【高橋昌之のとっておき】少数の私利私欲議員のせいで「嘘つき」野田内閣が延命する不条理
私はこのコラムで「近いうち」といえば「先の通常国会中を意味する」として先の通常国会での解散を求めましたが、野田首相が解散に踏み切ることはありませんでした。普通、8月に「近いうち」と言えば、遅くとも「年内」と受け止めると思うのですが、どうやら野田首相にそういう常識的な感覚はないようです。
私が野田首相周辺を取材したところでは、野田首相は「最低でも平成25年度予算編成まではやり遂げたい」と考えているようです。そうである以上、次期臨時国会で内閣不信任決議案が可決されない限り、少なくとも年内の解散はないということになります。
では、臨時国会で内閣不信任案が可決される可能性はあるのでしょうか。消費税増税関連法案の採決造反で大量の離党者が出た民主党は今や党内から8人以上が同調すれば内閣不信任案が可決される状況にありますが、私のみるところ、可決される可能性はありません。
なぜかというと、民主党から内閣不信任案に同調する議員が出ないとみられるからです。同調する可能性があるのは、消費税増税関連法案に反対したものの民主党に居残り、野田首相に批判的立場をとっている議員で、その人数はボーダーラインの8人を上回っていて、内閣不信任案が可決されるかどうかのキャスチングボートを握っています。
しかし、その議員の主なメンバーである14人が11日夜、都内の中華料理店で会合を開き、「臨時国会で内閣不信任案が提出されても同調せず、否決する」という方針を確認しました。これによって臨時国会では内閣不信任案が提出されても可決されないことがほぼ確定的になりました。
14人の心理は、民主党を出ても展望がないから党に残っていたい、総選挙になると落選するからそれは絶対に避けたいという、私利私欲でしかありません。しかし、そのわずかな議員の私利私欲のために、国民の支持も政権運営能力も失っている政権が続いてしまうのです。私はこんな政治状況は不条理だと思います。
その批判の意味も込めて、ここであえてその14人の議員を列挙したいと思います。川内博史、山田正彦、篠原孝、辻恵、中川治、福田昭夫、橘秀徳、初鹿明博、福田衣里子、宮崎岳志、橋本勉の各衆院議員と徳永エリ参院議員です。みなさんはこの顔ぶれを見て、どう思われますか。許せますか。