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イラン議会では21日、今月就任したライシ大統領が指名した19人の閣僚人事の審議が行われました。

はじめに、今回の閣僚人事について、ライシ大統領は「国民の生活を向上させるとともに、国益に基づいた国際関係の構築を目指すものだ」と説明しました。

外相には、欧米への厳しい姿勢で知られる、アブドラヒアン元外務次官が指名されています。

アブドラヒアン氏は、外交官として中東地域を一貫して担当してきたほか、精鋭部隊の革命防衛隊との関係が良好だと指摘されていて、ライシ大統領は「知識も経験もある。外交分野で信頼に足る人物だ」と訴えました。

イラン政府は、イラン核合意の立て直しに向けて、ことし4月からアメリカとの間で協議を続けてきましたが、保守強硬派となった新政権との交渉は、さらに難航することも予想されます。

閣僚人事をめぐっては、今後、議会で数日間の審議が行われたあと信任投票が行われ、新政権が本格的に始動することになります。

中東地域を歴訪している茂木外務大臣は21日、日本の外務大臣として15年ぶりにイラクを訪れ、首都バグダッドでサレハ大統領、カディミ首相、それにフセイン外相と相次いで会談しました。

一連の会談で茂木大臣は、イラク戦争や宗派対立などで混乱したイラクの改革と成長の努力を国際社会とともに引き続き支えていくとしたうえで、今後も幅広い分野で両国の関係を発展させたいという意向を示しました。

そして、エネルギーの安定供給や雇用の創出につなげるため、イラクの製油所の改良プロジェクトに関連して、327億円を限度とする円借款を行う方針を伝えました。

また茂木大臣は、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現は、中東地域の発展にも資するものだと説明したのに対し、サレハ大統領らも賛意を示し、日本と協力を進めていく考えを示しました。

茂木外務大臣は、国際協調路線のロウハニ前大統領に代わり、今月正式に就任した反米・保守強硬派のライシ大統領と1時間近くにわたって会談しました。

この中で茂木大臣は日本とイランが築いてきた伝統的な友好関係をいっそう強化するとともに、ワクチンの供与など新型コロナウイルス対策などでさらに協力していきたいという意向を伝えました。

また核合意の立て直しに向けたアメリカとイランの間接的な協議が中断していることを踏まえ、核合意への早期復帰に向けて建設的に取り組むことが重要だという認識を伝えたうえで、中東地域の緊張の緩和と情勢の安定化に向けて貢献するよう求めました。

一方、アフガニスタン情勢をめぐっても意見が交わされ、茂木大臣はアフガニスタンの隣国であるイランの役割は極めて重要だと指摘し、情勢がさらに不安定化しないよう連携していくことで一致しました。

会談のあと茂木大臣はオンラインで記者団に対し「イランやトルコなどはタリバンとさまざまなルートを持っている。情勢は刻々と動いており、適時適切に連携していくことをこれまで訪れた各国との間で確認した」と述べました。

イラン大統領府によりますと、ライシ大統領は茂木外務大臣との会談で経済や貿易分野での両国関係の発展が重要だとの認識を示したということです。

一方、イラン核合意については「一方的に合意から離脱して制裁を科し、約束を果たしていないのはアメリカだ」と述べてアメリカを非難しました。

またアメリカの制裁の影響で日本にあるイランの資産が凍結されているとして「凍結解除を遅らせることは正当化できない」と述べて、日本に対し解除に向けた対応をとるよう求めたとしています。

そしてアフガニスタン情勢については「アフガニスタンの平和と安定を支援していく」と述べたほか「アメリカは20年かけてアフガニスタン駐留が誤りだったと認識した」と述べたということです。

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