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イスラム教では、ことしは3月下旬からおよそ1か月間が「ラマダン」と呼ばれる断食の月になっていて、日中は一切食事をとらず、日没後に「イフタール」という断食明けの食事をとる習慣があります。

こうした中、岸田総理大臣は30日夜、総理大臣公邸にイスラム諸国の駐日大使らを招いて「イフタール」の食事会を開きました。

岸田総理大臣は「新型コロナのパンデミックや、ロシアによるウクライナ侵略を経験した国際社会は歴史的な転換点にある。今こそ、国際社会を分断と対立ではなく、協調に導くことが求められている」と述べました。

そのうえで、「日本とイスラム諸国が共有する『和』や『寛容』を重視する精神がこれまで以上に重要になっている。イスラム諸国との連携を強化する取り組みを進めていく」と強調しました。

#日回

東京大学出身で前の陸上幕僚長の吉田圭秀氏は30日付けで統合幕僚長に就任し、防衛省で行われた着任式で幹部たちに訓示しました。

この中で吉田統合幕僚長は「国際安全保障の焦点となっているのがインド太平洋地域であり、日本はその最前線に位置している。将来にわたって日本の安全を担保し、国民の負託に応えるため、一人一人が主体的に職務にまい進することを期待している」と述べました。

自衛隊は、新年度から5年間の防衛費を43兆円程度とした「防衛力整備計画」に基づいて、防衛力を抜本的に強化する方針が示されるなど、大きな転換期を迎えています。

統合幕僚長が交代するのは2019年4月以来、4年ぶりで、防衛大学校の出身者以外が起用されたのは初めてです。

#自衛隊(吉田圭秀統合幕僚長・就任)

TPPに参加する11か国とイギリスによる閣僚会合は、日本時間の31日午前8時からオンラインで開かれ、おととしイギリスが行ったTPPへの加入申請を認めることで大筋合意しました。

TPPは、日本のほかオーストラリアやカナダなどアジア太平洋地域の11か国による経済連携協定で、モノの関税だけでなく投資の自由化を進め、知的財産や電子商取引など幅広い分野で共通のルールを定めています。

TPPが、2018年に発効して以来、発足時から参加している11か国以外で加入が認められるのはイギリスが初めてで、アジア太平洋地域の協定がヨーロッパの経済圏にも広がることになります。

イギリスの加入によってTPP参加国のGDP国内総生産の総額はおよそ15兆ドル、日本円にして1980兆円程度となり、世界全体に占める割合は15%余りに拡大する見込みです。

イギリスは2020年にEUヨーロッパ連合から離脱したことから、域外の国との関係強化を通じて経済成長を図る戦略を打ち出していて、TPPへの加入で主にアジア圏との貿易を拡大するねらいがあります。

今後、合意文書を作成する作業を進めたうえで、ことし7月にも正式な署名を目指します。

TPPへの加入が認められたことを受けて、イギリスのスナク首相は声明を発表し「今回の合意は、EU離脱によってもたらされた自由の、真の経済的利益を示している。イギリスは雇用創出、成長、そして刷新の機会をとらえるため、グローバル経済の中で絶好の位置につけた」と、その意義を強調しました。

さらに「TPPの発足メンバー以外、そしてヨーロッパの国として初めての加入によって、イギリスは活力に満ち、成長を続ける太平洋地域の中心に入る。イギリスの企業は、ヨーロッパから南太平洋に至る前例のない規模の市場に参入できるようになった」としました。

そのうえで「この合意は農業と公的医療制度を含む、イギリスにとって重要な産業や組織を守り、動物福祉や食品安全の高い基準を維持するものだ。日本やカナダなどには去年、チーズやバターといった乳製品を合わせて2400万ポンド近く日本円でおよそ39億円分輸出したが、酪農家はより低い関税の恩恵を受けられるようになるだろう」と期待を示しました。

中小企業を中心におよそ8万社が加盟する、イギリス商工会議所のウィリアム・ベイン貿易政策部長は「イギリスの企業は、日本などTPPメンバー国との貿易が増えることで、年間20億ポンド、日本円で3200億円以上の収益が期待できるほか、環境保全を目指すグリーントレードやデジタル貿易など、共通の課題に取り組む国々の一員になる利点もある」と指摘しました。

