首相は23日、首相官邸で記者団に「私はいつも選挙の時、支援団体にきちんとあいさつするところから始めてきた。街頭遊説から始めるやり方もあるが、友好支援団体に実績を語り、選挙のお願いをするのが我々のやり方だ」と述べた。団体回りは首相の発案で、周辺は「首相がこれだけ必死に先頭を切って回っているとアピールするためだ」と語り、党内の士気を高める狙いがあると説明する。
首相は24日も5団体を回る予定だ。だが団体からは「業界が関係する国会議員連盟は超党派なので、特定政党の支持を打ち出すことは難しい」との声も漏れている。
【自民溶解】(下)首相、業界団体との修復に躍起も…病巣は深く
「やはり自民党でなければ、日本は守れない」
首相は各団体でこう言って、頭を下げ続けた。「命をかけて戦う」と明言した衆院選への決意のほどがうかがえる。
だが、社会・産業構造の変化に加え、規制緩和などにより業界団体の弱体化は年々進む。小泉純一郎元首相の構造改革路線に反発し、公然と反旗を翻す団体も出ている。首相はなんとか関係修復を目指すが、その道は険しい。
自民党の病巣は安倍政権で突如芽生えたわけではない。長い年月をかけて蝕まれてきたのだ。
自民党は変革により、新たな支持層をつかむ一方、旧来の支持層は崩れていった。
「政権交代」の風を受け、新たな支持層は吹き飛ばされた。かといって、旧来の支持層も戻ってこない。崖っぷちに追い込まれた自民党だが、党再生の処方箋はなお見つかっていない。