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三村淳財務官は31日までにロイターのインタビューに応じ、為替介入の判断は「国際合意の枠組みの中でやっていく」と述べ、一方的で無秩序な動きへの選択肢として排除しない考えを示した。為替市

場の動きは「絶え間なく注視している」と語った。

三村氏は31日付で財務官に就いた。急速に進んだ円安に、円買い介入で対抗した神田真人前財務官の後任として日本の通貨政策を指揮する。

三村財務官は、過度な為替変動や無秩序な動きが「経済や金融の安定に悪影響を及ぼし得る」とする主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の合意に言及。「何年もの間、国際的に共有されている為替政策についての考え方」とし、「日本として、それに沿って行動していく」と述べた。

為替の動向次第で「介入することも含めて許されているというのが国際的な理解。それ以上でもそれ以下でもなく、その枠組みの中でやっていく」と語った。「財務官が代わるから、政策が大きく変わるということではない」との認識も示した。

長引くデフレなど「複合的な要因によってここ数年、実効為替レートが円安方向に向かっていること自体は明らか」としつつ、足元の為替水準や今後の見通しには明言を避けた。市場への影響に配慮し、「コメントしない」とした。

市場との対話手法については「不必要な憶測や不透明感を与えるのは良くない。非常に大事」とした。一方で「何を、どのタイミングで伝えるのか、場合によって今は伝えない」などの選択肢があると説明。あえて何も発信せず、市場の疑心暗鬼を誘う戦略にも理解を示した。

<G20存立に意義>

三村氏は1989年に大蔵省(当時)に入省し、フランス大使館書記官や主計官補佐を経て、2004年から金融庁へ出向した。15年に財務省に戻った後は副財務官などを歴任、21年に国際局長に就いた。

08年のリーマン危機時には、97年のアジア通貨危機を受けて設立された金融安定化フォーラム(FSF)のメンバーをG20に広げ、現在の金融安定理事会(FSB)に改組。危機の連鎖回避に尽力した。

ロシアによるウクライナ侵略が長期化し、存立意義が問われるG20の枠組みについて、三村氏は「一堂に会する場があること自体に意味がある」との見方を示した。

また、今後の経済安全保障政策について、財務省が投資審査などで得られる膨大なデータを「能動的、主体的に分析することで経済安全保障上のインテリジェンスに組織的に貢献する」との選択肢も示した。

外国為替市場で円安が続く中、政府・日銀が6月から7月にかけて総額5兆円余りを投じて市場介入を実施していたことが明らかになりました。

財務省は31日、6月27日から7月29日までの1か月余りの間に総額5兆5348億円を投じて市場介入を実施したと公表しました。

外国為替市場では、7月11日に1ドル=161円台から一時、4円以上値上がりしたほか、7月12日も急激に円高方向に動く場面があり、市場では、政府・日銀が介入の事実を明らかにしない「覆面介入」の形で、ドルを売って円を買う市場介入を繰り返したという見方が強まっていました。

政府・日銀はことし4月から5月にかけても総額9兆7885億円を投じて市場介入を実施しています。

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#日銀(金融政策決定会合・240731)

日銀は、31日まで開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決めました。

これについて植田総裁は会合のあとの記者会見で「物価が上振れるリスクに注意する必要があり、2%の物価目標の持続的・安定的な実現のために利上げの実施が適切だと判断した」と述べました。

植田総裁の記者会見での発言などをこちらで詳しくまとめています。

目次

【植田総裁 会見 発言詳細】
政策金利を0.25%程度に引き上げ
追加利上げ決断の背景は
国債の買い入れ 減額計画を決定
【利上げへの反応は】
岸田首相「機動的な政策運営を行っていきたい」
大手銀行 普通預金金利引き上げ相次ぐ
円相場 一時1ドル=150円台まで値上がり
追加利上げの影響は
円安の方向感は

