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政府は来年度予算案の前提となる経済成長率の見通しを、22日の持ち回り閣議で決定しました。

それによりますと、GDP国内総生産の伸び率は、物価の変動を除いた実質でプラス1.5%程度とし、ことし7月時点の見通しよりも0.4ポイント引き上げました。

項目別では、
▽企業の間で賃上げの動きが広がることで、個人消費がプラス2.2%と堅調に伸びるとしています。

来年度は世界経済の減速による影響も懸念されていますが、政府が物価高などに対応するためにとりまとめた総合経済対策の効果で、民間の投資が促進されるとして、
▽設備投資はプラス5.0%と高い伸びを見込んでいます。

また、来年度の名目GDPの伸び率は2.1%と実質を上回る伸びとなり、その規模は571兆9000億円と過去最高になるとしています。

一方、今年度の成長率については、エネルギーや食料の価格高騰の影響を受けるとして、実質でプラス1.7%程度と7月の見通しよりも0.3ポイント引き下げました。

政府は来年度も景気の持ち直しが続くと見ていますが、海外経済の減速の影響が国内の景気を下押しするリスクなどに注意する必要があるとしています。

#経済予測

日銀が20日に決めた長期金利の変動幅拡大は市場に大きな衝撃を与え、5年国債利回りは一時、マイナス金利解除を織り込む水準まで上昇した。ただ、日銀が本格的に出口戦略を模索しようとしても、その先には「ナローパス」が待ち構えている。米景気が来年、後退の兆しをみせ、米連邦準備理事会(FRB)による利下げの現実味が増せば、円高・株安の波が日本に押し寄せ、緩和維持のニーズが高まるからだ。

その一方で、今回の日銀の決定の裏には、4月に就任する新総裁のフリーハンドを広げるという狙いもありそうだ。日銀ピボット(PIVOT 政策転換)へ向けて助走が始まったのではないか。

<前のめりの海外勢、マイナス金利解除を意識>

日銀ショックの翌21日、円金利は10年ゾーンだけでなく中短期ゾーンでも軒並み上昇し、5年金利は一時、0.26%とマイナス金利解除を織り込むような水準まで上昇した。しかし、22日は低下して、市場は冷静さを取り戻そうとしている。

これは、日銀の黒田東彦総裁が20日の会見で、イールドカーブコントロール(YCC)における短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%という「ピン止め」は動かさず、これを動かすには時間がかかりそうだと受け取れる発言を繰り返したことが、少しずつ浸透してきたということではないか。

こうした受け止めは国内勢の中で多く、海外勢の間では依然として早期の「マイナス金利解除」説が多いようだ。

<米景気後退なら、出口戦略の発動は困難に>

筆者は、もう少し長い期間を想定して、日銀の出口戦略には大きな関門が控えているとみている。最大の難所は、来年の米経済の景気後退リスクだ。

市場の金融政策の見通しを反映している米FFレート先物のカーブを見ると、ターミナルレート(最終到達地点)は5%に達せず、来年後半に2回の利下げを織り込んでいる。これは、米経済が景気後退と見られるほど落ち込み、来年のどこかの四半期でマイナス成長に陥っている可能性を予想していることになる。

このケースでは、来年のいずれかの時点で円高が急速に進展し、ドル/円が120円を割り込んでいる可能性もある。並行して株安が進み、政府内では2022年度予算案の成立を待って補正予算編成の必要性を検討しているかもしれない。

そうなれば、金融面からも景気を下支えすることが求められ、日銀が「出口戦略」の検討を政府に通告する外的環境ではなくなっていると予想する。

<ナローパスの現実味>

一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが予想する23年末のFF金利の水準(中央値)は5─5.25%で、23年中の利下げを想定していない。また、23年の経済成長率は0.5%を見込み、22年の0.5%予想から横ばいとなっている。

この想定のように進めば、急速な円高や米経済不振による外需への打撃を回避でき、日銀の政策転換を可能にする外部環境になっていると言えるだろう。

また、FRBの想定よりも米国の物価と景気が強めで推移し、ターミナルレートが6%に接近または6%台に乗せるという展開もありえる。今のところ、このシナリオを支持している市場参加者は少数派だが、昨年の今ごろ、今のようなインフレの進展を予想している参加者も少数派だったことを考えれば、可能性はゼロではない。このケースでも円高にはならず、株価の急落リスクも低下しているので、日銀の政策選択の幅は広がるだろう。

<懸念される中国のコロナ感染爆発と経済失速>

日銀にとっての大きな関門は、あと2つある。1つは中国のゼロコロナ政策の緩和によって感染者が急増し、緩和の目的であった経済の拡大とは正反対の景気失速を招くリスクが高まっている点だ。新たなワクチン接種をしない前提で96万4000人の死者が出るという香港大の試算もあり、黒田総裁も20日の会見で、中国の感染拡大による経済へのマイナス効果について注視していく姿勢を示した。

もし、中国経済が来年1─3月期にマイナス成長に転落した場合、国際通貨基金IMF)などが予想している23年の5%成長達成は困難になるだろう。中国発の世界経済混乱のシナリオが現実化した時も、日銀が超緩和政策の転換を図ることは難しくなる。

もう1つのリスクは、世界的な金融引き締めの結果、世界の金融・資本市場のどこかにブラックスワンが登場し、リーマンブラザーズ破綻時のショックと同等の危機が発生したケースだ。

このようなリスクがどれも現実化せず、急速かつ大幅な円高と株安が発生しないというケースに限り、次期日銀総裁の下での「出口戦略」が本格化する。これは相当の「ナローパス」と言える。ある意味で次期総裁が強い運気を持っているかどうか試される展開とみることができる。

<出口に2つの道、漸進型と急進型>

その上で問題になるのは、ここから先の「出口戦略」の道順である。まず、これまでのYCCを中心とした超緩和政策のメリットとデメリットを総括する「検証」を実施する可能性はどの道順でも高いだろう。

その上で、1)YCCの枠組みは当面残したまま、短期と長期の誘導水準を引き上げていく漸進型、2)YCCの枠組みを撤廃して短期金利の誘導に戻す急進型─の2つに大きく道が分かれるだろう。

どちらを選択するかは、次期総裁とその時の政策委員会のメンバーの判断にかかるが、漸進型の場合には、米景気がどこかで急速に悪化した時に「未完」のままで終了するリスクがある。その一方、今回の突然の変動幅引き上げで株価が大幅に下落したという事実は、「立て付けの変更」という大きな変化には大幅な市場価格の変動も伴うという教訓を生じさせたかもしれない。

いずれにしても、世界の市場関係者が「日銀ピボット」と呼んで、利上げの最終ランナーが超緩和政策を手仕舞っていくプロセスを注視することになるだろう。

<今回の決断、早めの助走開始か>

今回、市場や報道機関にとって想定外だった2022年12月時点での長期金利の変動幅拡大は、先々のリスクの大きさや変化の幅を考えた際に「助走期間」を長くとった方がいいのではないか、との考え方に基づいて決まった可能性もある、と筆者は考える。

来年4月に総裁が交代し、それから検証を経て長期金利の変動幅を変えるというのであれば、世界経済の変動に対応することが難しくなるので、手前で今回の対応をすることによって、次期総裁の下での政策委員会の判断に時間的余裕を持たせ、より円滑な体制移行を図るとの狙いがあったと筆者は指摘したい。

#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政