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ヨーロッパ中央銀行は3日、理事会を開き、ドイツやフランスなどユーロ圏19か国の当面の金融政策について、マイナス金利を維持することを決めました。

また、コロナ禍で緊急対策として導入した資産の買い入れを来月で終えたうえで、その後、量的緩和の規模を段階的に縮小していく方針を確認しました。

理事会のあとの記者会見で、ラガルド総裁は先月の消費者物価指数が過去最大の伸び率となったことについて、インフレが想定外に加速しないか見極める必要があるとしながらも、「インフレは当初の予想よりは長く続くものの、ことし中に低下する」と従来の見方を改めて強調しました。

世界の中央銀行がインフレを抑えるために金融引き締めに大きくかじを切るなか、ヨーロッパ中央銀行は今回の会合で慎重な姿勢を示した形ですが、緊張が高まるウクライナ情勢によっては物価がさらに上昇する懸念もあり、政策運営は一段と難しくなりそうです。

欧州中央銀行(ECB)は3日、主要政策金利を予想通り据え置いた。インフレ率が過去最高に達する中でも当面は大規模な刺激策を維持する。同時にインフレリスクが増大していることを認め、年内に利上げに動く可能性を排除せず、ハト派スタンスからの転換が鮮明となった。

ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で「インフレは高止まりし、予想以上に長期化する公算が大きいが、今年を通じ鈍化する」と予想。その上で「昨年12月時点のECBの予測と比較すると、とりわけ短期的にはインフレ見通しに対するリスクは上向きに傾いている」という認識を示し、「明らかに状況は変化した」と述べた。

ECBが政策行動を急がないと述べながらも、これまでに示してきた年内利上げの「公算は極めて小さい」という発言を繰り返すことも避けた。

関係筋によると、今回の理事会で金融政策の現状維持の決定に至るまでに、一定の少数派からは債券買い入れ規模縮小の加速を発表するなど、何らかの行動を取るべきという声も上がっていた。また、金融当局者らは、インフレリスクおよび見通しを巡る不確実性を踏まえ、年内の利上げを排除すべきでないという考えを明確にした。

ラガルド総裁の会見後、金融市場では年内に計約40─45ベーシスポイント(bp)の利上げが実施されるいう予想が織り込まれた。理事会前は計28bpと予想されていた。

ユーロは対ドルで上昇。独10年債利回りは10bp上昇した。

INGのエコノミスト、カーステン・ブレゼスキ氏は「今回の理事会はECBのタカ派への主要な転換を明示した」と述べた。

<3月理事会>

ラガルド総裁は、ECBの今後の政策の道筋の順序に変化はないとも強調。総裁は、ECB理事会内ではインフレを巡り「全会一致の懸念」が存在するものの、一段の情報が入手されるまでは結論を急がず、状況を注視しながら「段階的に決定を下していく」とした。

さらに、ECBの政策に関する確約は状況次第で、利上げの実施や時期を巡る決定は入手される指標によって決定されると強調。「ECBは3月にその作業に着手する。それによって短期的なインフレ要因を分析し、中期的な見通しを見極める」と述べた。

3月の理事会は、新たに入手される経済指標が政策行動を正当化する可能性があるため、重要になってくるという認識も示した。

1月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が前年比5.1%上昇したことについては、主にエネルギー価格急騰に伴う直接および間接的な影響に加え、輸送コスト拡大などによる食品価格の上昇が要因という認識を示した上で、ECBが不意を付かれたことを認めた。

ラガルド総裁は新型コロナウイルスパンデミック(世界的大流行)について、感染の波ごとに経済への影響は縮小しているとしつつも、各国の制限措置が経済活動の足かせとなる可能性を指摘した。

また、緊迫化するウクライナ情勢については、直接的な言及は避けたが、経済成長に打撃を及ぼす恐れのある地政学的な暗雲が欧州を覆っている」という見解を示した。

アナリストの間では、年内の利上げが確実となったわけではないが、可能性は高まっているという見方が大勢。ピクテ・ウェルス・マネジメントのストラテジスト、フレデリック・デュクロゼット氏は「早ければ3月、遅くても6月に利上げの条件が満たされる可能性がある」と述べた。

<ユーロ圏と米国の違い>

米国とユーロ圏、FRBとECBが常に比較されているという話をよく耳にするが、少し注意した方が良い。われわれは全く異なる環境、異なる経済指標の中で活動している。例えばユーロ圏の需要は新型コロナ禍前の推移をほぼ回復したが、米国は30%増しだ。これはなぜか。米国では大規模な財政出動が行われたからだ。これとは異なり、ユーロ圏での財政出動はより緩やかで過剰ではなかった。

<債券スプレッド>

利回りは上昇したが、スプレッドは大きく広がっていない。われわれはこの動向を非常に慎重に見守っている。このような動向が変わっていくと考える理由はないが、変わっていくのであれば当然対応する。