記者会見の中で植田総裁は、今回、追加の利上げに踏み切った理由について「経済・物価はこれまで示してきた見通しにおおむね沿って、推移しているが、輸入物価が再び上昇に転じており、先行き、物価が上振れるリスクに注意する必要がある状況となっている。こうした状況を踏まえ、2%の物価目標の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した」と述べました。

その上で、利上げが景気に及ぼす影響について「利上げといっても金利の水準、あるいは実質金利で見れば非常に低い水準での少しの調整ということなので、景気に大きなマイナスの影響を与えるということはない」と述べました。

さらに植田総裁は今後の金融政策運営について「現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、今回示した経済物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べ、さらなる金利の引き上げもありうるという考えを示しました。

【植田総裁 会見 発言詳細】

「わが国の経済 物価 見通しにおおむね沿って推移」

植田総裁は、金融政策を変更した背景について「わが国の経済・物価はこれまで示してきた見通しにおおむね沿って、推移している。もっとも、輸入物価が再び上昇に転じており、先行き、物価が上振れるリスクに注意する必要がある状況となっている。こうした状況を踏まえ、本日の会合では、2%の物価目標の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した」と述べました。

「緩和的な金融環境は維持」
政策金利の変更後も実質金利は大幅なマイナスが続き緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりサポートしたい」と述べました。

「見通し実現で政策金利を引き上げ」

今後の金融政策運営について「先行きの経済・物価・金融情勢次第だが、現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえると、今回の「展望レポート」で示した経済物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と述べました。

「賃金と所得の増加が個人消費を支えていく」

今回の追加利上げを行うにあたって個人消費の弱さを懸念する声が出ていたことについて「個人消費は物価上昇の影響などがみられるが、底堅く推移していると判断した。また、5月の毎月勤労統計では一般労働者の所定内給与が伸び率を高めたほか、日銀が中堅・中小企業に実施したヒアリングでも幅広い地域、業種、企業規模で賃上げの動きが広がっていることが確認できる。先行きもこうした動きが一段と進むことが見込まれ、賃金と所得の増加が個人消費を支えていくと判断している」と述べました。

「景気に大きなマイナスの影響はない」

今回の利上げの景気への影響については「利上げといっても金利の水準、あるいは実質金利で見れば非常に低い水準での少しの調整ということなので、景気に大きなマイナスの影響を与えるということはない」と述べました。

「0.5%を壁として特に意識していない」

日本の政策金利がこのところ0.5%を超えたことがないと指摘されたのに対し「経済・物価の情勢が私どもの見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていく考えでいる。その際に、0.5%を壁として意識しているかという質問だったと思うが、そこは特に意識していない」と述べました。

国債減額計画「市場参加者の意見を丁寧に確認」

国債減額の具体的な計画を決めた経緯について、前もって開かれた債券市場の参加者と行った意見交換を振り返り「頂いた意見は、今回の減額計画にも反映されている。先行きの国債買い入れ予見可能性を求める声が強かったことを受けて、1つには2026年3月までの各四半期ごとの買い入れ予定額を具体的に示すことにし、また残存期間別等の買い入れ予定額についてもレンジではなく、ピンポイントで示すことにした」と述べました。

その上で「一方で、市場参加者からは先行きの市場環境等についての懸念も少なからずうかがわれた。この点も踏まえ、中間評価の実施など国債市場の安定に配慮するための柔軟性も確保することにした。市場参加者の意見を丁寧に確認することで、市場の現状と先行きを踏まえたしっかりとした減額計画を決定することができたと考えている」と述べました。

国債買い入れ減額「金利上昇圧力は大したものではない」

国債の買い入れの減額を進めることで、長期金利に上昇圧力がかかるのではないかと問われたのに対し「私どもが保有する国債の残高が大きいことから来る金利を下げる方向での効果、ストック効果、これが少し減ることになるが、残高の減少は2年先でも7、8%程度だということから、金利上昇圧力は大したものではないと考えている」と述べました。

「データ次第で一段の調整があり得る」

年内にさらなる利上げに踏み切る可能性があるのかどうか問われ、「ここから先のデータ次第ということになるかと思う。従って、それが見通しどおり、あるいは見通し対比上振れるような際には、短期金利の一段の調整があり得るということかと思う」と述べました。

