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欧州の緊急支援メカニズム、政治・経済構造の格差には対応できず

シンクタンクである欧州政策センターのシニアアナリスト、ジャニス・エマヌイリディス氏は「今回の措置は危機対応策。長期間の安定にとって重要となる長期的な経済政策の協調の仕組みを導入したわけではない」と述べた。

 問題の核心は、ギリシャポルトガル、スペイン、アイルランドを苦しめている高水準の財政赤字や債務と、南欧諸国の構造的な経済面での欠陥。将来の危機回避には財政赤字・債務の抑制と、これら諸国の競争力欠如や低成長の根本的な調整が必要と、EU政策当局者やドイツのメルケル首相は訴えてきた。今回の支援策は、これらの問題に対応していない。

 ギリシャは支援を得るため、緊縮財政策、年金や労働市場改革、増税などを打ち出した。ポルトガル、スペイン、イタリアなどの国々も、問題を未然に防ぐためギリシャ同様の政策を打ち出すよう圧力がかかっているが、政治的には不人気の施策だ。また、この過程ではドイツなど主要国との対立を生みかねず、その場合ギリシャで生じたような社会的不安を引き起こしかねない。

 欧州改革センター(ロンドン)のディレクター、チャールズ・グラント氏は「南欧諸国は何年にもわたり痛みを被る。これは始まりにすぎない。南欧諸国の競争力欠如という危機の基本的原因はなくなっていない。競争力の問題は深刻なため、危機は5年間は消えないのではないか」と述べた。

問題は南欧に限らない。ドイツは大幅な貿易黒字や低迷する内需が不均衡につながっており、ユーロ圏経済に影響していることを認識する必要がある。前出のグラント氏は「ドイツは自らが問題の一部ということを理解していない。ドイツは経常黒字削減へ需要を刺激する必要があるが、政治的緊張や、経済不均衡の緩和に誰が何をしなければならないかという議論につながることになる」と述べた。