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アメリカのIT大手IBMは6日、ニューヨーク州半導体量子コンピューター、人工知能などの研究開発や製造に今後10年間で200億ドル、日本円でおよそ2兆9000億円を投資する計画を明らかにしました。

この日、ニューヨーク州ポキプシーの拠点をバイデン大統領が訪れたのに合わせて明らかにしたもので、バイデン大統領は「アメリカは先進的な半導体の生産で世界をリードしていかなければならない。半導体産業の未来はアメリカで作られることになる」と述べました。

アメリカではことし8月、国内における半導体の生産や開発に日本円で7兆円以上を投じるなどとする法律が成立し、国家主導で半導体国産化を進める中国に対抗して半導体国産化を急いでいます。

半導体メーカーのマイクロンテクノロジーも4日、ニューヨーク州半導体の工場を建設し、今後20年間で最大1000億ドル、日本円で14兆円以上を投資する計画を明らかにしていて、企業の間で法律の成立を受けて巨額の投資計画が相次いでいます。

アメリカの中間選挙は4年ごとの大統領選挙の中間の年に行われる連邦議会などの選挙で、上院の100議席のうちおよそ3分の1と、下院の435議席すべてが改選されます。

バイデン大統領の支持率は今月6日時点の各種世論調査の平均で43.1%と、2か月前と比べて3.6ポイント上昇しているものの、低迷が続いており、与党・民主党は議会での主導権の維持に向けて巻き返しを図りたい考えです。

これに対して、野党・共和党は国内で続く記録的なインフレをめぐってバイデン政権や民主党の対応を強く批判しているほか、トランプ前大統領が接戦となっている州で大規模な集会を行うなど攻勢を強めています。

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のまとめでは、今月6日時点で議会下院では野党・共和党が優勢で過半数議席を確保する勢いとなっています。

また、議会上院では民主党共和党が多数派の確保をめぐって激しく競り合っています。

バイデン大統領にとっては、中間選挙で仮に共和党に議会の多数派を奪われれば政権運営は一段と厳しくなることが予想され、選挙戦は激しさを増しています。

民主党共和党が多数派の確保をめぐって激しく競り合う連邦議会上院の選挙では接戦とされる州の勝敗の行方に注目が集まっています。

政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、今月6日時点で上院の100議席のうち「非改選」あるいは「優勢」とされる議席民主党が合わせて46議席共和党は合わせて47議席とほぼきっ抗しています。

そして、東部のニューハンプシャー州ペンシルベニア州、西部のアリゾナ州ネバダ州、南部のジョージア州ノースカロライナ州、中西部のウィスコンシン州の7つの州では、最新の情勢調査から接戦になっているとしています。

これら接戦とされる州の結果が事実上、上院でどちらの党が多数派となるかを決めることになるため、両党とも選挙活動を強化していて、最終盤まで結果の見通せない選挙となることも予想されます。

また、これらの7つの州のうち、ニューハンプシャー州以外の6つの州では、いずれの共和党の候補者もトランプ前大統領が支持しています。

このため、これらの州の結果は2年後の大統領選挙への立候補に強い意欲をにじませるトランプ氏の求心力にも影響を与える可能性があり、注目されています。

アメリカ政治の今後の方向性を左右する中間選挙まで8日で1か月となる中、全米の注目を集める選挙の1つが中西部オハイオ州上院議員選挙です。
トランプ前大統領の支持を受けて選挙戦を有利に進めると見られていた共和党の候補者を民主党の候補者が猛追しています。

かつて重工業が盛んだった「ラストベルト=さびついた工業地帯」と呼ばれる地域にあるオハイオ州は選挙のたびに有権者の動向が変わる「スイングステート」=「揺れる州」とされています。

ただ最近の大統領選挙では2016年、2020年ともに共和党のトランプ氏が8ポイント差をつけて制しました。トランプ氏への支持は根強く、共和党支持者からは今も評価する声が多く聞かれます。

そのトランプ氏の支援を受けて初当選を目指しているのが共和党上院議員候補のJ・D・バンス氏です。

バンス氏は6年前、オハイオ州で育った自身の経験をもとに、製造業が衰退した地域に暮らす白人労働者層の日常を描いた回顧録を出版。トランプ大統領誕生の原動力となった白人の労働者たちの実態に迫る内容だとしてベストセラーとなり、一躍、時の人となりました。

かつてバンス氏は「トランプ氏はわたしの大切な人たちを不安がらせている」などと批判し、“反トランプ”と見られていましたが、選挙への立候補にあたって関連する批判的なツイッターの投稿を削除。

