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発達した積乱雲が次々と連なって大雨をもたらす「線状降水帯」が発生するおそれのある場合、気象庁は半日から6時間前までに気象情報の中で伝える取り組みを1日から始めます。
全国11の地方ごとに警戒が呼びかけられますが精度はまだ限定的で、気象庁は危機感を高めるために活用してほしいとしています。

呼びかけは「関東甲信」や「九州北部」など全国11の地方ごとに行われ、地方や府県ごとに出される「気象情報」の中で“線状降水帯が発生する可能性がある”という文言が盛り込まれます。

ただ、過去の事例からみると、情報が出ない中で線状降水帯が発生するいわゆる“見逃し”は3回に2回程度あり、“的中率”も全国で2回に1回程度、地方単位では4回に1回程度にとどまるとしています。

気象庁は「現状で正確な予測は難しいが、呼びかけをするときには大雨になって状況が急激に悪化する可能性は高いと考えている。情報が出されたら危機感を高めてもらい、ハザードマップや避難場所、避難経路を確認するなどして、災害に備えてもらいたい」としています。

気象のメカニズムに詳しい名古屋大学の坪木和久教授は、現状の科学技術レベルでは線状降水帯の予測は非常に難しく、見逃しが多いなど、課題は多いと指摘したうえで、「情報が出ていないからといって安全・安心ではないという認識が必要だ。また、情報が出るときは大気の状態が不安定で、非常に危険な状態にあると認識してもらい、ほかの気象情報や気象庁の危険度分布などをもとに適切なタイミングで避難につなげることが重要だ」と話しています。

線状降水帯の実態解明や予測精度の向上に向けて気象庁は今シーズン、研究機関や大学と連携し、集中的な観測を実施することになりました。

観測は東シナ海を中心とした海上や西日本で行われ、海上では「ラジオゾンデ」と呼ばれる気球に取り付けた観測機器を船から上空に飛ばし、湿度や風向きなどを調べるほか船に搭載した人工衛星を使ったシステムで水蒸気量を解析するということです。

また陸上でも「水蒸気ライダー」と呼ばれる特殊なレーダーを使って水蒸気量の変化などを調べるということです。

得られたデータは参加する機関の間で共有し、線状降水帯のメカニズムの解明に連携して取り組むほか、ラジオゾンデで得られるデータなど一部は、気象庁の予報業務にも活用するとしています。

気象庁が設置している線状降水帯の予測精度向上に向けた検討会の主査で東京大学大気海洋研究所の佐藤正樹教授は「線状降水帯による大雨の被害が毎年のように起きる中、今回の集中観測でメカニズムに切り込むことができると大きく期待している。研究者としても協力したい」と話していました。

#気象・災害