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中国政府の外国人材招致事業「千人計画」は、密かに衣替えされ、より拡充されたプログラムの一環として継続されている──。事情に詳しい関係者3人の話や、ロイターが2019年から今年までの500以上の政府文書を調べて明らかになった。

中国は2008年、優秀な外国の科学技術者を招く目的で多額の資金援助を盛り込んだ千人計画を立ち上げた。ただ2018年に米政府が自国の利益や科学技術上の優越性を脅かす存在と位置付け、その後国内の科学者に対する厳しい捜査や監視を実施すると、中国側は大々的な宣伝を控えるようになった。

しかし現在も中国は、中央政府から地方政府までさまざまなレベルで海外にいる中国人や外国の専門家を集めるための政策プログラムを運営している。幾つかの文書や関係者への取材などによると、その中で主に千人計画の後継となっているのは、工業情報省が主管する「啓明」と呼ばれるプログラムだ。

特に習近平指導部は、昨年10月に米政府が対中輸出規制を始めた半導体分野で内製化を実現する必要性を強調しており、人材獲得は急務となっている。

このため「啓明」でも半導体など重要とみなされる科学技術産業の人材を招致対象としている、と2人の関係者は証言した。一方で千人計画と異なり、中央政府のウェブサイトには啓明への言及はなく、対象者の氏名などをも公表されていない。3人の関係者が語ったところでは、対象者は一般的に住宅購入補助や契約金300万―500万元(6000万―1億円)などを受け取ることができるという。

「啓明」は、他の省庁主管でハイテク産業振興のために長年活用されてきたプログラムや、地方政府が運営する人材招致策などと併用されている。

米国家防諜安全保障センター(NCSC)の報道官は中国による人材招致活動に関する質問に対し、「外国の敵対勢力や戦略的な競争相手は、米国と西側の最優秀人材を取り込むことが技術自体を獲得するのと同じぐらい有益だと理解している」と回答。こうした活動が米国の経済や安全保障にリスクをもたらしかねないとの見方を示した。

もっとも英エコノミスト・インテリジェント・ユニットの中国アナリスト、ニック・マロ氏は、人材移動を媒介とした知的財産の漏えいを抑えるのは難しいと述べ、理由としてそうした規制を行えば「民族差別的な魔女狩り」に発展する可能性がある点を挙げた。

<狙う相手>

中国政府系シンクタンク、中国電子情報産業発展研究院と中国半導体工業会が公表した2021年の報告書によると、国内の半導体産業はエンジニアや設計技術者など約20万人余りの人材不足に陥っている。

衣替え後の人材招致プログラムでも千人計画と同様に、狙いは外国のトップクラスの研究機関で経験を積んだ人々だ。

関係者の1人は、「啓明」の対象に選ばれた応募者の大半は米国の最上位大学で学び、少なくとも一つの博士号を取得していると解説。中国が求めているのはマサチューセッツ工科大(MIT)やハーバード大スタンフォード大などで訓練を受けた研究者だと補足した。

複数の米政府当局者は、米国で人材を取り込むこと自体は違法ではないとしつつ、各大学の研究者は中国系団体との関係を明確にしないまま連邦予算を受け取ったり、専有権のある情報を不正に共有したり、輸出規制に違反したりすれば、法を犯す恐れがあると警告した。

「啓明」の募集広告は2022年以降、中国のQ&Aアプリ「知乎(ジーフー)」やリンクトインで十数件余り掲載されていることがロイターの調べで判明している。

2月にリンクトンに出された「啓明」や別のプログラムの募集広告を見ると、有名大学で博士号を取得して海外で研究経験のある40歳未満の「若手人材」を求む、と記されていた。

さらに3月には杭州市のヘッドハンティング会社が、研究者向けSNSのリサーチゲートに、中国企業向けの海外研究者5000人を募集する取り組みの一環として、最上位大学の博士号を持ち、フォーチュン500企業での勤務経験を持つ人々を探していると投稿した。これは「啓明」や別の招致プログラムの適用対象で、採用されれば1人当たり最大1500万元の報酬が得られる上、紹介した候補者が採用されてば紹介者にもダイヤモンドや自動車、住宅などをプレゼントするとしている。

<帰国には消極的>

ただ外国で活動している中国の半導体技術者の多くは、国内の政治情勢や西側に比べて遅れている開発環境を嫌っており、内製化を目指すという習近平指導部のかけ声にもかかわらず、本国に戻ることを尻込みしている、と2人の関係者は話す。

「技術者らは、こうしたプロジェクトが一夜にして変更されたり、政府が政策を転換してはしごを外してしまうのではないかと不安に思っている」と、このうち1人は話した。

ある地方政府では昨年、主に「啓明」などの人材招致プログラムに200人余りの応募があったが、中国に帰国したのは8人にとどまった。

関係者に聞くと、中国の研究者、特に外国の市民権や永住権を持つ人々の間では「啓明」などに参加すれば国際的な活躍の機会を放棄するか、米政府の捜査対象になってしまうことを心配する声も少なくない。

中には中国の半導体企業の海外部門での仕事をオファーされるケースもある。これは「片足を中国、片足を海外にかけられるのでより安全になる」と歓迎されている。

#中国(「千人計画」→「啓明」)

#反中国#対中露戦#習近平伏魔殿体制=旧体制

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