その上で「ただ、その前提として、データや情報の確認ということになるが、その際には、大した利上げではないが、ここまで上げてきた利上げの影響についても、確認しつつということに当然なるかと思う」と述べました。

適切な資産規模「だんだんと見極めていきたい」

国債の買い入れの減額に関連して今後の日銀の適切な資産規模について問われたのに対し「国債保有残高で言うと、私どもの試算ではおよそ2年後に7%から8%程度減少すると考えている。ただ、これは長期的に望ましい水準より高い水準だと考えている。望ましい水準はほかの中央銀行量的緩和のあと模索状態なので海外の例も参考にしつつだんだんと見極めていきたい」と述べました。

円安「上振れリスクは大きなものと評価した上で対応」

現在の歴史的な円安の水準と物価の見通しや政策変更の関係について問われ「年初来、あるいは昨年末来の円安だが、これは、消費者物価の見通しがほとんど前回と比べて動いていないということなので、見通しに大きな影響を与えたということではないと思う。しかし、見通しに対して現実が上振れるリスクは、かなり大きなものであるというふうに評価した上で、そこまで含めて政策的な対応を今回は打ったということだ」と述べました。

利上げ「景気に強いブレーキがかかるとは考えていない」

追加利上げが遅れた場合と早すぎた場合のそれぞれのリスクについて問われたのに対し、「中長期的な意味で持続的・安定的な2%の物価目標を実現するという観点からは、少し早めに調整をしておいたほうがいいというのが1つ大きな理由となった。一方で利上げによって景気の腰折れリスクを高めてしまうという指摘に対しては、25ベーシスに上がったといっても非常に低い水準で実質金利で考えれば非常に深いマイナスだ。強いブレーキが景気などにかかるとは考えていない」と述べました。

住宅ローン「賃金が先にあがって負担大きく軽減と認識」

利上げに伴い、変動型の住宅ローン金利が上昇した場合の家計への影響について問われ「賃金上昇が続くという見通しの中での利上げの判断になっていくし、変動型の住宅ローンについては、いわゆる5年ルールのようなものがあって、金利自体は上がっても利払い額は5年間据え置かれるというものが多いと認識している」と述べました。

その上で「5年間で賃金が先にあがっていて、そのあと、利払い額が上がるということになるので、その負担がかなり大きく軽減されると認識している」と述べました。

物価上昇「人々に大きな負担を強いて申し訳なく思っている」

歴史的な円安によって物価上昇が生じていることについてどのように感じているのか、との質問に対し「データを見ると、消費者物価総合ないし、除く生鮮が2%を超えている期間も、すでに2年をかなり大幅に超えているということで、長期化している高いインフレ率が人々に大きな負担を強いていることは、申し訳なく思っている」と述べました。

その上で「ただ、私どもの判断は、持続的・安定的に2%を達成するためには、基調的なインフレ率が2%に到達していかないといけない。そこはまだ2%より下にあるという判断のもとで、広い意味での緩和基調を維持してきているというところだ。難しい点ではあるが、ご理解をいただければというふうに考えている」と述べました。

政策金利を0.25%程度に引き上げ

日銀は、31日まで開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決めました。

物価が日銀の見通しに沿って上昇する可能性が高まっているとしてことし3月に続く利上げに踏み切りました。

日銀は、31日まで2日間の日程で金融政策決定会合を開き、当面の政策運営の方針を公表しました。

それによりますと、政策目標としている短期の市場金利について現在は0%から0.1%程度で推移するよう促すとしていますが、これを0.25%程度に引き上げます。

物価が日銀の見通しに沿って上昇する可能性が高まっている上、円安がさらに物価を押し上げるリスクもあるなどとして、ことし3月のマイナス金利解除に続く利上げに踏み切りました。

