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石原莞爾「新日本建設大綱」

八二 明治以来日本の興隆に果した教育の役割は没すべきではないが、しかし今日の悲境と行詰りをもたらした教育上の諸弊害を究めることが、教育の新方途を定めるに特に必要である。学校教育の欠陥は二三にして止まらないが、これを要約すれば、第一に商品的大量生産方式で行なわれたこと、従って貧しき者は学び得ず教育ある者ほど利己主義となり悪平等は有能者の向上を阻(はば)み無能者に過重の負担を強いる等の結果を生んだこと。第二に商品的教育方式と封建的強制教育の結果、思考力の向上を阻み個性の発揮を至難ならしめたこと。第三に急激に西洋文明を採り入れる必要上学科偏重に陥り、その結果労働忌避の習慣を生じ実生活と遊離し、体力の低下を来したこと等を著しいものとしてあげなければならない。
八三 かかる学校教育上の欠陥は互いに相結束して学閥を形成し、無能者が学閥を頼って自己の支配的地位を獲得維持せんとする牙城として利用した。学閥は、国民のすべてが分に応じて働く態勢にとって最大の障害であり、指導者が固定して社会の生成発展を妨げる最大原因であった。新日本建設のためには先ず学閥を打倒しなければならぬ。