https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

第16回 日本人の自然観と宗教 山折哲雄(国際日本文化研究センター所長)

 宗教は人類の誕生とともに発生し、人は宗教なくしては生きられないと思います。実際、神のいない世界というのは、広漠としたものにしかならない。
 私は学生に、ピカソの絵は"青の時代"から"ゲルニカ"まで、救いのない絶望の絵画だといいます。なぜなら、それはピカソが神を殺してしまったからだと。西洋近代は神を葬ることによって、新しい時代を創造しました。しかし、宗教の消えた世界では、絶望を表現するしかなかったのかもしれません。

 これまでの宗教にかわる、人類のための普遍的な宗教が、はたして今後生み出されるのか、それはまったくわかりません。ただ、このような時代の転換期にあって、山、森、川、動物、鳥、虫、花、それらの自然のなかに神を見出した日本の伝統的な宗教感覚が、もしかすれば、ひとつの意味を持ってこれからの人類のために貢献することができるのではないでしょうか。
 日本人はこのような宗教感覚を、世界に向けて発信していく必要があると思います。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20080113#1200223108