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【変わるかニッポン】安倍氏、圧勝も 「3分の2という麻薬」を警戒

 5年前、私は第1期安倍政権で内閣府大臣政務官に任命された。政権は、郵政選挙での圧勝による議席を受け継いでの前途洋々たる船出だったが、圧勝は人を無警戒にして組織を弱くする。安倍氏は人柄がよく友人を大切にするので、造反組を復党させ、考えや思想が一致する付き合いの長い議員を登用した。彼らが官僚や党内幹部を敵に回しても、失言しても、寛大に対応した。当選回数で上回る同世代議員の、安倍氏の早い出世へのやっかみもよく耳に入っていたが、どこ吹く風という感じであった。


 当時の自民党は「敵はうちにあり」というより「敵はうちにしかなし」という感じであった。大勝の後でもあったし、そもそも政権を失うリスクなど、私も含めて誰も想定したことがなかったと思う。質問することしか仕事がない当時の万年野党、民主党からも「政権を取れる。取ろう」との気概を見たことはなかった。小沢一郎氏抜きでの民主党の実力は今回の「第三極」並みの議席数だと思う。

 第1期安倍政権最初で最後の国政選挙となった2007年参院選では、郵政選挙以来「敵は内にあり」の状態だった自民党に厳しい審判が下った。だが郵政選挙を経た衆院議員たちの大半は、衆参のねじれを経験しておらず、「3分の2を使って再可決すればいいじゃないか」とばかり、参院過半数を失う重みをあまり理解していなかった。竹下氏の薫陶を受けてきた小沢氏は、その油断とすき間をついてきた。再可決の乱発が国民におごりと映り、参院の運営や国会同意人事でつまずき、ついには自民党に鉄槌(てっつい)が下った。

 第2期安倍政権の最初の国政選挙は来夏の参院選となる。安倍氏には「あの夏」が思い出されるのではないか? 参院過半数を失うことから、自民党の長期政権が終わった。やり残したことを貫徹すべく長期政権となるには、第一関門の参院選過半数を取ることが絶対条件だと認識していると思う。