https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

ユーロ圏の金融政策を巡る議論は間もなく一段と紛糾するのではないか。10月の地域全体の消費者物価指数(速報値)は前年比10.7%上昇したが、これでは各国ごとに非常に物価上昇のばらつきがある現実が見えてこない。フランスの前年比上昇率は7%、ドイツは12%、エストニアは22%に達する。そのため欧州中央銀行(ECB)の利上げ政策はある国にとって行き過ぎとなる半面、別の国には不十分になってしまう恐れが出てきているのだ。

ユーロ圏各国の物価上昇率の格差は、新型コロナウイルスパンデミックに起因する景気後退(リセッション)とともに始まった。加盟国それぞれのロックダウン(都市封鎖)政策やワクチン接種率、政府による支援措置の差によって物価の落ち込み具合に違いが発生。そして経済が持ち直すとともに、打撃が大きかった国ほど物価が急速に上がった。

問題をさらに悪化させたのは、ロシアのウクライナ侵攻で深刻となったエネルギー危機だ。その理由として、各国ごとに電源構成やエネルギー消費のパターンが異なる点が挙げられる。昨年8月から今年8月までに、ユーロ圏のエネルギー小売価格は40%上昇した。しかし経済協力開発機構OECD)が指摘したように、消費者物価指数に占めるエネルギーのウエートはマルタの6.7%からラトビアの16.7%までの開きがある。また変動の大きいエネルギーと食品を除くコア物価上昇率も過去2年で最低のフランスが4%、最高のスロバキアが14%強と格差が生じた。

一方ECBの金融政策は、ユーロ圏全体でまとめて1つの決定しか下すことはできない。今のところ、政策担当者の間では政策金利が景気に対して刺激的でも抑制的でもない「中立」の水準にたどり着くまで、迅速な利上げを行うべきだという点で意見が一致している。この中立金利は何人かの当局者が2%前後と推計しており、年内に到達してもおかしくない。

とはいえインフレが続くならば、政策金利を中立水準より高くすることを迫られるかもしれない。そうなると2011年の債務危機当時と同じく、ECB理事会は北部諸国出身の「タカ派」と南部諸国出身の「ハト派」の意見対立が先鋭化するのではないか。フランスを筆頭とする物価上昇率が比較的低い国は、ECBが利上げを停止すべきだと主張するだろう。逆に物価高騰に見舞われている国は、インフレが落ち着くまで利上げを続けてくれと要望するのは間違いない。

偶然にもECB理事会にタカ派メンバーを送り出しているドイツやオランダなどは、物価上昇ペースがユーロ圏で最も急速なグループに属する。しかし大方の予想では、来年のユーロ圏の成長率は最高でも横ばいが関の山とみられる。つまり利上げを続ければ政治的な混乱を引き起こし、ECB理事会に重大な亀裂が生まれる恐れがある。すると金融政策は予測可能性が下がるとともに、ECBが再びユーロの存在意義に関する問題の中心に据えられてしまうかもしれない。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は3日、米連邦準備理事会(FRB)の政策決定は世界の市場に影響を与えるため注意を払う必要があるが、FRBと足並みをそろえて行動することはできないと述べた。

ラトビアの首都リガで開かれた会議でラガルド氏は「われわれは潜在的な波及効果に注意を払わなければならない」とし「われわれは似て非なるものであり、同じペースで(あるいは)同じ景気認識のもとで進むことはできない」と述べた。

「われわれは、金融市場、それより程度は小さいものの貿易を通じた政策の波及に影響を受ける。なぜなら明らかに為替レートは重要で、われわれがインフレを予測する上で考慮しなければならないからだ」と説明した。

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのカザークス・ラトビア中央銀行総裁は3日、政策金利を大幅に引き上げる必要があると指摘し、ユーロ圏の景気後退が今やベースラインになっているが年明けに利上げを一時停止する必要はないと述べた。

カザークス総裁は「インフレ率を中期的に目標の2%まで下げるには、金利をかなり高くする必要があることは明らかだ」とし「年明けにいったん停止する必要はない」と述べた。

#ECB

d1021.hatenadiary.jp

#EU