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実はNHKBS1はすごいインテリジェンス情報の塊

私が特に重視しているのは以下の番組。


ワールドニュース」(朝6:00〜6:50)
「キャッチ!世界の視点」(朝7:00〜7:50)
ワールドニュース・アジア」(午後2:30〜2:50)

もしこれから国際関係を勉強したい、中東を勉強したいという人がここを読んでいたら、まずハードディスク・レコーダーを買ってBS1の国際ニュース番組とBS世界のドキュメンタリーを毎日自動録画しておきましょう、とお勧めする。

 日本の「箱庭」的ダイジェスト文化の極致と言えるだろうか。よその国のチャンネルを毎日きちょうめんに整理して一つの番組を作って放送しているって、日本にしかないと思う。

 「キャッチ!世界の視点」の方は、「ワールドニュース」で使われたニュースをさらに切り取って、日本のスタジオの要約・解説が入る。最初は補助輪のように、要約・解説があった方が分かりやすいかもしれないが、より生のニュースに近い「ワールドニュース」の方が、長期的には得るものが大きいのではないかと思う。

 1局あたりは10分にも満たないのだから、1日見ただけでは大したものに感じられないかもしれない。しかし毎日10分を大学4年間見続ければ、ものすごい蓄積になる。もちろん毎朝この時間に起きて見られないこともあるだろう。だから録画しておく。興味を持てないニュースは早送りすればいい。私の場合、50分の番組を早送りやスキップを使って20分ぐらいで見ている。


 また、いろいろ諸事情があってニュースなど見る気がなくなってしまったり旅行に行ったりして、何日も、あるいは何週間も間が空いてしまったとしても、ハードディスクにためておいてまとめて見ると追いつける。


 実は、毎日見るよりもまとめて見た方が効果的かもしれないとすら思っている。

 なお、上の一覧では挙げなかったが、夜の10時からの国際ニュース番組は、3月までの「ワールドWave Tonight」から「国際報道2014」になった。


 内容が一番変わったのはこれではないか。「Tonight」の方は、基本は他の「ワールドWave〜」と同じ海外放送局の映像を用いて、その上で記者の解説や日本の専門家の解説が入るというものだった(私も何度か解説で出たことがあります)。


 それが、新番組の「国際報道2014」では、NHKの撮ってきた映像をより多く使い、NHKの方で組み立てたニュースを中心に報じようとしているようだ。そして、コンセプトとして最も重要な変化は、国際ニュースを「日本」が絡むものを中心に取り上げようとしているところだ。


 国際ニュース番組を「日本」に引きつけて構成することには、良し悪しがある。日本と関係している国際問題を取り上げる、あるいは日本の視点から国際問題を見るということは悪いことではない。むしろこれまでのNHKBS1の国際ニュース番組がすべて(夜の「ワールドWave Tonight」を含めて)、日本と切り離されたものとして国際ニュースを扱ってきたことの方が「異常」と言おうとすれば言える。


 しかし、「日本」に引きつけることで、下手をすると陥ってしまいかねない罠がある。第一に、「日本の視聴者の抱いている(と番組制作者が想像する)、ズレた視点でニュースを選択し、解釈し」てしまいかねないこと。地上波の各局ニュース番組の中東報道などはほぼ確実にこの種のものなので、私は「中東分析」の情報源としては一切見ていない。「日本での(中東に関する)論調」を調べるという目的のためにたまには見ますが、ほんのたま〜に、どうしても必要を感じた時だけです。


 第二に、さらに問題なのは、日本が絡んだ国際問題(中国とか韓国とかアメリカとか)を、NHKの記者やキャスターが本当に日本の政治的思惑から中立的に、批判的に報じられるかということ。それができないならば、「日本に引きつける」という新コンセプトの新番組は、せっかくの数少ないお金を出してまで見る価値のあるBS1の国際ニュース番組から時間を奪う効果しかなくなる。


 変に方々に「配慮」して意味不明にたわめた解説や編集を施して、元々のニュース映像の意味するところをぼかしたり、単に勘違いして解説したりするよりは、各国のニュースをそのまま流してほしい。各国の報道機関の生のニュース映像から伝わってくるものは、インテリジェンスの情報源の基本中の基本で、最も価値があるものだ。

 実は、NHKBS1の少し前の国際ニュース番組に携わっていた人に、聞いたことがある。その人は「この番組はやりがいがある。NHKでは考えられないぐらい自由にできる。ニュースの内容が日本に関係ない限りは、好きなだけ高度な内容、真実を追求できる」といったことをやや屈折した言い方ながら肯定的に述懐してくれた。