選挙戦では「トランプ氏は私の生涯で最高の大統領だ」などと支持する姿勢を鮮明にし、2年前の大統領選挙で大規模な不正が行われたとするトランプ氏の主張にも同調する発言をしています。

トランプ氏は「私の悪口を言った男だが私は勝つ人間を選びたい」などとしてことし4月に支持を表明し、これを弾みにバンス氏は激戦となっていた共和党予備選挙を勝ち抜きました。

バンス氏は演説で、トランプ氏が掲げる“アメリカ第1主義”の考えを強調するほか、バイデン政権や民主党の候補者の批判に多くの時間を割いて支持を訴えています。

取材を進めるとトランプ氏の支持はこれまで共和党を支持してきた、一部の“穏健派”と呼ばれる保守層の支持離れを引き起こしていることがわかりました。

オハイオ州の大豆農家のクリストファー・ギブスさんは長年、共和党を支持し、地元の党の組織の代表も務めてきました。

4年前の中間選挙の前に取材した際には「トランプ氏の姿勢を評価しているし、これからも支持する」と話していたギブスさんですが、対立を生み続けるトランプ氏の姿勢を受け入れられなくなり、その後、反対に転じ、共和党も離党しました。

ギブスさんは「伝統的な共和党員であった私はトランプ氏を支持した自らの判断に苦しんだ。私は間違っていた」と話します。そしてバンス氏について、「トランプ氏が望むものを何でもコピーした複製品だ。自分がどう行動するかトランプ氏に許可を得なければならないような候補者には投票しない」と話し、支持できないという考えを強調しました。

先月24日、ギブスさんはおよそ30年ぶりに民主党のイベントに参加しました。ライアン氏の演説を聞いたギブスさんは「彼は民主党員、共和党員、無党派層と、誰もがアメリカ人であり、今こそ団結する時だと考えている。それが彼を際立たせている」と話し、従来の民主党の候補者とは違うとして支持する考えを示しました。

シエナ大学などが先月下旬に行った調査では、ライアン氏は無党派層の47%の支持を獲得し、35%だったバンス氏を引き離したほか、共和党支持層の8%の支持も獲得し、バンス氏の足元を切り崩していることが伺えます。

トランプ氏の支援を受けるバンス氏に対抗するのは民主党上院議員候補のティム・ライアン氏です。ライアン氏はNHKの取材に対して「バンス氏は非常に過激な候補者で、極端な立場をとっている」と批判しています。

ライアン氏は民主党が重要な支持基盤としてきた黒人有権者が多く住む地域を訪れるなど、足元の支持固めを進めるとともに近年、共和党が優勢となっているオハイオ州で勝利するため保守層の取り込みにも力を注いでいます。

およそ20年間にわたり民主党所属の連邦議会の下院議員を務めてきたライアン氏ですが、今回の選挙ではあえて“民主党色”を抑え、共和党を支持してきた有権者からの支持も得やすくしようとしています。

選挙運動のビデオでは「オバマ元大統領の貿易協定が地域の雇用を脅かした際には反対票を投じ、貿易政策ではトランプ氏にも投票した。私はどの政党にも従わず、オハイオ州の人びとに従う」とアピール。

さらに演説では「民主党員や共和党員、それに無党派層の大多数の戦いに疲れた人びとのために選挙戦を展開している。われわれにはともに協力する時代が必要だ」と呼びかけ、トランプ氏の登場以降、政治的な対立が激しさを増す現状を懸念する無党派層共和党内の“穏健派”と呼ばれる保守層の支持を取り込もうとしています。

最新の各種世論調査の平均でライアン氏を支持すると答えた人は45%で、46.2%のバンス氏との差は1.2ポイントに迫り、アメリカのメディアは「予想以上の接戦となっている」と伝えています。

民主党色”を抑え、保守層の切り崩しを図るライアン氏に対してトランプ氏やバンス氏は批判を強めています。接戦が伝えられるバンス氏を支援しようと、トランプ氏は先月17日、オハイオ州で大規模な集会を開きました。

この中でライアン氏について「政策面で私の友人であるかのように振る舞ってうそをついている。彼は穏健派ではない」と批判しました。そして「バンス氏は“アメリカ第1主義”の戦士であり、仕事を成し遂げる度胸がある。バンス氏を議会上院に送れ」とバンス氏への支持を呼びかけました。

バンス氏もオハイオ州で根強いトランプ氏の人気を追い風にしてなんとか、この選挙戦を制したい考えです。2016年にトランプ大統領誕生の原動力ともなった、ラストベルトの一角のオハイオ州共和党が勢いを維持するのか、それとも民主党が巻き返すのか、全米が選挙戦の行方に注目しています。

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