https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

d1021.hatenadiary.jp

#天皇家

日本や韓国それに中国などの国際研究グループは、地球から5500万光年離れたおとめ座の「M87」と呼ばれる銀河の中心にあるブラックホールの方角を、日本の7か所を含む世界各地の電波望遠鏡を活用して観測を行いました。

観測で得られた画像にはブラックホールの「ジェット」と呼ばれる高温のガスが光に近い速度で噴き出す様子が撮影されていて、20年以上にわたる画像のデータを解析した結果、「ジェット」の向きがおよそ11年周期で変化していることが分かったということです。

これは国立天文台ブラックホールが自転していると仮定して行ったスーパーコンピューターによるシミュレーションの解析結果とよく一致することから、研究グループはブラックホールが自転している証拠が得られたとしています。

ブラックホールが自転することは理論的に予想されていましたが、今回、直接的な証拠となることから、巨大なブラックホールの謎を解明する新たな手がかりになると注目されています。

国立天文台の秦和弘助教は「地道なデータの積み重ねが大きな発見につながりました。ブラックホールの自転はジェットの形成と関係していると考えられ、銀河の形成などをひもとく手がかりにもなる成果だと考えています」と話しています。

この研究は、国際的な科学雑誌、「ネイチャー」に日本時間の28日発表されました。

岩手の観測所では
今回、日本から観測に参加した7か所の電波望遠鏡のうち最も北にあるのが、岩手県奥州市にある「国立天文台水沢VLBI観測所」に設置された電波望遠鏡です。

直径20メートルのアンテナを持つ電波望遠鏡で、ブラックホールとそこから「ジェット」と呼ばれる高温のガスが光に近い速度で噴き出す様子を去年までの10年間に100回以上観測してきました。

5500万光年離れた銀河の中心にあるブラックホールを観測するためには、世界各地の電波望遠鏡でネットワークを組み画像の解像度を高める必要があります。

そこで重要なのが、観測時間を正確に合わせることです。

そのため観測所内には1億年に1秒しかずれないほど正確な原子時計が設置されていて、精密な観測を実現しています。

また、20年以上にわたる観測で得られた画像の解析や、ブラックホールのジェットの動きをシミュレーションする際には、観測所にある「アテルイ2」と名付けられた、専用のスーパーコンピューターを活用したということです。

27日行われた研究成果の報告会で、研究者は「自転しているかはブラックホールの特徴をとらえるうえで重要な要素だが、ブラックホールそのものは真っ暗で自転しているかわからない。噴出しているジェットに着目しそこから根元にあるブラックホールの自転の有無を確かめた」などと述べました。

今後、ブラックホールの自転とジェット発生のメカニズムのさらなる解明につなげていきたいとしています。

国立天文台水沢VLBI観測所の秦和弘助教は「今回の成果は宇宙の仕組みを解明するうえでも非常に大きな意味がある。ブラックホールの1つの大きな隠された謎を解き明かしたということで非常にうれしい」と話しています。

#天体観測(ブラックホールが自転している証拠が得られた)

宇宙にある物質は陽子や電子といった素粒子からなりますが、素粒子と質量などは同じでも電気的に反対の符号を持つ反粒子からなる「反物質」が物質と対をなすかたちで存在することが知られています。

日本人研究者2人を含むカナダを中心とした国際研究グループはスイスのジュネーブ郊外にある加速器と呼ばれる巨大な実験装置などを使って水素の反物質、「反水素」を人工的に作り出す手法を開発しました。

そして作り出したおよそ100個の反水素を床から垂直方向に伸びた直径4センチ、長さ25センチあまりの筒状の装置に閉じ込めて、上下どちら側で多く検出されるか観測を繰り返したところ、下側から反水素が多く検出されたということです。

このことにより、「反物質」は物質と同じように地球の重力に引き寄せられ、落下することが初めて明らかになったということです。

研究グループに参加したカナダの国立研究所の藤原真琴上席研究員は、「反物質が重力で上にいくか下にいくかという疑問に関しては今回で完全に決着がついたとわれわれは考えています」と話していました。

