【速報 JUST IN 】【速報】大相撲 尊富士が初優勝 新入幕力士では110年ぶりhttps://t.co/3vLyF5kBDb #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) March 24, 2024
大相撲春場所は千秋楽の24日、新入幕の24歳、尊富士が平幕の豪ノ山に勝って13勝2敗として初優勝を決めました。新入幕の力士が優勝するのは110年ぶりの快挙です。
※尊富士の取組や優勝インタビューの動画も掲載しています。
目次
【優勝インタビュー動画】尊富士「この先、終わってもいいと」
師匠の伊勢ヶ濱親方「気持ちが強い」
注目
NHKプラスで中継を配信:大相撲春場所 千秋楽
NHKプラスで中継を配信:大相撲春場所 千秋楽
(配信期限 :3/31(日) まで)春場所の優勝争いは14日目を終えて、
▽24歳の新入幕で、2敗の単独トップ、尊富士と、
▽星の差1つの3敗で追う大の里の2人に絞られていました。尊富士は23日の取組で右の足首にけがをして救急車で病院に搬送されましたが、千秋楽の24日も出場し、平幕の豪ノ山と対戦しました。
右の足首をテーピングなどで固めて臨んだ尊富士は突き押し相撲が持ち味の豪ノ山を左四つに組み止めて土俵際に追い込み、最後は押し倒して勝って、13勝2敗とし、初優勝を決めました。
新入幕の力士が優勝するのは大正3年の元関脇・両國以来、110年ぶりです。
また、日本相撲協会によりますと、大いちょうが結えない力士の優勝は極めて異例です。
そして、新入幕の力士が13勝目を挙げるのは、1場所15日制が定着した昭和24年の夏場所以降、元横綱・北の富士など3人に並ぶ最多の記録となりました。
【優勝インタビュー動画】尊富士「この先、終わってもいいと」
【ノーカット動画】尊富士 優勝インタビュー(6分1秒)
優勝した尊富士は23日の14日目に痛めた右足首のことを踏まえて「気力だけで取った。正直、無理だと思ったけれど、やってよかった。もう1回やれと言われても無理だ。寝られなかったし、こんなにつらいとは思わず、本当は何もしたくなかったが、ほかの人が勝った負けたで後悔したくなかった。自分が優勝していいのかなという思いだ」と率直な思いを話しました。
また、けがの状態については右足首のじん帯の損傷だったと明かし、「きのうは歩けなくてだめかと思ったが、この先、終わってもいいと思って土俵に上がった。出場することを師匠に伝えると『反対はしない。決めたことだからしっかりやれ』と言われた。出なかったら一生悔いが残ると思ったのでよかった」と出場に踏み切るまでの心境を語りました。
同じ伊勢ヶ濱部屋の横綱・照ノ富士からは23日夜、連絡があったということで「『お前ならできる』と言われ、そのおかげで出ることを決めた。横綱の背中を見て育ってきたし、横綱の苦労も知っている。このけがで土俵に上がらなかったら男じゃないと思った」と出場へ向けて背中を押されていたことを明かしました。
師匠の伊勢ヶ濱親方「気持ちが強い」
NHKの大相撲中継で千秋楽の解説を務めた尊富士の師匠で、元横綱・旭富士の伊勢ヶ濱親方は「よく自分から攻めた。前に押していったときに残されて『うっ』と思ったが、体勢を整えてまた自分から攻めていった。よかったですね」と振り返りました。
けがを抱えながらの出場となったことについては「この一番を止めて後悔されるより、勝っても負けてもやるという本人の意思もあった。気持ちが強い」と述べました。
そして、優勝を決めた後、伊勢ヶ濱親方の表情があまり変わらないと問われると「気持ちはぐっときていますよ」と笑顔を見せていました。
地元 青森では涙を流す人も「愛される力士になって」