利上げを実施した後にさらに金利を引き上げる「追加の利上げ」は福井総裁時代の2007年2月以来です。

また、0.25%程度という政策金利の水準は、リーマンショック直後の利下げ局面で政策金利を0.3%前後としていた2008年12月以来です。

9人の政策委員のうち賛成7 反対2

今回の追加の利上げは9人の政策委員のうち賛成7、反対2で決まりました。

反対した委員のうち、中村豊明審議委員は、次回の金融政策決定会合で法人企業統計などを確認してから金融市場調節方針の変更を判断すべきであり、今回はそうした考え方を示すにとどめることが望ましいと主張しました。

また、野口旭審議委員は賃金上昇の浸透による経済状況の改善をデータに基づいてより慎重に見極める必要があると主張しました。

追加利上げ決断の背景は

日銀は3月にマイナス金利政策を解除し金利を引き上げましたが、今回、追加の利上げに動いた背景には、経済と物価が見通しに沿った形で推移し2%の物価目標に近づいたと判断したからです。

ことしの春闘の平均の賃上げ率は連合の集計で33年ぶりに5%を超える高い水準となりました。

日銀はこうした賃金の上昇分を販売価格に反映する動きが強まっていてサービス価格の緩やかな上昇が続いているとみています。

そして、今回の利上げ判断を後押ししたのが歴史的な円安です。

植田総裁は円安によって物価の見通しが上振れるリスクが高まった場合は利上げの理由になると述べていましたが、歴史的な円安が続いたことで輸入物価は再び上昇に転じていて日銀は、物価が上振れするリスクには注意する必要があるとしていました。

物価が想定以上に上昇すれば伸び悩みが続く個人消費をさらに押し下げかねないからです。

こうした状況をふまえて日銀は、持続的、安定的に2%の物価目標を実現するには追加の利上げを行う必要があると判断しました。

一方、7月に入って政府・与党の幹部の間から日銀の利上げを容認する発言が相次いだことやその影響で外国為替市場で円高が進んだことも日銀が今回利上げに踏み切った要因の1つだという見方もあります。

国債の買い入れ 減額計画を決定

一方、大規模緩和の一環として進めてきた国債の買い入れについて、現在の月間6兆円程度を、2026年1月から3月に月間3兆円程度まで減らすことを決めました。

今回、追加の利上げと国債の減額の具体的な計画を同時に決定し、金融政策の正常化を一段と進める姿勢を鮮明にしました。

国債買い入れの減額計画の詳細

日銀が決定した国債の買い入れの減額計画によりますと、7月の実績で、月間の買い入れは5兆7000億円程度でしたが、今後、原則3か月ごとに4000億円程度ずつ減らしていき、再来年2026年の1月から3月には買い入れ額が月間2兆9000億円程度になるとしています。

ただ、長期金利が急激に上昇する場合には、機動的に国債の買い入れを増額したり指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指し値オペと呼ばれる措置を実施したりするとしています。

また、来年6月の決定会合でこの計画の中間評価を行い、国債の取引の動向や市場機能を点検した上で、必要があれば計画を修正するとしています。

同時に、再来年2026年4月以降の買い入れ方針を示します。

日銀の長期国債保有残高は580兆円余りに上っていますが、日銀によりますと買い入れの減額を進めることで2026年の3月には保有残高は7%から8%程度減少するとしています。

【利上げへの反応は】

岸田首相「機動的な政策運営を行っていきたい」

岸田総理大臣は今夜、総理大臣官邸で記者団に対し「政府と日銀は、デフレ型経済から新しい成長型経済への30年ぶりの移行を成し遂げることが肝要だとの共通の認識に立って密接に連携してきている。本日の日銀の金融政策の決定もこうした認識に沿って行われたものだと考えている」と述べました。

その上で「春闘による賃上げや最低賃金の引き上げ、それに設備投資の拡大、企業収益の増加など、新しい成長型経済ステージへの移行の兆しが明確になっていると考えている」と述べました。

