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【鑑賞眼】宝塚歌劇 月組公演「ベルサイユのばら」−オスカルとアンドレ編

 来年、創立100周年を迎える宝塚の代表作。昭和49年の初演以来、再演を繰り返す人気の秘訣(ひけつ)は、新陳代謝する出演者と時代に応じ脚本・演出を大胆にアレンジする植田紳爾(しんじ)の柔軟さ、役替わりの妙味、毎度のサプライズという仕掛けのうまさと再確認した。変貌し続ける古典に、ファンは通ってしまうのである。

 今回、バスチーユ襲撃の群舞など古典としての名場面と型は踏襲しつつ、過去の舞台で冗長さも拭えなかったモンゼット侯爵夫人の場面などをカット。演出に鈴木圭も入った影響か、台詞(せりふ)が現代風になり、オスカルとアンドレ、それぞれの葛藤を丁寧に描く、引き締まったドラマになった。

 なお今回のサプライズは幕切れ、オスカルとアンドレの乗るガラスの馬車の「昇天」。銀橋(エプロンステージ)上部までせり出す馬車がクレーンで翔(かけ)る大仕掛けに、満員の客席がどよめいた。