【解剖 政界キーマン】生活の党・小沢一郎代表 随所から“待望論” 野党の起死回生へ - ZAKZAK
4月に入って、公明党の国対幹部が「小沢さんは、どうしているのか?」と私に切り出した。生活の党の小沢一郎代表のことだ。もちろん、記者会見や全国の支部を回っているが、彼が言いたかったのはそんなことではなかった。
「いま野党各党がバラバラで、まったく怖くない。NHK会長発言や、法制局長官発言、安倍晋三首相の集団的自衛権絡みの発言でも『まずい』と思ったが、野党はまとまって国会を止めようともしなかった。そうすれば、こっちだって何か手を打たなきゃならなくなる。そういう国会対策の本質とか攻め方を知り尽くして、強引にまとめていくのは、小沢さんぐらいだろう」(同幹部)
敵から“待望論”が出るとは驚くが、それだけ今の野党には「仕事師がいない」(同)ということなのだ。
実は「小沢一郎」の名前は、最近至る所で出ている。
まずは、東京都知事選で「原発ゼロ」を掲げて戦った細川護煕、小泉純一郎元首相のコンビだ。5月には社団法人を立ち上げて、政界再編を念頭に活動を始めるが、細川氏が小沢氏との連携を口にしているという。
「細川連立政権以来の付き合いで、都知事選出馬も早くから打ち明けていた。投票の数日前、細川氏が小沢氏と電話した際、小沢氏は『今からでも(反原発の)宇都宮健児候補と一本化できる』と言ったという。今後、法人の活動や政党再編について、小沢氏と会って連携を確認する予定だ」(細川氏ブレーン)
このほか、合流を模索している、日本維新の会と、結いの党、民主党の担当幹部の1人は「いずれ小沢さんに相談に行く。反発する議員もいるから、最初はアドバイザー的な立場で助けてもらうつもりだ」と話す。
維新の橋下徹共同代表も近く、京都で小沢氏と政界再編などについて話すという情報もある。
そして、野党の実情にじくじたる思いを持っている連合からも小沢氏の話が聞かれる。
「連合を一番大事にしたのは小沢さんだったと思う。野党結集には力技と根回しがいる。小沢さんしかいない。民主党にはアレルギーがあるようだから、連合が民主党に『小沢さんを使え』とプレッシャーをかけるのも方法だ」(連合幹部)
当の小沢氏は「野党結集のためなら何でもやる。自分が表に立とうなんていう気はまったくない」と語っているという。小沢氏と会った旧知の民間経営者は「あの人は『自分が邪魔なら外から支援したっていい、1人だけ無所属になったっていい』という思いですよ」という。
ふがいない野党の起死回生のため、「キーマン・小沢一郎」の復活が現実味を帯びつつあるのか。 (政治ジャーナリスト・鈴木哲夫)