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【日本の未来を考える】東京大・大学院教授 伊藤元重

重要なことは、現在の経済環境の中での景気対策のあるべき姿は何かという点について突き詰めて考えることだろう。

 世界経済が深刻な経済後退期に入っている。過去5年ほどの際だった好景気とその下での過熱やバブルの大きさを考えれば、景気後退の規模も相当大きいものと想定される。まさに、「山高ければ谷深し」である。

確かに経済学の教科書には財政政策によって景気を刺激する政策について多くの記述がある。しかし、その多くは諸外国との相互依存関係を想定しない閉鎖経済という単純な世界を想定したものである。現在の日本経済のように外需に大きく依存した経済で、あるいは多くの国の景気の動きの連動性が強くなっているという現在の世界経済の現実の下では、財政政策によって景気の流れを大きく変えようというのは難しいだろう。

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 さらに加えれば、日本はすでに強力な財政的景気刺激策をずっと続けてきているのだ。毎年の財政赤字が25兆円を超える規模であるということは、その金額だけ税収を超える歳出が行われている。この金額は日本のGDPの約5%に相当するが、日本はGDPの5%の規模の財政による景気刺激策を続けてきたのだ。