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【ビジョン】宝塚男役25年の轟悠 後輩に「甘い考えはとんでもない!」

 −−植田さんとは「エリザベート日本初演以来の顔合わせとか(当時、轟は雪組3番手男役)


 「植田先生は当時、演出助手をされていました。植田先生のこれまでの作品を見ていると、魂を削りながら書く方という印象があります。(「オネーギン」のけいこ場では)意見のぶつかり合いも出てくるかもしれませんが、いい舞台の幕を開けるために必要であれば仕方がないこと。見ている“方向”が一緒であればいいと思います。それに、悩まずして演じる役ほど、つまらないものはないですし」

 −−ちなみに、原作は読まれましたか


 「日本語訳のものを、少しずつ。ちょっと難しい言葉だったので(笑)、想像しながら、読み返しながら進めました。しかし、私はやはり台本を一番に考えたい。それが私の取り組み方で、植田先生の書かれた一字一句を大事にしたいです。また、宝塚はビジュアルも大事ですから、その点ではどこにも引けを取らない衣装やセットなどの力を借りてロシア貴族の世界を見せられればと思います」

 −−4年後には、宝塚は100周年という大きな節目を迎えます。宝塚にとって今、必要なことはズバリ何だと考えますか


 「基本中の基本はやはり『清く正しく美しく』。どれだけ時代が進んでも、人に心があるということは変わらない。生きている人間が演じ、生きている人間が舞台を見る。お客さまも見る目がどんどん上がっていらっしゃいますし、演技者としては、心をもっと豊かにして舞台に臨まなければと思います」


 「また、今は生活は便利になりましたが、悲しいニュースも多い。殺伐として風が吹いているような人の心のすき間を、宝塚は埋められる場所でありたい。こういう時代だからこそ、心を込めて舞台に立たないといけないのではと思います。宝塚というところは、外から見たら“お嬢ちゃん”がやっているというイメージがあるかもしれませんが、甘い考えで作品を作っていくのは、とんでもないことだと思っています。悲劇、喜劇、そして宝塚の基本であるラブロマンスと、多くの作品、質のよい舞台を仕上げていくために、妥協は一切できません」