尊富士は地元・青森 五所川原市の隣に位置するつがる市の相撲道場「つがる旭富士ジュニアクラブ」で小学5年生から中学を卒業するまでの5年間、週6日の稽古に励んでいました。つがる市にある生涯学習交流センターでは、相撲道場の恩師や後輩たち、それに地元の人が集まって優勝のかかった取組を見守りました。
尊富士が豪ノ山に押し倒しで勝って優勝を決めると、大きな歓声と拍手が送られ、なかには涙を流す人もいました。
尊富士を5年間指導した越後谷清彦さんは「ひと言でうれしい。痛み止めを打ったのかもしれないが、とてもいい相撲をとってくれた。まだ幕内に入ったばかりなので、これからも周りの人の協力があって今があることを忘れずに、多くの人に愛されるような力士になってほしい」と話していました。
相撲道場の後輩で中学2年生の中野匠毅さんは「けがの心配もあったのでヒリヒリしながら見ていましたが、とてもかっこよかったです。自分も負けないように頑張りたい」と話していました。
相撲道場で尊富士の3年後輩だった相馬良亮さんは「同じ場所で相撲を取っていた先輩がこれだけの活躍をして誇らしいです。当時から、ふざける場面もありながらも『やるときはやる』という先輩だったので、今も変わらないところがあるのだと思う」と話していました。
大の里の地元 石川から声援「石川県民に勇気与えてくれた」
大の里の出身地、石川県津幡町の町役場では大型テレビが2台設置され、およそ120人の町民が千秋楽を見守りました。大の里は星の差1つで追う尊富士が24日の取組で敗れれば優勝の可能性がありましたが、尊富士が白星を挙げ優勝を決めると会場からは大きな悲鳴があがりました。
それでも大の里の取組を迎えると、住民たちは「がんばれ!!大の里」と書かれたパネルなどをかかげながら大きな声援を送っていました。
そして大の里が下手投げで敗れると会場では、残念そうな声が挙がったあと健闘をたたえる拍手に包まれました。
応援した50代の男性は「結果は残念ですが、今場所は大の里と尊富士の2人の時代が始まったなという感じがしました。大の里は石川県民に勇気を与えてくれたと思います」と話していました。
30代の女性は「もうちょっとという感じで惜しかったです。優勝できる力士だと思っているので来場所にも期待したいです」と話していました。
快挙の尊富士 これまでの歩み尊富士は青森県五所川原市出身の24歳。スピードあふれる立ち合いからの押しや四つが持ち味です。
同じ青森県出身で現在の師匠、伊勢ヶ濱親方の現役時代のしこ名、旭富士の名前がついた「つがる旭富士ジュニアクラブ」で中学校卒業まで鍛え、その後、相撲の強豪、鳥取城北高校を経て日大に進学しました。
学生時代は、けがに苦しんだ時期もありましたが、伊勢ヶ濱部屋に入門し、おととしの秋場所で初土俵を踏むと、スピードを生かした押し相撲を持ち味に続く九州場所で序ノ口優勝、去年の初場所で序二段優勝を果たすなど、順調に番付を上げていきました。
スピード出世に恥じない力強い相撲
その後の場所もすべて勝ち越し、所要8場所でことしの初場所を新十両で迎えると、13勝2敗で十両優勝を果たし、今場所での新入幕を決めました。
新十両の翌場所に新入幕となったのは平成25年秋場所の遠藤以来、11年ぶりで、序盤からスピード出世に恥じない力強い相撲で白星を積み重ねてきました。
尊富士は幕内で最も下位の番付、「幕尻」で臨んだこの春場所、上位陣が星を落とす中、スピードあふれる立ち合いからの押しや四つを持ち味に中日に勝ち越しを決めて単独トップに立ちました。
後半戦は小結・阿炎や新大関・琴ノ若など、三役以上の力士を初挑戦で次々と破り、新入幕としては64年ぶりに昭和の大横綱・大鵬と並ぶ初日からの11連勝を果たしました。
12日目に大関・豊昇龍に敗れて連勝は止まりましたが、13日目には関脇・若元春を破ってさらに白星を伸ばすなど快進撃を見せて快挙達成につなげました。
