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なぜ産業構造の転換が進まないのか−−池尾和人

「ペティ・クラークの法則」

ところが、工業品についても、欲望の飽和という問題がある。最初は「テレビが欲しい」と思っていても、一家に一台、あるいは一人に一台テレビが普及してくると、一人で2台も3台もテレビが欲しいとは考えない。欲望の対象の中心は、モノからサービスに移ってくる。すると、こうした需要構造の変化に適合するためには、サービス経済化していかなければならない。しかも、工業製品と違って、サービスの輸入は難しい。

こうした潜在的な需要構造の変化に応じて産業構造の転換が図られていかなければ、持続的な経済成長は実現しがたい。しかし、特段の障害が存在しなければ、市場機構の働きによって、自ずからそうした産業構造の転換が促されるはずである。

逆にいうと、産業構造の転換がうまく進んでいないとすると、上記のような市場機構の働きを阻害するものが存在しているということになる。

これは、サービスの価格が消費者の潜在的評価を反映する形で上昇ていないからである(だからデフレになっている)。