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コラム:「新興国危機論」に欠ける視点 | Reuters

第1に、そのような考えは、金融市場が現実世界の経済を完全に反映する鏡ではないということを忘れている。第2に、過去数十年かけて世界中の国々で進み、今年加速しそうな根本的な構造変化を考慮していない。


筆者が昨年8月のコラムで指摘したように、米国中心主義的な見方は20世紀にまでさかのぼり、当時と現在との違いは中国が台頭してきたことぐらいだ。そして、その中国の景気も最近は減速が見て取れる。その主な原因としては、中国政府が自国経済を国家主導のインフラ投資と輸出が主導するモデルから、内需主導型に移行すると決心したことが挙げられる。この方針転換による一次産品の需要減少は避けられず、そしてこうした需要は、先に挙げたような新興国経済の成長の源泉となってきた。


実際、とどまるところを知らなかった中国の原材料需要は、チリ、南アフリカインドネシア、ブラジルといった多くの国々の成長を押し上げてきた。そして、米国からの緩和マネーは、トルコやアルゼンチンなど投機的市場に流れ込んだ。しかしそれはあくまで、注目度も高く重要だが、限られた金融市場の話である。金融市場は時々乱高下するものだが、それでユニリーバスターバックスといった企業の活動が大きく阻害されたり、多くの国で中間層が台頭するのが止まったりすることはない。


新興国市場を評価する際、金融マーケットの重要性を過大評価するべきではない。マーケットの過大評価は、米国中心主義の見方を取り入れることにほかならない。市場がどう動こうと、有権者の数やスターバックスでのカフェラテの売り上げの方が、新興国経済の進展の目安となる。

上記のようなことに加えて、金融市場が見逃しているのは、今年は大統領選や議会選が予定されている国が多いことだ。