さらに「ウイスキーやジンといったアルコール飲料など、イギリスが輸出する多くの製品にかかる関税が下がるほか、自動車産業サプライチェーンも、適用される『原産地規則』によって貿易量が増えるだろう。日本からイギリスへの輸出や投資の機会も増えると期待している」と述べました。

また、スコッチウイスキー協会は声明で「TPPのメンバー国への輸出額は過去10年間で飛躍的に増え、去年(22年)は合わせて11億ポンド余り、日本円で1800億円近くに上った。マレーシアによる関税の段階的廃止など、イギリスのTPP加入はスコッチウイスキーにとって新たなチャンスとなる。TPPには今後、多くの国が加入する可能性があり、域内でさらに自由化が進めば追い風となるだろう」と期待を示しました。

イギリスの国家統計局によりますと、イギリスはTPPに加入している11か国のうち、日本を含む7か国とすでに貿易協定を結んでいるほか、オーストラリアとニュージーランドともそれぞれ合意していて今後、発効する予定です。

ただ、2021年の主な貿易相手国はアメリカ、ドイツ、中国、オランダなど、いずれもTPPに加入していない国で、TPPメンバー国との貿易額がイギリスの貿易全体に占める割合は、2020年までの5年間の平均で輸出が8.3%、輸入は6.9%にとどまっています。

日本への輸出額が多い品目は、非鉄金属、自動車、発動機、医薬品および医療用品、科学光学機器それにウィスキーなどがあります。

また、日本からの輸入額が多い品目は自動車、発動機、電気機器、輸送用機器、金属鉱石・スクラップなどとなっています。

イギリスのTPP加入について、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのステファニー・リッカード教授は「イギリスは、TPPに加入している11か国のうち7か国と貿易協定を結んでいるが、ほかの国との間でも自由な貿易が促される。発足メンバー以外の国が加入するのは初めてで、メンバー国や加入を希望している国は、手続きの進め方などが分かったと思う。イギリスの加入によって、地域協定だったTPPが真の意味でグローバルな協定になる」とその意義を強調しました。

そして、イギリスがEU離脱前から掲げている、EU以外の国や地域との関係強化を進める「グローバル・ブリテン」という外交政策に触れ、「イギリスはTPP加入によって、『グローバル・ブリテン』であることを強く示し、ビジネスと貿易への門戸を開いていることを示そうとしている」とした上で「スコッチウイスキーなど特定の製品については、外国の市場でシェアを増やしたいと考えている。さらに、重要なのは、TPPがデジタルサービスや電子商取引、それに環境保護まで網羅する最新の貿易協定だという点だ。こうした新しいルールをほかのメンバーに守ってもらうことは、イギリスの利益につながる」と分析しました。

その一方で「イギリスは地理的に離れていることが要因となり、TPPのメンバー国との間の貿易額はイギリスの貿易全体の8%に過ぎない。加入による経済的なメリットがどの程度得られるのか、そして地政学的な緊張の存在がイギリスにとって課題となるだろう」と指摘しました。

さらに「スナク政権には、次の総選挙の前にTPP加入を実現し、これはEU離脱によって勝ち取った成果だと誇示したい思惑もある」と述べ、政治的な背景があるという見方を示しました。

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#TPP(イギリス・加入)

政府は、国際的な安全保障をめぐる環境が厳しくなる中、先端半導体の製造装置23品目の輸出管理を厳しくする措置を新たに行うと発表しました。アメリカ・韓国・台湾などへの輸出よりも中国などへの輸出の際の手続きを厳しくします。

発表によりますと、対象となるのは日本企業が高い技術力を持つ、先端半導体の材料に回路を焼き付ける「露光(ろこう)装置」など23品目です。

政府が、輸出管理の仕組みが整っていると認めたアメリカや韓国、台湾など42の国や地域への輸出よりも、中国を含むその他の国や地域への輸出の際の手続きを厳しくし、毎回、経済産業大臣の許可を取ることを必要とします。