「心技体の中で心が一番大事」迷いなく前に出て頂点
尊富士は師匠の元横綱・旭富士の伊勢ヶ濱親方の指導のもと、横綱・照ノ富士や去年、優勝争いに絡んだ熱海富士など実力者ぞろいの部屋で日々、何十番と相撲を取ることでみずからの押し相撲を磨いてきました。
尊富士は肉体を鍛えることや相撲の技術を磨くことよりも心の鍛錬が重要だと考えていて、「心技体の中で心が一番大事だと思っている。心一つで相撲も変わる。日ごろの稽古で気持ちを強くしている」と相撲への向き合い方を語っていました。
心身を鍛えて臨んだ今場所、スピードのある速攻からの押し相撲で初日から白星を重ね、9日目、初の三役戦となった小結・阿炎との一番でも迷わずに前に出る相撲で圧倒してみせました。
この取組の後、尊富士は「毎日同じことを繰り返して、集中できていると思う。15日間精いっぱい取りきるだけ」と冷静なことばで受け止めました。
この日に限らず、「いつもどおりやるだけ」ということばを語り続けた尊富士、終盤戦に入り、単独トップを走る中でもいつもと同じように記者にも対応し、泰然自若とした雰囲気を崩すことはありませんでした。
師匠の伊勢ヶ濱親方は場所中、あえて具体的な声かけをしないといい、「そういう話をするとリズムが狂ってしまうから、いつもと一緒が一番いい。特別にああだこうだというのやらないのが大切。それで自分の相撲を取り続けることができるから、迷うとかそういうこともなくなる」と指導方針を明かしていました。
尊富士は12日目に同い年の大関・豊昇龍に敗れ連勝は「11」で止まったものの、翌日の関脇・若元春との対戦では立ち合いで相手の得意な形を許しながらも、前に出ながら巻きかえて寄り切って勝つなど、影響をまったく感じさせない強さを見せました。
14日目には大関経験者の朝乃山との一番で敗れたあと右足首にけがをしましたが、千秋楽には出場し、ここまで10勝をあげていた豪ノ山を相手にも力強い相撲を取りました。
最後まで迷いなく自分の得意の相撲を貫いた24歳の新星が1世紀以上破られたなかった記録を塗り替えるという快挙を成し遂げました。
注目
「必ず3倍、4倍」恩師が見た努力と勝利へのこだわり尊富士は小学5年生から中学校を卒業するまでの5年間、つがる市にある相撲道場の「つがる旭富士ジュニアクラブ」で越後谷清彦さんから指導を受けました。
そして、越後谷さんのもとで努力を重ねてきたのが「前に出る相撲」で、越後谷さんは「相手より先に攻めればおのずと勝利が見える。大相撲でも下半身を使って前に出る相撲ができていることが尊富士の優勝の要因ではないか」と指摘していました。
また、越後谷さんは「とにかく強くなりたいと日々の稽古に励んでいた。『しこを200回踏めとか腕立て200回やりなさい』と指示すれば、必ず3倍、4倍やって、すごく努力ができる子だった」と尊富士が子どものころから相撲に真摯に取り組んでいた姿勢も評価しています。
さらに勝利へのこだわりも当時から際立っていたということです。尊富士が中学3年生で臨んだ最後の全国大会で優勝し、その後、卒業する際に越後谷さんに送った手紙には「最高にうれしかったです。強い心を持つことで、自分なりにしっかり努力を積んできました」などと記されているほか「絶対優勝してやる気持ちで一番一番全力で頑張った」と相撲にかける強い思いもつづられています。
一方で母の石岡桃子さんは幼い頃の尊富士について「体がやせてかぜもすごくひきやすい子で、体がもしかして弱いのかなと心配でした。4人きょうだいの次男で、子育てが大変だった時もすごく助けてくれました。本当に母親思いの優しい子です」と土俵の外での一面について語っています。
そして、「今も母の日は花を贈ってくれたり、クリスマスの時期には、クリスマスカードを贈ってくれたりします。すごくうれしいです」と話し、今もその優しさは変わらないということです。
