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米FRB長期目標・金融政策戦略声明全文

FOMCは、最大雇用、物価安定、穏やかな長期金利の推進という法定責務を全うする上で確固たる責任がある。委員会は金融政策に関する決定について、できるだけ明快に説明を尽くすよう努力する。こうした明快さにより、家計や企業は十分な情報に基づいて物事を判断することが容易になるほか、経済・金融の不確実性は低下し、金融政策の効果が高まり、民主主義社会には欠かせない透明性や説明責任が強化される。


インフレや雇用、長期金利は、経済・金融の混乱に応じて時間とともに変動していく。加えて、金融政策は、時間のずれを伴いながら経済活動や物価に影響を及ぼす傾向がある。したがって、委員会の政策決定においては、一層長期的な目標や中期的な見通し、さらには委員会の目標達成を阻害しかねない金融システムリスクなど、リスクバランスの評価が反映される。


一段と長期のインフレ率は主として金融政策により決定されることから、委員会は一段と長期的なインフレ目標を特定し得る。委員会は、個人消費支出(PCE)価格指数の前年比変化率によって示される2%の伸びが、一層長期的にみて米連邦準備理事会(FRB)の法定責務に最も合致するとみなす。当該インフレ目標を公にはっきりと伝達することは、一段と長期的なインフレ期待を強固に抑制しつつ、物価の安定や穏やかな長期金利を促すとともに、多大な経済的混乱の中で最大雇用を推進するFRBの実行力強化につながる。


最大雇用水準は、概して金融以外の要因で決定され、労働市場の構造や力学に影響を及ぼす。こうした諸要因は時間の経過に伴い変化したり直接的に測定できない可能性がある。結果として、雇用に対して固定的な目標を特定することは適切とは言えず、むしろ委員会の政策決定は、最大雇用水準の評価が必然的に不明確で修正を余儀なくされることを認識した上で、そうした評価によって伝達されるべきである。その上で、委員会は当該評価を実施する上で、広範な指標を検討する。生産の伸び率や失業率の長期的に正常な水準に関する委員会参加者の見通しといった情報は、年4回公表されるFOMCの経済予測概況に記される。最も直近の予測を例に挙げると、FOMC参加者の長期的な失業率見通しは、中間予想値で5.2─6.0%と1年前から変わっていないが、数年前の時期と比較して大幅に高まっている。


金融政策を決定する上で、委員会はインフレが長期目標からそれたり、雇用が委員会の考える最大水準から外れるような状況を抑えるべく努力する。当該目標は一般的には相互補完的なものであるが、それぞれが相互補完的でないと委員会が判断した場合、委員会は、ずれの大きさに加え、雇用およびインフレがFRBの責務に合致するとみなされる水準に戻るまでの予想期間の差異を踏まえた上で、均衡ある手法に従う。委員会はこうした原則を再確認するとともに、毎年1月に開く年次の組織委員会において必要に応じて調整を図ることを目指す。