また国民生活への影響について「貸出金利の上昇による影響がある一方で、1000兆円規模と言われる国民の預貯金の金利増というプラスの効果もある。経済ステージの移行を何よりも重視しつつ、経済物価動向に応じた機動的な政策運営をこれからも行っていきたいと考えている」と述べました。

鈴木財務相「政策の趣旨 対外的に丁寧に説明を」

鈴木財務大臣は、日銀が追加の利上げを決めたことについて「日銀が2%の物価安定目標の実現に向けて政策金利を調整することが必要だと判断したと受け止めている。日銀には、金融資本市場や実体経済の状況を引き続き注視し、市場との対話も含めて政策の趣旨を対外的に丁寧に説明して欲しい」と述べました。

そのうえで追加の利上げが景気を腰折れさせるリスクについて問われたのに対し、鈴木大臣は「植田総裁は記者会見であまり大きな影響はないと発言していた。政府としても金融資本市場や実体経済に与える影響をしっかりと注視していきたい」と述べました。

官房長官「物価安定目標の実現に向けて期待」

官房長官は午後の記者会見で「日銀には、引き続き政府と密接な連携を図り、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて適切な金融政策運営を行うことを期待している」と述べました。

その上で記者団から「賃上げの動きを鈍化させかねないとの指摘もあるが」と問われ「経済・金融市場をよく注視しつつ、経済財政運営に万全を期していく。力強い賃上げの動きを中小企業などに広げるため、価格転嫁対策を進めるとともに定額減税などによって家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実につくり出していく」と述べました。

一方、デフレ脱却に向けた見通しを問われたのに対して「デフレ脱却は、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないことと定義している。その判断は金融政策の変更そのものと連動するものではなく、政府として、物価の基調や背景についてさまざまな指標の動きを丁寧に見ながら見極めていくことになる」と述べました。

大手銀行 普通預金金利引き上げ相次ぐ

日銀が追加利上げを決めたことを受けて、三菱UFJ銀行は、普通預金金利を引き上げると発表しました。

現在の年0.02%をことし9月2日から5倍の年0.10%にします。

この銀行が普通預金金利を引き上げるのは、ことし3月のマイナス金利解除以来で、年0.10%は2008年11月以来およそ16年ぶりの水準です。

日銀が追加利上げを決めたことを受けて、大手銀行は、普通預金金利を今の5倍に引き上げると相次いで発表しました。

各行とも、普通預金金利の引き上げは、ことし3月のマイナス金利解除以来です。

このうち「三菱UFJ銀行」は、ことし9月2日から、普通預金金利をいまの年0.02%の5倍の年0.10%に引き上げます。これは2008年11月以来およそ16年ぶりの水準となります。

このほか、三井住友銀行は8月6日から、みずほ銀行はことし9月2日からそれぞれ普通預金金利をいまの年0.02%の5倍の年0.10%に引き上げます。

各行とも、普通預金金利の引き上げは、ことし3月のマイナス金利解除以来で、大手銀行の引き上げは、今後、ほかの金融機関に影響を及ぼしそうです。

円相場 一時1ドル=150円台まで値上がり

31日の東京外国為替市場では、日銀の追加利上げの決定や植田総裁の記者会見を受けて、円高ドル安が加速し、円相場は一時、1ドル=150円台まで値上がりしました。

1ドル=150円台となるのはことし4月以来、およそ4か月ぶりです。

市場関係者は「植田総裁の記者会見の内容から次の利上げに対してこれまでよりも前向きに発言していると市場は受けとめたのではないか」と話しています。

大手商社は前向きに受け止め

日銀が追加の利上げを決めたことについて、住友商事の諸岡礼二CFOは31日の決算発表の会見で「物価や景気といった日本の経済の状況が上向き基調にあることを日銀が確認して正常化を進めているという意味では、全体として非常にいいことではないか。長いあいだデフレに苦しみ、それに対する対策が長期間にわたったが、その出口に向かって上向きの動きが始まったと感じる」と述べました。

また、利上げによる自社のビジネスへの影響については「短期的には資金の調達コストが上がる影響はあるが、中長期的には収益面へのプラスの効果もあるので業績に与える影響は限定的だ」と述べました。