<極めて重要な週>

今後数週間での出来事が明らかになれば、3月と6月の理事会はフォワドガイダンスの3つの基準が完全に満たされているのかを判断するうえで極めて重要になるだろう。

<インフレに上振れリスク>

インフレに関連するリスクの特徴について、金融政策声明の中で最近は実際に言及していなかった。つまり、これはインフレが年内に予想より大幅に上昇し、年末には予想よりも高くなっている可能性があることを明確に示している。特に短期的に上振れリスクが存在している。

地政学上の暗雲>

欧州を覆う地政学的な暗雲が現実のものになれば、エネルギー価格に確実に影響が及び、エネルギー価格とコスト上昇を通して価格構造全体に影響が及ぶ。所得と消費の減少のほか、投資の先送りにより、経済成長にも影響が出る。このため、純粋な経済的影響は現在見られているものよりも確実に大きくなる。

<中期インフレ>

特に短期的には上振れリスクがあるとみている。中期的なインフレに対する影響は今後、明らかになるが、インフレ率は目標に近づいていると言っておきたい。

<3月の理事会>

3月になり、追加的なデータが入手され、ここ数日で入手した数字を分析作業で統合できるようになれば、データに基づく徹底的な評価を行える。

<「船を揺らす」ようなことはしない>

われわれはデータとフォワドガイダンスに基づき決定する。金利については、「船を揺らす」ようなことはしたくないため、段階的に対応する。

状況に対応するためにあらゆるツール、あらゆる選択肢を利用していく。ただ状況は確実に変化した。

<インフレ見通し>

状況は確実に変化した。金融政策声明にそれが読み取れる。その中で、インフレの上振れリスクについて言及している。状況が変化した以上、注意深く監視し続け、データに基づいて評価した上で、判断する必要がある。

<見通し>

われわれは予測を額面通りに受け取らない。不確実性と地政学リスクを踏まえると、それが現在の状況に特に適している。

<年内利上げの可能性は依然として低いのか>

条件のない公約は掲げない。現時点ではそれに細心の注意を払うことがより重要だ。われわれは非常に慎重に評価し、データに依存することになる。その作業は3月に行われる予定だ。

<英国との決定的な違い>

英国は歴史的にユーロ圏よりもはるかにインフレ率が高い。

現在、決定的な違いは労働市場に関係しており、求人に対して労働者が不足しているため、明らかに賃金に大きな圧力がかかっている。

政治的な立場は取りたくないが、(ブレグジット後に)英国を離れなければならなかった多くの外国人労働力は完全に代替されておらず、労働者不足は実際に英国の労働市場に影響を及ぼしている。

これが双方の大きな差を生じさせている。

<決断を急がない>

決断を急がないという決意があった。

<全会一致の懸念>

12月と1月に見られたアップサイドサプライズに伴い、インフレ率およびインフレ率が短期的に欧州諸国に与える影響について、理事会では全会一致で懸念が表明された。

<インフレ上振れリスク>

12月時点の予想と比較すると、インフレ見通しに対するリスクは、特に短期的に上方へ傾いている。

物価上昇圧力が予想以上の賃金上昇につながったり、経済がより迅速にフル稼働に戻ったりすれば、インフレ率は上昇する可能性がある。

<リスクはおおむね均衡>

中期的な経済見通しに対するリスクは引き続きおおむね均衡していると判断する。

<基調インフレ率>

基調インフレを示す大半の指標は過去数カ月で上昇した。パンデミックに絡む一時的な要因によって、こうしたインフレ上昇がどの程度持続するかは引き続き不透明だ。

<幅広い物価上昇>

物価上昇はより広範囲に及び、多くのモノやサービスの価格が著しく上昇した。

ボトルネック解消開始の兆候>

一部のセクターでの設備や原材料、労働力の不足は引き続き、製造品の生産を妨げ、建設を遅らせ、サービスセクターの一部で回復の足かせとなっている。これらのボトルネックは解消し始めている兆候が見られるが、当面続くだろう。

<購買力の低下>

エネルギーコスト高は家計の購買力と企業の収益を圧迫し、消費と投資を制約している。

<柔軟性が必要>

現在の不確実性を考慮すると、金融政策運営において柔軟性とオプショナリティー(選択の柔軟性)を維持することがこれまで以上に必要だ。

<用意整う>

ECB理事会は、インフレが中期的に目標の2%で安定することを確実にするために全ての手段を適切に調整する用意が整っている。

<エネルギー価格>

原材料や設備、労働力の不足が引き続き一部産業の生産の制約につながっている。エネルギー価格高は所得を圧迫し、支出を抑制する公算が大きい。

<供給制約、緩和する見通し>

パンデミック(世界的大流行)の感染の各波による経済への影響は縮小しており、生産や消費を制限する要因は次第に緩和する見通しで、経済は年内に再び力強く回復するだろう。

<回復は継続>

十分な政策支援に支えられ、ユーロ圏経済の回復は継続し、労働市場はさらに改善している。

<抑制された成長>

現在のパンデミックの波がなお経済活動への重しとなっており、第1・四半期の経済成長は引き続き抑制される公算が大きい。

#ECB#金融政策