■

『日本国憲法とは何か』
P85

　ロック自身はそれほど歴史の連続性や伝統の断絶を意識した人ではなく、むしろ名誉革命を正当化したように、歴史の連続性や伝統を重視した人です。しかし、彼が使った理論自体は歴史の断絶、歴史の非連続性を打ち出したものになっているのです。ですから、ロックの中には、伝統と革命性という二つの相反するものが同居しているように見えます。ロックが正当化の理論を提供した名誉革命は伝統にもとづいた歴史への回帰でしたが、彼の理論自体は、皮肉にも革命的な、歴史とは断絶された状態を招く結果となってしまったのです。