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『波乱の時代(下)』
P27

 資本主義は、ひとりひとりの胸のうちで葛藤を引き起こす。精力的な起業家になるのか。ソファでポテト・チップを食べながら、競争のストレスが少なく、すべての参加者の所得が等しい経済を夢見るのか。競争は経済の進歩に不可欠なものだが、わたし自身、いつも競争を楽しんできたとはいえない。タウンゼント・グリーンスパンの顧客を引き抜こうとするライバル企業を快く思ったことはない。だが、戦う以上、自分が向上しなければならなかった。

P28

 残念なことだが、経済成長は、永続する満足感や幸福を生み出すことができない。生み出せるのであれば、過去二世紀で、世界の一人当たりGDPは十倍に増えたのだから、満足感も大幅に高まっていたはずだ。所得が増えれば確かに幸福度も上がるが、それは、基礎的なニーズが充たされる時点までで、しかも一時的であり、それを超えると、幸福度は相対的なものになり、長期的には経済成長とはほぼ無関係になることが事実によって示されている。

P31

 幸福が物質的な豊かさだけで決まるのであれば、資本主義の形態はすべて、もっとも活力があり生産的なアメリカ型モデルに収斂するのではないだろうか。だが、このモデルは、もっとも多くのストレスを生み出す形態でもある。

P32

 それぞれの社会にとって、この選択は事実上、物質的な豊かさとストレスのなさの間でバランスをどうとるかの選択であり、その社会の歴史と、社会が育んできた文化に左右されるように思われる。

P332

恐れや強制よりも、やる気を引き出すインセンティブの方がはるかに効率的なのは、歴史が雄弁に物語っている。

 創造的破壊のマイナス面への不安から、ほぼすべての先進国と一部の開発途上国は、競争のストレスを減らす代わりに、物質的豊かさの水準を落とすことを受け入れる選択をしてきた。

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