめるリーダーシップがあることなどを挙げていました。

オコンジョイウェアラ氏は、アメリカのハーバード大学などで学び世界銀行の専務理事の経験もあることなどから日本政府は、「要職で培った深い知見・経験をもとに、主要国間の調整能力や国際機関の運営手腕を発揮し、加盟国と連携・協力しながら、山積するWTOの諸課題に取り組むことを期待する」として歓迎しています。

今回の後任選びでは最終的に韓国の産業通商資源省のユ・ミョンヒ通商交渉本部長との争いになりました。

韓国は、半導体などの原材料について輸出管理を厳しくした日本の措置をめぐってWTOに提訴し、ユ本部長も国際会議の場などで日本を批判してきました。

WTOの事務局長は、個別の紛争には関与しないとされユ本部長も「事務局長は特定の国家を代弁するポストではない」と述べていましたが、日本政府内には公平性などの観点から懸念する声も上がっていました。

今回、オコンジョイウェアラ氏が選ばれたことで、日本が紛争の当事国となった際に不公平な扱いを受ける事態はひとまず避けられたという受け止めが広がっています。

WTOをめぐっては、関係国の紛争を迅速に解決する本来の役割を果たせていないとして、日本を含め各国が改革の必要性を訴えています。

WTOの手続きでは、当事国の協議で貿易をめぐる紛争を解決できない場合、1審にあたる小委員会、2審にあたる上級委員会で審理が行われます。

このうち、上級委員会については、審理期間の長期化や訴えにない論点を審理するケースがあるなどとして本来の役割を果たせていないといった指摘が加盟国から出ています。

このため、日本政府は、オーストラリアやチリと共同で、WTOに対して90日以内となっている上級委員会の審理の期限を守ることや、必要な論点に絞ってルールに基づいて審理を行うことなどを求めています。

また、上級委員会の紛争解決の判断に強い不満を持つアメリカの反対で上級委員会の新しい委員の選任ができず、おととし12月からは紛争解決の機能が事実上、停止しています。

こうした事態を打開するためには、アメリカも含め加盟国全体が納得するような改革が必要になります。

このほか、自国の産業を保護するため輸入品に対して高い関税を課すことが認められるなどの途上国に対する特別な待遇の扱いや電子商取引やデータの流通などに関する国際的なルール作りも課題となっています。

d1021.hatenadiary.jp