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金融政策の変更について(14時05分公表)金融調節手段に係る追加措置について (PDF, 188KB)
UPDATE1: 白川日銀総裁記者会見の一問一答

まず誘導目標金利だが、かつて日銀が採用したゼロ金利政策と異なり、金融調節によって、市場金利をできるだけゼロ%に近づけるという決定は行われていない。FRBについて事実上のゼロ金利導入という見出しが多かったと思うが、必ずしもそういう決定は行われていないと思う。既にフェデラル・ファンド金利は準備預金の対象外の機関であるGSEの影響によってゼロから0.25%のかなり低い水準で推移しており、それに沿って誘導目標が設定されているといえる。市場金利については、極めて低い水準ながら、プラスの金利水準を維持しつつ、誘導を図るという方針であることは、今回FRBが準備預金の付利金利を0.25%に設定したことに表れていると思う

私自身はゼロ金利と比べると、今回FRBが0.25%に設定したということを興味深く思った。金融機関にすれば、FRBというリスクの無い金融機関に運用すれば0.25%の金利が得られるので、マーケットでは0.25%以下で運用するインセンティブが無い。勿論、やろうと思えば付利金利をもっと下げることができたわけだが、0.25%にしたということの背後に、FRBがどういうことを考えたのかについては興味がある。

日銀は今回、コールの誘導目標金利を0.1%、当座預金の付利金利を0.1%とした。大きくとらえれば、ゼロに近い水準だが、かつての量的緩和の元で実現したゼロ金利というのは、徹底して量を出し、その結果、金利が徹底的にゼロに近づくことを追求したが、そうした意味での量的緩和ゼロ金利政策は採用されていないと理解している

言葉の定義の問題だ。定義は自分の好みですれば、色々な定義ができるが、とりあえず従来日本で言われていた量的緩和というのは、先ほど言ったように、当座預金の量にターゲットを定めて、これを大幅に拡張することで、流動性がどこかでマクロ的な景気刺激効果を生むことを期待する政策、それを量的緩和と呼んだ。当時、海外の学者が提案したのは、そういった意味での量的緩和だった。今回は米国はそういう意味での量的緩和は採用していないし、日銀もそうした意味での量的緩和は採用していない。ただ、何度も言ったように、金融市場の安定維持のために、それから市場金融の円滑化ということで、流動性を積極的に供給することは続けている。ただこれは、金融市場の安定化とか、個々の企業金融の安定を図っていく、その結果として、当座預金が増えていくというもので、少し意味合いが異なっていると思う

金利面から景気の刺激効果を狙っていくということであるが、その際、出発点の金利水準が0.3%なので、おのずとその低下の余地というのは限られてくる。その時に意識したことは、短期金融市場の市場機能を維持しておきたい、日本銀行の政策的な手段によって短期金融市場の機能がさらに低下していくということは避けたい──その両者のぎりぎりのバランスの中で、0.1%という水準が適切であるというように判断した