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編集委員 伊奈 久喜
 振り子は二次元の断面を動く。自民党内の首相交代はまさにそれであり、政策交代の動きも、同じ平面上の移動だ。一方、政権交代を「政権党の入れ替え」と定義すれば、それは振り子の動きではない。権力の重心が平面ではなく三次元空間を移動する。
 民主党政権ができれば、全省に合わせて百人以上の政治家が配置される。是非の判断は留保するが、権力構造が変化し、民主政治の活性化につながれば、政権交代の機能とされる。
 長期的安定が必要な分野でも政策が頻繁に変わる、例えば年金制度が政権交代のたびに変わる、とする。有権者がそれを嫌がって政権交代をためらえば、民主政治の停滞を招く。
 外交政策も安定と一貫性が重要とされる。だから一九九三年に誕生した非自民の細川連立政権も、外交政策自民党政権のそれを基本的に継承した。
 日本にとって国際情勢の多くは、残念ながら所与の条件である。政権交代があっても日本政府が変えられる部分は限られていると判断したのだろう。
 民主党政権が誕生した場合、小沢一郎氏の国連原理主義が政策になり、インド洋での給油を本当にやめるのか。やめられるのか。韓国の前政権を国際社会がどう見たか思い出す。

日経新聞朝刊)