同じく31日決算会見を行った豊田通商の岩本秀之CFOは「このタイミングで金利を上げていくことは、日本の経済が強いと世界に知らしめるという意味でもポジティブだと思っている。資金は円での調達が多いが、欧米が利下げ局面なので日本から海外に調達をシフトしていく流れが出てくると思う」と述べました。

JAL「利上げで円高にもう少し動けば非常にありがたい」

日銀が追加の利上げを決めたことについて、日本航空鳥取三津子社長は「昨今、為替の円安傾向が極端な状況になっているが、燃料費の増加や日本人が海外に出かけるアウトバウンドへの影響が非常に大きい。利上げで、円高にもう少し動けば非常にありがたいなと思っている」と述べました。

日立「必ずしも円安はいいところばかりではない」

日銀が追加の利上げを決めたことについて、日立製作所の加藤知巳CFOは31日の決算会見で「利上げについては想定どおりだが、これまで金利がマイナスの状況が続いてきたなかでの金利の引き上げなので、金利コストがあがるとお客様の投資行動に影響するなどの影響が中期的には少し出てくるのではないかと気にしている。ただ基本的には、金利のある世界に戻るというのは、普通に戻るということと解釈している」と述べました。

そのうえで、為替については「必ずしも円安はいいところばかりではない。我々は企業経営をやってく時に安定的な相場というのが一番ありがたいし大事かなと思っている。基本的に日本の経済が強くなって、現状よりも徐々に円高に戻っていくのが望ましいのではないか」と述べました。

旭化成「大きな意味ではいい方向に向かっている」

日銀が追加の利上げを決めたことについて、旭化成の堀江俊保専務執行役員は、31日の決算発表の会見で「これまでは過度の円安だったと思っている。原料や輸送費などがかなりインフレになっているので、円相場はある一定のレベルで落ち着くことが非常に大事だと思っていて、大きな意味では、いい方向に向かっていると考えている」と述べました。

追加利上げの影響は

今回の追加利上げによって企業や家計にとって“金利のある世界”の本格的な到来がいっそう意識されることになりそうです。

今回の追加利上げに伴いまず想定されるのが、金融機関に預ける預金の金利の引き上げです。

日銀がことし3月にマイナス金利を解除したあと、メガバンク各行は普通預金金利を0.001%から、20倍の0.02%に引き上げましたが、今回の利上げを受けて金融機関は金利をさらに引き上げるとみられます。

住宅ローンの金利も上昇する可能性があります。

住宅ローン利用者の7割以上が選択している変動型は、短期の市場金利の影響を受けます。

マイナス金利の解除後、ネット銀行などでは変動型の金利を引き上げる動きも出ていますが、メガバンクは、日銀の政策金利の引き上げ幅が小幅だったとして、引き上げていません。

今後、それぞれの金融機関が変動型の住宅ローン金利を引き上げるかどうかを判断すると見込まれます。

また、金融機関が企業への貸出金利を引き上げれば、企業にとっては、新たに事業を始めたり、設備投資を行ったりする際に借り入れる資金の利払い負担が増えることになります。

中央銀行による利上げは景気を冷やすこともありますが、日銀や金融関係者の間ではほかの主要国と比べて、利上げのペースは緩やかで金利も0.25%程度と低い水準だとして、今回の追加利上げが企業や消費行動に及ぼす影響は限定的だという見方があります。

日銀は物価も賃金も上がる好循環が順調に進んでいけば、政策金利を段階的に引き上げていく方針で、まずは今回の追加利上げによる影響を丁寧に分析していくことになります。

円安の方向感は

日米の金利差などを背景に円相場はことし4月以降、歴史的な円安水準が続いてきましたが、日銀が追加の利上げを決めたことをきっかけにこうした傾向に変化が出てくるかが注目されます。

日銀はことし3月にマイナス金利政策を解除し、およそ17年ぶりの利上げに踏み切りましたが、その後も市場では、日銀の金融政策の正常化には時間がかかるという見方や、インフレが続くアメリカで利下げの時期が遅れるという見方から円安ドル高が加速しました。