貴乃花と朝青龍の記録を大幅に更新初土俵から10場所目での初優勝は、今の年6場所制が定着した昭和33年以降、幕下や三段目の付け出しを除くと最も早い記録となりました。
これまでは
▽平成4年初場所の貴花田、後の貴乃花と、
▽平成14年九州場所の朝青龍の24場所目が最も早く、横綱まで上り詰めた2人の記録を大幅に更新しました。また、優勝制度ができた明治42年以降でも大正3年に新入幕で優勝した元関脇・両國の11場所目を抜いて最も早い記録となりました。そして、十両と幕内で2場所連続で優勝するのは両國以来、110年ぶりとなります。
青森県出身力士の優勝は元大関・貴ノ浪が平成9年の九州場所で優勝して以来、27年ぶりです。
尊富士 前日に搬送で出場に懸念も
大相撲春場所は23日の14日目、単独トップの尊富士が大関経験者の朝乃山に敗れたあと右足をひきずるようなそぶりを見せ、その後、病院に搬送されました。
24日の千秋楽の出場が懸念されていましたが、師匠の伊勢ヶ濱親方は出場する方向で調整していることを明らかにしました。
尊富士は午後2時半前、会場の大阪府立体育会館の前に車で到着し、その後は歩いて建物の中に入り、階段ではゆっくりと一段ずつ上がってきました。
尊富士は23日敗れたものの、依然として2敗で単独トップに立っていて、優勝は3敗で追う大の里との2人に絞られています。
24日は豪ノ山との対戦が予定されていて、勝てば新入幕として110年ぶりの優勝が決まります。敗れた場合でも、大の里が大関・豊昇龍との対戦で敗れれば優勝となります。
また、尊富士が敗れて大の里が勝つとともに3敗で並び、優勝決定戦が行われることになります。
尊富士に三賞すべて受賞 大の里は敢闘賞・技能賞尊富士と大の里
春場所の三賞選考委員会は24日、大阪府立体育会館で開かれました。その結果、新入幕の力士として大正3年の元関脇・両國以来、110年ぶりの優勝を果たした尊富士が殊勲賞と敢闘賞、それに技能賞の三賞すべてを受賞しました。
三賞をすべて受賞したのは平成12年九州場所の琴光喜以来、24年ぶりです。
一方、大の里は敢闘賞と技能賞を受賞することが決まりましたが、初優勝を逃したため、殊勲賞は受賞できませんでした。
尊富士 4敗の豪ノ山と対戦 一気に押していけるか
豪ノ山
新入幕の力士として110年ぶりの優勝がかかる尊富士は千秋楽の24日、4敗の豪ノ山と対戦します。
尊富士は今場所で見せている鋭い立ち合いで相手の懐に入り、そのまま一気に押していけるかがポイントです。
対する豪ノ山は、持ち味の力強い突き押しで圧力を伝え、尊富士を突き放していけるかが鍵になりそうです。
追う大の里は大関 豊昇龍と対戦 休まず攻め続けられるか
豊昇龍
3敗で追う大の里は大関 豊昇龍と対戦します。
初顔合わせの先場所では「下手投げ」で敗れていて、大の里が優勝するためには豊昇龍から初勝利をあげることが必要になります。
大の里は立ち合いから力強く当たり、右を差して相手の動きを止め、圧力をかけて休まずに攻め続けられれば十分に勝機はあります。
豊昇龍は先場所のようにまわしを引いて、優位な体勢をつくりたいところです。
尊富士と大の里 いずれの優勝でも初土俵からの最速記録
24日の取組で尊富士は勝てばその時点で優勝が決まり、敗れた場合でも大の里が負ければ優勝となります。また、尊富士が敗れ、大の里が勝った場合は優勝決定戦までもつれることになります。尊富士が優勝すれば初土俵から10場所目、大の里が優勝すれば初土俵から6場所目での快挙となり、いずれも、優勝制度ができた明治42年以降では大正3年に新入幕で優勝した元関脇 両國の11場所目を抜いて最も早い記録となります。
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