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【幕末から学ぶ現在(いま)】(16)東大教授・山内昌之 前島密

明治4年に帰国後、駅逓頭(えきていのかみ)としての郵便事業は、江戸以来の飛脚制度の廃止から始まった。

今とは逆に、郵政事業は民営の飛脚業者による自由競争から全国一律に国営化されたわけだ。時代状況によっては、民営であればよいというものでもないのだ。

 前島は、政府役人の旅行や、公用の手紙や品物の逓送だけでなく、日本国内どこでも一般人の手紙を相手に届ける制度をつくろうとした。時間のかかる信書のやりとりをどう工夫するのか、急用時にはどうするのか、手紙が届いたか否かをどう確認するのか。前島の偉いのは、官尊民卑の時代に、政府も民間も区別なく同一料金で利用できる大原則を立てた点である。

鉄道や海運の事業にも貢献し、国民の利便と社会の能率を第一に考えた前島の志こそ、郵政民営化の賛否両派ともに今一度たち返るべき原点であることは間違いない。