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体操・田中理恵の父「理恵はとうとう恋人作りませんでした」

「強くなるとどんどんお金がかかります。理恵と、兄、弟も各地の試合に出る。それに、妻と私が同行する。選手の宿は指定されてます。ひとり1万円の宿泊費で、1週間滞在すると7万。掛ける5人で35万円。私の月給分です。


 これに、交通費、食費。年間、どのくらいかかるか怖くて計算できません。とにかく、ボーナスは全部遠征費用に消えました。体操の選手をこしらえる、しかもオリンピック選手に育てるのは容易ではありません。私は延べ500人に教えましたが、オリンピック選手は3人です」

子どもに〈集中〉を教える、これが大変なことなのです。子どもの仕事は、勉強と遊びと社会性を学ぶ、これしかない。スポーツに時間を奪られて勉強がおろそかになる子もいる。だから、国語、算数、理科、社会も練習も集中しろと。それを繰り返し指導します。


 体操では、鉄棒の着地をよろめいた。となったら、着地を集中練習で徹底します。〈分習法〉と呼んでいます。この〈集中〉の会得に膨大な時間と手間、それに忍耐がかかるのです」

 この生活を、田中3兄妹は小学低学年から高校を出るまで続けてきた。休めない。だが年齢があがると、子どもは自我を訴えるようになる。


 田中理恵は体操の盛んな高校には行かず〈和歌山北高〉に進み、大学卒業時は郷里で教師になるのではなく、大学院に残って体操をつづけた。いずれも父の思惑とはちがった。


「理恵は一時太ったときもありましたが、自分で矯正し、とうとう恋人もつくりませんでした」