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大前研一「足し算の民主党」では経済は立ち直らない

要するに、自民党のやったことと民主党がやりたいことを合わせるという「足し算の政策」で進めるからこういうことになる。

過去10年間、成長していない日本のGDP

 国民が持てる金を使わなかったのは、日本の将来に不安を持っているからにほかならない。つまり日本はお金がなくて成長できなかったのではなく、将来に対する不安があったために国民が身構えてしまい、その結果成長しなかったのだ。

 日本の経済政策は20世紀の使い古されたマクロ経済学を駆使して突き進んできた。金利をゼロにする、マネーサプライを過剰なくらいやって、市場をジャブジャブにする。その結果は、先ほどのGDPのグラフに表れている。つまり、マクロ経済学には何の効果もなかったのだ。

亀井金融担当大臣も、金さえばらまけば景気は良くなる、などという(古巣の自民党で学んだ)亜説・俗説はメモリークリアしてもらいたい。

国民が身構えたら先進国では政府がいくら鐘や太鼓で鼓舞しても経済は(すなわち消費は)上向かない、ということを肝に命ずるべきなのだ。

国民の将来に対する不安を取り除く形で経済政策を打ち出すことができれば、国民の金融資産は市場に出てくる。

また、もし公的資金を使うなら需要のない田舎で公共工事をやって使うのではなく、民間資金が乗っかりやすい需要のある都市部を中心とするべきだ。具体的には都市再開発である。

 このことを理解してないのは日本だけでなく、米国も同様だ。嘆かわしいことに米国は時代に逆行して、10年前の日本の真似をやり始めた。

 そもそもゼロ金利政策そのものが良くない。銀行が努力をしなくなるからだ。銀行は、借りたお金をもとにお金を貸し出して、その利率の差で利益を上げる。ゼロ金利であれば、貸す先を無理に探す必要はない。1.5%程度の利回りがある国債を買えば、銀行は確実に利益が出せる。

 現に銀行は今、個人にも法人にもほとんど貸し出しをしていない。個人には傘下の消費者金融会社を通じて、法人には金融庁の審査の及ばないファンドを通じて貸し出す、という末期的症状である。大銀行はまさに郵便局と同じように集めた金を国債を買って運用する「銀行の郵貯」が進行してしまったのである。

 本来、民主党がやらなくてはいけないのは、自民党との違いを明確に打ち出すことだ。そして無駄を削ることである。特に問題視したいのは、自民党が最後に強行した15兆円の09年度2次補正予算だ。あれは麻生前首相が、選挙対策のために打ち出したものに過ぎず、効果は期待できない。だから15兆円すべてを取りやめにしてしかるべきものである。ところが鳩山政権が執行停止とするのは15兆円のうちの、わずか3兆円である。

このグラフを見て改めて「自民党最後の15年は実に重たい失政の歴史であった」と知るのである。

日本は自滅したのである。

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