昨年、「二次電池による社会システム・イノベーション」というフォーラムを立ち上げ、今年3月からは新しい活動として沖縄県に対するコンサルテーションを行ってきた。「グリーンニューディール沖縄」と名付けて、6月に2つのプロジェクトを提案した。1つは「沖縄を電気自動車社会のショーケースとする」プロジェクトで、もう1つが「スマートグリッド沖縄実証実験」である。
「沖縄を電気自動車社会ショーケースとする」プロジェクトは、自動車メーカーの電気自動車の発売や発売予定のタイミングと合わせなければならないこともあり、予定通りのスケジュールで順調に具体化していった。そして10月16日には、沖縄の次世代エネルギービジネス検討委員会の第1回会合で、沖縄に充電サービス会社を設立することが決まった。2010年末には電気自動車のレンタカーが沖縄を走り始めることだろう。
しかし、「スマートグリッド沖縄」プロジェクトの方は、このようなスピードで進めるのは難しい。社会システム作りがもっと重たいからだ。時間のかかる機器の製造や建設工事があるし、太陽電池や二次電池の価格も今は高すぎて、採算性が悪すぎる。
そんな時に降って湧いたのがオバマ大統領の来日に合わせた、冒頭の日米合意である。
そもそもスマートグリッドとはいったい何なのかの定義が千差万別である。次世代送電網と呼ばれることが多いが、この呼び方は誤解を招きやすい。むしろ「次世代電気エネルギー社会システム」と呼んだ方がいいだろう。