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【一服どうぞ】裏千家前家元・千玄室 人間の悪、少しでも善に

禅宗の方では臘八(ろうはち)(12月1日より8日まで)の大接心(せっしん)が行われる。12月は臘月であり8日の暁に釈尊が菩提(ぼだい)樹の下で大悟されたので、それに因(ちな)んで8日の朝まで昼夜寝ずに座禅をする。

 執着心が強く支配する。それは「我」であってその我には欲がいっぱいついており、他を何とも思わず己のみの存在を意識する。これを「我儘(わがまま)」という。人間は生まれた時は丸裸だが、生じ成じていくに従って純真無垢(むく)でなくなり垢(あか)が溜(た)まってくる。その垢のついた心を何かで拭わねばならない。これが与えられた本分であるが、分かっていても分からないのが普通だから、いろいろな問題を抱えこんでしまう。

 家元として「茶の道が何であるか、何のために存在しているのか」と稽古や自身の修道を通じ大きな壁に何度もぶつかったが、ある年齢に達した時にやっとその疑問が解けてきた。中学時代、私は数学が嫌いだった。3年生の時の教師であった高橋勘先生が、嫌いな私を好きにさせようと極めて自然に数学や幾何を指導してくださった。指導者が指導者ぶらずに自然に自分のもっている才をお人に分け与えていく、これが人をして感化させるのである。

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