政府・日銀は4月から5月にかけて複数回にわたって市場介入を行いましたが、その後もじりじりと円安が続き、7月3日には一時、1ドル=161円台後半をつけて1986年12月以来、およそ37年半ぶりの円安ドル高水準を更新しました。

こうした状況が変わり始めたのは今月中旬以降で、きっかけの1つが日米の金融政策に対する市場の思惑です。

市場では、ことし9月にもアメリカが利下げに動くという観測が強まった一方、日銀が追加の利上げに踏み切るのではないかという見方が強まり、為替が円高方向に動くようになりました。

市場の見方どおり、日銀は31日、追加の利上げを発表しましたが、こうした動きが歴史的な円安からの転換につながっていくかが注目されています。

また、円相場の動向を見る上で、アメリカの金融政策の行方も大きな鍵を握っています。

FRB連邦準備制度理事会は日本時間の8月1日未明まで金融政策を決める会合を開きますが、市場では、このところインフレの鈍化を示す経済指標が相次いでいることから今回の会合では政策金利を据え置くものの、次回・9月の会合では利下げに踏み切るという予想が強まっています。

会合後に発表される声明文や、パウエル議長の記者会見での発言も焦点で、FRBが今後も利下げを進める姿勢を示すことになれば、円高ドル安方向に進む材料となります。

一方で、歴史的な円安の背景には貿易赤字など日本経済の構造的な要因があるとして、さらに円高が進むかどうかは不透明だという指摘もあるほか、ことし11月のアメリカの大統領選挙をめぐる不透明感の高まりから、円相場の方向感が定まるまでには時間がかかるという見方もあり、為替市場の先行きを見極める上での焦点となっています。

日銀の植田和男総裁は31日、金融政策決定会合後の記者会見で、今後も経済・物価情勢が見通し通りに推移していけば追加利上げしていく方針を示し、政策金利について2006年からの前回の利上げ局面のピークである0.5%が「壁」になるとは「認識していない」と明言した。

日銀はこの日の決定会合で、無担保コール翌日物金利の誘導目標をこれまでの0―0.1%程度から、0.25%程度に引き上げることを決めた。利上げはマイナス金利の解除を決めた3月以来 もっと見る 。

植田総裁は利上げに踏み切った理由として、経済・物価がこれまで日銀が示してきた見通しにおおむね沿って推移していることを最大の理由に挙げた。為替円安で輸入物価が再び上昇に転じ、物価の上振れリスクに注意する必要があることも理由としたが、物価見通しには大きな影響を与えていないと説明した。

植田総裁は、今回の利上げは実質金利が非常に低い中での「少しの調整」に過ぎず、「強いブレーキが景気等にかかるとは考えていない」とも語った。

このタイミングでの利上げについて、先行きの急激な利上げを回避するというプラス面もあると指摘。少しずつ早めに調整しておいた方が後で楽になるとの認識を示した。

今後の金融政策運営については「経済・物価情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針だ」と語った。次の利上げタイミングについては「前もって決めてパスを思い描いているわけではない」とも述べた。年内の追加利上げの可能性については「データが見通し通りに出て、ある程度の蓄積なら次のステップにいく」と述べ、排除しなかった。

決定会合前に岸田文雄首相や自民党幹部から金融政策の正常化を容認するような発言があったことについては、コメントを控えた。その上で、政府とは日頃から緊密に情報交換しており、経済・物価情勢に関する基本的な認識は共有していると強調した。
日銀はあわせて26年3月までの国債買い入れ減額計画を公表した。原則として四半期ごとに4000億円程度ずつ減額していき、26年1―3月の買い入れ額を月3兆円程度にするとした もっと見る 。

植田総裁は日銀の国債保有残高は買い入れを減額して行っても7―8%の減少にとどまるため、買い入れ減額に伴う金利上昇圧力は「大したものではない」と述べた。

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