米中の覇権争いが激しさを増す中、アメリカは中国向けの輸出規制を強め、半導体の製造装置で高いシェアを持つ日本やオランダにも輸出管理の強化を要請していました。

これに対してオランダは、ことし夏までに先端半導体の製造装置の輸出規制を強化する方針を明らかにしていて、今回、日本としての対応を示した形です。

ただ、日本にとって中国は最大の貿易相手国で、日本の半導体製造装置メーカーは、スマートフォンやデータセンター向けの半導体需要の高まりを受けて、中国への輸出を伸ばしてきました

経済産業省によりますと、措置の対象となる装置を作っている日本企業は10社あまりで、軍事転用のおそれがなければ、輸出を許可することから影響は限られるとしています。

西村経済産業大臣閣議のあとの会見で、「軍事転用の防止を目的とした今回の措置によって、技術保有国として国際社会における責任を果たし、国際的な平和および安全の維持に貢献していきたい」と述べました。

今回の対応は、アメリカからの要請に応えつつ日本企業への影響をできるだけ抑えようというもので、経済産業省は中国を念頭に置いた措置ではないとしていますが、米中それぞれがどう受け止めるかが焦点になります。

#経済安全保障(半導体
#反中国#対中露戦#習近平伏魔殿体制=旧体制

自衛隊と中国軍の海上や空での偶発的な衝突を避けるため、日中両政府は2018年6月から両国の連絡体制として「海空連絡メカニズム」の運用を始め、この中では年次会合の開催や、現場の部隊間でのやり取りを進めてきていますが、ホットラインの設置が残された課題となっていました。

これについて日中両政府は31日、両国間で専用回線の敷設などが完了し、ホットラインを開設したと明らかにしました。

今後、必要に応じて両国の幹部どうしがやり取りする際に使うとしています。

ホットラインは当初、去年の運用開始を目指していましたが、新型コロナの影響などで開始が遅れ、去年11月に行われた岸田総理大臣と中国の習近平国家主席による首脳会談を受けて、運用開始に向けて調整が進められてきました。

防衛省は「専用回線ができたことでより情報を保全した形で確実に連絡を取り合うことができるようになり、日中の防衛当局間の信頼醸成や不測の事態を回避するうえで意義がある」としています。

防衛当局どうしが直接連絡を取り合う「ホットライン」が開設されたことについて、自衛隊の幹部の1人は「長年検討されてきたホットラインが使えるようになったのは、大きな進歩だ。相手と遭遇したときに現場レベルでやり取りをするだけではなく、意思決定をする主要な幹部がやり取りできることは、事態のエスカレーションを避けることにつながる」と話しています。

一方、別の自衛隊幹部は「ホットラインは戦闘機がニアミスをしたり、艦艇どうしが接触したりするなどの際どい状況に際して、迅速に意図を伝え合い事態を沈静化させることが主な使用場面として想定される。仮に使用する場合は、伝えられた意図を読み違えないことが重要で、日頃の防衛当局間の交流の積み上げも必要になる」と指摘しています。

日本と中国の防衛当局どうしのホットラインについて、中国国防省も3月31日に開設を発表し、「両国の防衛部門の意思疎通のルートを効果的に充実させ、双方の海と空での危機管理能力を強化し、地域の平和と安定をさらに維持するのに有益だ」と強調しました。

#日中(海空連絡メカニズム・ホットライン)

政府は、ロシアに対する制裁として貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」を撤回している措置を、来年3月末まで延長することを決めました。政府は、ロシアへの制裁措置として去年4月に法律を改正して「最恵国待遇」を撤回し、ロシアからの輸入品にかける関税を引き上げています。

この措置は3月末が期限となっていましたが、政府は31日の閣議で、来年3月末までとさらに1年間延長することを決めました。

最恵国待遇」の撤回によってロシアからの輸入品の関税は
▽加工された木材のマツは4.8%から8%に
▽魚介類のサケやすじこは3.5%から5%に
カニは4%から6%に引き上げられています。

鈴木財務大臣は、31日の閣議のあとの記者会見で「ロシアによるウクライナ侵略が継続しているので延長を決めた。今後ともG7をはじめ、国際社会と緊密に連携して対応していく」と述べました。

#日露(最恵国待遇)
#反ロシア#対中露戦

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#外交・安全保障