この研究は、国際的な科学雑誌、「ネイチャー」に日本時間の28日発表されました。

反物質」とは

宇宙にある物質は陽子や電子といった素粒子で構成されていますが、素粒子とは質量などが同じでも電気的に反対の符号を持つ反陽子などの反粒子も存在し、反粒子が集まった「反物質」が存在することも確認されています。

反物質」はその特徴から“物質の双子”とも言われ、電子に対しては陽電子といわれる反粒子が存在し、陽電子と電子が衝突すると「対消滅」と呼ばれる現象がおきて消えて無くなり、エネルギーとなります。

ビッグバンによって誕生した直後の宇宙には物質と「反物質」のどちらも同じだけ存在しましたが、「反物質」は「対消滅」が起きて消え、物質だけが残ったと考えられていて、なぜ宇宙では物質が優勢になったのかは大きな謎となっています。

一方、非常に高いエネルギーの光が物質と衝突した際には素粒子反粒子が生じる「対生成」という現象も知られ、人工的に「反物質」を作り出してその正体に迫る研究が行われています。

ただ、「反物質」を作り出しても「対消滅」によってすぐに消えてしまうため観測が難しく、これまで重力の影響をどう受けるのかなど詳しいことは分かっていませんでした。

科学者のなかには「反物質」は重力に反発して上昇すると考える人もいて、「反物質」と重力の関係は長年にわたる物理学の疑問となっていて、直接的な観測によって確かめられることが待たれていました。

今回、「反物質」が地球の重力に引き寄せられ落下することを初めて大規模な実験で観測した研究グループは、人工的に作り出した水素の「反物質」である「反水素」を磁気を使った筒状の装置の中に閉じ込めることで、長時間にわたって消滅させずに重力の影響を受けて「反水素」がどう動くのかを観測することに成功したということです。

2人の日本人研究者が貢献
反物質」が物質と同じように地球の重力で落下することを実験で確かめた国際研究グループにはカナダやイギリスなどが参加していて、このうちカナダのチームに所属する2人の日本人研究者は、今回の成果に大きく関わっています。

このうち、カナダのチームの代表を務める、バンクーバーにある国立の研究所、TRIUMFに所属する藤原真琴上席研究員は、今回の実験で「反物質」の数を調べた検出器を開発しました。

藤原さんは「SFの世界では反物質が重力で浮くかもしれないと言われていて、反物質にかかる重力の影響を測るのはこの分野の夢だったので今回はじめて反物質を落とすことによって観測できたことに非常に興奮しています。反物質が重力で上に行くか下にいくかという疑問に関しては今回で完全に決着がついたとわれわれは考えています」と話していました。

また、同じくバンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学の百瀬孝昌教授は「反物質」の動きをレーザーを使って制御する手法を開発していて、研究グループでは今後、より高い精度で重力を測定し、「反物質」にかかる重力と物質にかかる重力との間に違いがないか、明らかにしようとしています。

百瀬さんは「反物質の重力を精密に測るためには『レーザー冷却』という技術を使って反物質を空間で止めたあと自由落下させる実験を行います。技術的には可能で、物質にかかる重力と反物質にかかる重力にわずかでも違いがあれば大きなインパクトになる。まだまだやれる実験はたくさんあるので、物質と反物質の違いを見つけていきたい」と話していました。

宇宙が始まったときに豊富に存在した謎の物質「反物質」が、物質と同じように重力に反応することが、国際研究チームによる最新研究で明らかになった。

反物質は、惑星などを形成する物質とは反対の性質を持つ。

宇宙の始まりであるビッグバンでは、物質と反物質は同じ量が生成された。物質はあるゆるところに存在する一方、反物質は現在では見つけるのが難しい。

物理学者らは長年、宇宙がどのように発生したかを説明するため、物質と反物質の相違点と類似点を発見しようと躍起になってきた。

もし反物質が重力への反応として、落下ではなく上昇するとなれば、我々が物理学について知っていることは吹き飛んでしまっていただろう。

しかし、科学誌「ネイチャー」に掲載された今回の研究で初めて、反物質の原子が沈むことが明らかになった。これは科学的な行き詰まりどころか、新たな実験や理論への扉を開くことになる。たとえば、反物質は同じ速度で落下するのだろうか?

