https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

ことし6月の働く人1人当たりの基本給やボーナスなどを合わせた現金給与の総額は、前の年の同じ月と比べて4.5%増加し、およそ27年ぶりの高い伸び率となりました。こうしたことから、物価を反映した実質賃金も27か月ぶりにプラスに転じました。

厚生労働省は全国の従業員5人以上の事業所、3万余りを対象に「毎月勤労統計調査」を行っていて、ことし6月分の速報値を公表しました。

それによりますと、基本給や残業代、ボーナスなどを合わせた現金給与の総額は1人当たり平均で49万8884円と、前の年の同じ月に比べて4.5%増加し、1997年以来およそ27年ぶりの高い伸び率となりました。

このうち、基本給などにあたる所定内給与は26万4859円と2.3%の増加で、ボーナスなど特別に支払われた給与は21万4542円と7.6%増加しました。
こうしたことから、物価の変動分を反映した実質賃金は、前の年の同じ月に比べて1.1%増加し、27か月ぶりのプラスに転じました。

厚生労働省は「ことしの春闘の影響で所定内給与が引き上げられたうえ、6月にボーナスを支払う事業所の数も例年以上に増え、実質賃金がプラスに転じたとみられる。今後も物価高騰は続くとみられるが、プラスを維持できるのか注視したい」としています。

ことし6月に2人以上の世帯が消費に使った金額は、物価の変動を除いた実質で前の年の同じ月より1.4%減り、2か月連続で減少しました。エアコンの購入など暑さ対策の消費は伸びましたが、物価高などを背景にした消費者の節約志向は続いています。

総務省が発表した家計調査によりますと、ことし6月に2人以上の世帯が消費に使った金額は28万888円で、実質で前の年の同じ月より1.4%減りました。

減少は2か月連続です。

内訳を見ますと「電気代」はことし5月の使用分では政府による負担軽減策が縮小したことに伴って、家庭での節電指向が強まったとして9.1%減少しました。

また「通信」が携帯電話の料金プランを割安なものに切り替える動きが続き、8.3%減ったほか「自動車購入」は一部の自動車メーカーで生産停止があった影響から6.1%減りました。

一方、暑さ対策の消費は伸びました。

気温の上昇を背景にエアコンの購入などが増えた「家庭用耐久財」は62.8%増加、支出の割合が大きい「食料」もアイスやシャーベットといった菓子類の消費が伸びたことから全体として1.5%増え、3か月ぶりに増加しました。

このほか、合わせて発表された勤労者世帯の収支の内訳によると手取りを示す「可処分所得」は実質で8.5%増えて、増加幅は前の月より3.2ポイント拡大しました。

総務省ではことし6月から始まった定額減税の影響がみられるとしています。

財務省は全国の景気の現状について「一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復しつつある」とする判断を据え置きました。先行きについては、海外での景気の下振れや金融資本市場の変動などの影響に注意が必要だとしています。

財務省は6日、3か月に1度の財務局長会議を開き、全国11の地域の景気の現状をとりまとめました。

この中では全国の景気の現状について「一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復しつつある」として去年7月以降、5期連続で判断を据え置きました。

地域別にみると、北陸で判断を引き上げる一方、四国では引き下げ、残る9つの地域では判断を据え置きました。

項目別にみると、「個人消費」は物価上昇の影響などがみられるものの、緩やかに回復しつつあるとしています。

消費者の間で節約志向が進み、衣料品などが低調でしたが、エアコンや化粧品が好調で外国人観光客による宿泊や高額品の購入も目立ったということです。

「生産活動」は、自動車メーカーの一部が生産や出荷を停止した影響などから持ち直しに向けたテンポが緩やかになっているとしています。

また「雇用情勢」は、緩やかに改善しつつあるものの、企業の人手不足感は強まっているとしています。

先行きについては雇用や所得環境の改善で緩やかな回復が続くことが期待されるとしながらも、海外での景気の下振れや、金融資本市場の変動などの影響に十分注意する必要があるとしています。

金融市場で株価の急激な変動が続く中、財務省金融庁、それに日銀は6日、臨時の会合を開きました。会合のあと財務省の三村財務官は世界的に急速なリスク回避の動きがあったという認識を示した上で、政府と日銀が連携して金融市場の動向を見極めていくと述べました。

不安定な金融市場の動きを受けて財務省で開かれた3者の会合には、財務省の三村財務官と金融庁の井藤長官、それに日銀の加藤理事らが出席しました。

この3者会合が開かれるのは、急速に円安が進んだことし3月以来です。

会合では、市場の動きが不安定になるなかでも、高い水準で賃上げなどが行われており、日本経済は緩やかに回復しているという認識を共有したということです。

その上で、政府と日銀が連携して金融市場の動向を見極め、経済や財政運営に万全を期すことを確認したということです。

会合のあと三村財務官は、記者団に対して「市場参加者の声を聞くと、海外の景気悪化の懸念のほか地政学的な緊張の高まりを背景にした急速なリスク回避の動きが世界的にあったと承知している。経済金融市場の動向について緊張感を持ったうえで、冷静に何が起きているのか見極めていくことが大事だという点で一致した」と述べました。

