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(第2話)舞妓さんのもっとも大切な3つの言葉

「○○さん姉さんはたくさんせんなんことがあるのに、うちにまで配慮してくれはって、本当に感謝しています」という意図を明確に表さなければなりません。自分を育ててくれている周囲の人たちの意図への理解と、それを自分に実行してもらうことへの感謝を、育成される側の自分は明確に気づいているということを、「おおきに」という言葉にこめて言えるかどうかがポイントです。

些細なことに思われるような出来事1つひとつに、きちんとその場で素直に「おおきに」と言える新人さんは、「○○ちゃんは、ええ舞妓はんにならはるえ」と、みんなから認められ育っていくのです

 「すんまへん」とすぐに言えない新人さんは、「どんな別嬪さんでも、ええ舞妓はんになることは難しおすなぁ」

このときに、すぐに「すんまへん」と言えるかどうかを、周囲の人たちは見ているのです

 なぜ失敗したのか原因を探求し理由を言うことよりも、失敗を認めてすぐにきちんと謝ることが大切なのです。

しっかり見てください、導いてくださいと、扇子をもち、頭を下げる舞妓さんには、プロとしての気品が滲みます。

言葉として口にすることもあれば、胸の内で「どうぞ、よろしゅう、おたのもうします……」と言葉を反芻しながらお辞儀することもあります。

 プロとして仕事をすることは、責任をもって自分の役割を務めることです。心配をしても自分の能力以上の力を発揮することはできませんし、まして相手がそれに対してどのような評価をしてくださるのかまで差配することはできません。開きなおりではなく、精一杯の技能をお見せするように努力しますので、どうぞよろしくお願いいたしますと、頭を下げるのです。

舞妓さんたちは「おたのもうします」と言いながら、どのような評価でもそれを自分で受け止め、これから励みますという気構えを自覚するから、凛としてお座敷に立てるのです。