ビッグバンの際、物質と反物質は結合して相殺され、光だけが残るはずだった。なぜそうならなかったのかは物理学の大きな謎の一つであり、両者の違いを明らかにすることが解決の鍵だ。

物質はどういうわけか、この宇宙創造の初期段階に反物質を抑えた。今回の研究のメンバーの一人、スイスの欧州原子核研究機構(CERN)所属のダニエル・ホッジキンソン博士は、反物質の重力への反応が鍵を握っているかもしれないと指摘した。

「我々は、どのように宇宙が物質にあふれる形になったかを知らない。これが実験の動機となった」と、ホッジキンソン博士は述べた。

ほとんどの反物質は宇宙ではほんの一瞬、数秒しか存在しない。そのため、実験では反物質を安定して長持ちする形にする必要があった。

ジェフリー・ハングスト教授は30年をかけ、亜原子粒子から何千もの反物質の原子を丹念に作り、それを閉じ込めてから投下する施設を築いた。

反物質は考えうる限り最もクールで謎に満ちた物質だ」と、ハングスト教授は語った。

「現在分かっている限りでは、私たちの宇宙と同じような、反物質だけでできた宇宙を作ることができる」

「まさに感動的なことだ。この物質が何であり、どのように振る舞うかについて、最も基本的な未解決の疑問の一つだ」

反物質とは?

まずは物質の説明から始めよう。この世界のあらゆるものは、原子と呼ばれる小さな粒子でできている。

最も簡単な形の原子は水素だ。太陽の大部分は水素でできている。水素原子では、プラスの電気を帯びた陽子が真ん中にあり、その周りをマイナスの電気を帯びた電子が回っている。

反物質では、これが逆になる。

CERNでの実験では、水素の反物質である「反水素」が使われた。マイナスの電気を帯びた反陽子が真ん中にあり、その周りをプラスの電気を帯びた陽電子が回っているものだ。

反陽子は、CERN加速器で物質を衝突させて作られた。その後、光に近い速さでパイプを通り、反物質の研究室に送られる。だがこの時点では、速すぎて研究者には扱えない。

研究の第一段階は、反陽子を遅くすることだ。反陽子を円環に送ってエネルギーを消費させると、制御しやすい速さになる。

その後、反陽子陽電子は巨大な磁石の中に入れられ、何千もの反水素を形成するように混ぜられる。

この磁石は磁場を作って反水素を閉じ込める。反物質は我々の世界と接触できないため、容器の壁に当たると壊れてしまうからだ。

この磁場を弱めると、反水素が解放される。その際、反水素が落下するのか上昇するのかをセンサーで検知した。

一部の理論家は、反物質が上方に落下する可能性を予測していた。しかしほとんどの理論家、特に100年以上前のアルバート・アインシュタイン氏の『一般相対性理論』では、反物質は物質と同じように振る舞い、下方に落下するはずだと述べていた。

CERNの研究者たちは今回、アインシュタイン氏が正しかったことを、前例がないほどの確かさで確認した。

しかし、反物質が上に落ちないからといって、物質とまったく同じ速度で下に落ちるわけではない。

研究の次の段階では、実験の精度を上げることで反物質の落下速度にわずかな違いがあるかどうかを見極めるという。

もし落下速度が変わるなら、宇宙がどのようにして誕生したのかという最大の疑問の一つに答えられるかもしれない。

#物理(「反物質」の重力落下を初観測)