「サーム・ルール」はリセッション(景気後退)を予期する指標とされるが、日本銀行が不必要な利上げをするタイミングはより優れた指標かもしれない。

  ここ数日の出来事まで、日銀の植田和男総裁は前任者による大規模な緩和策を、市場を動揺させることなく解除したことで称賛を得ていた。その称賛は今や、早過ぎたように見える。

  日経平均株価が史上最高値を試した3月の利上げとは対照的に、植田総裁が7月31日に追加利上げに踏み切った後に、市場は前例がないほどの急落に見舞われた。

  急落は東京にとどまらず、同僚のジョン・オーサーズ氏がコラムで書いたように、むしろウォール街で起きていることや米経済への期待に起因している。アジアでは5日、台湾と韓国の株式相場も日本株と同様の売りに見舞われた。

  しかし、 歴史的とも言える利上げをしたのは日本だけだ。そして日本では、最も大きな動きが見られた。TOPIXと日経平均株価は共に12%余り下げ、1987年のブラックマンデー以来の下落率となった。TOPIXは過去最悪の3営業日続落で、銀行の株価指数は1営業日としては史上最大の急落。日本国債10年物利回りはここ20年間で最も大きく低下し、円相場は年初以来の水準まで上昇した。

  日本当局は、このような事態になるとは予想だにしなかっただろう。米連邦準備制度理事会FRB)が利下げを遅らせ市場が動揺していたところに、米雇用統計の悪い数字が飛び込んできた直前の日銀の動きは、不運だったとしか言いようがない。これは日銀が無能だったということではない。有力政治家たちが利上げを要求して日銀にプレッシャーをかけていたのだから責任は政治家にもある。

  とはいえ、米国のリセッションという市場の予想が現実になった場合、日銀の動きはまたもや見事にタイミングを外したことになるだろう。サーム・ルールとは、このルールを考案したブルームバーグ・オピニオンの同僚クラウディア・サーム氏が論じているように、失業率を用いてリセッションの始まりを検知するものだ。

  われわれは「日銀利上げの法則」を検討すべきだ。歴史を見ると、日銀は一貫して世界経済がリセッションに向かうまさにその時に利上げを実施してきた。

  日銀が2000年夏に開いた金融政策決定会合で、政府はゼロ金利政策の解除が時期尚早だとしてそうした決定を遅らせようとした。当時、日銀審議委員だった植田氏も賢明にも反対したが、どちらも退けられた。そのわずか数カ月後にドットコムバブルが崩壊。日銀はゼロ金利政策の復活を余儀なくされ、量的緩和が導入された。06年と07年の利上げ後には08年のリーマン・ブラザーズ破綻が続いた。

  どちらのケースも、起こったことの責任は日銀にはなかった。しかし当時でさえ、可能な限り緩和的な政策を必要としていた経済にとって、この動きは時期尚早で不必要だったという批判は十分にあった。

  今回の株価暴落で植田総裁の追加利上げ計画が中止されたと判断するのは早計だが、総裁が立ち止まることは間違いないだろう。政治家が震え上がることも確実だ。日銀に利上げを行うよう露骨に要求していた河野太郎デジタル相と茂木敏充党幹事長は、生卵を投げつけられかねない。

  また、植田総裁が就任後1年間はゆっくりと理路整然と動いていたのに、なぜ今になって行動を起こす必要があったのか、という疑問も生じる。継続的な円安をどうにかしろという政治的圧力が働いたのではないかと臆測せずにはいられない。そうでなければ、今回の措置は不必要だったように見える。

  日本政府は、金利のある世界での対応に慣れていない消費者や企業のセンチメントを注意深く扱っていく必要がある。賃金上昇と物価上昇の「好循環」は、それが存在しているとしても脆弱(ぜいじゃく)だ。政府が新NISA(少額投資非課税制度)の導入で投資を積極的に促進している今年、株式相場の暴落を大きく伝えるニュースは消費意欲を減退させるリスクがある。しかし5日、当局はほとんど何もしなかった。

  今回のブラックマンデーは、論理的な反応というより、単なるパニックのように感じられた。しかし市場はしばしば、非論理的だ。植田総裁は、次の一歩を踏み出す際に論理的であることが必要だろう。

関連コラム:

【コラム】バフェット氏のバタフライ、東京でモスラに-オーサーズ
【コラム】「金利のある世界」、日本は準備できているか-リーディー
【コラム】植田総裁の大一番、ブラックホールに落ちた-リーディー
【コラム】植田総裁、干渉かわし慎重さ貫くべき時-リーディー&モス

原題:Tokyo Market Rout — Oops, the BOJ Did It Again: Gearoid Reidy (抜粋)

d1021.hatenadiary.jp

1987年のブラックマンデーのころ、日銀は利上げの検討を始めていたが、マーケットの混乱を受けて利上げは封印。実際に最初の利上げに踏み切るのは1989年5月にずれ込んだ。この利上げの遅れがバブル形成の大きな要因になった。
今回の市場の激動は日銀のスタンス変化だけで引き起こされたわけではないが、無関係でもない。
ただ、我々は1987年の教訓に学び、マーケットに優しくなり過ぎて金融緩和を続ける愚を繰り返してはいけない。

d1021.hatenadiary.jp

#日本経済