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イエレン米FRB議長の議会証言要旨 | Reuters

量的緩和策の解除>


引き続き労働市場の改善が見られ今後も進展が続くことが見込まれ、またインフレ率がFRBの長期的目標である2%に向かって次第に上昇していくとわれわれが認識する限り、資産買い入れの規模を今後も慎重に縮小していく。


見通しが大きく変化すれば、計画を見直す。


金利


連邦公開市場委員会(FOMC)は、資産買い入れプログラム終了後、短期金利の誘導目標の引き上げ開始との意味での政策の正常化が開始されるまで、かなりの時間がかかるとの見方を示している。


これがいつ実施されるかについて、機械的な方式も行程表もない。FOMCは単にかなりの時間がかかるとしているだけで、どの程度の期間になるのか具体的に示していない。


ただ、FOMCメンバーは、適切な金融政策の下で経済がどのように進展していくか、3カ月ごとにそれぞれの予想を提示しており、これがFOMCでの討議の土台となっている。


大部分のメンバーが、基調的な見通しの下で2015年もしくは2016年に正常化が開始されるとの見方を示している。


<バランスシートの縮小>


(バランスシートの)適切な水準を示すことはできない。FRBのバランスシートは時間とともに現在の水準からかなり縮小していくとFOMCは予想している。


最終的に金融危機前の水準に戻るか、あるいはこれを上回る規模にとどまるかは、(政策の)出口に向けて経験を積む中で決めることになる。


MBSの売却>


おそらく保有規模が極めて小規模な場合を除き、ポートフォリオ上のモーゲージ担保証券(MBS)を売却する意図はないとの考えをわれわれは示してきた。


まだ時期は決定していないが、FOMCはいずれ償還資金の再投資を停止する可能性が高い。そうなれば償還を迎えるに伴い、MBS保有は時間とともに減少する。そのため債券保有の縮小には数年を要する見通しだ。


<長期失業>


成長が加速するとともに、トレンドを上回るペースで継続すれば、長期失業者は減少すると信じて疑わない。


<全般的な失業>


現在、失業は労働市場の状態を見極める上で適切な指標となっている。指標を1つ選ぶとすれば、失業を選ぶ公算が大きい。ただ、労働市場では勘案すべき多くのことが起きている。


例えば、自分の希望に反してパートタイム労働に従事している労働者の数は、労働力全体の5%と、異例に高い水準にある。これは失業率の水準に照らし合わせると、非常に高い。長期失業がこれほどまでに増え、全失業者に対する割合が約35%と、これほど高くなる状況は、かつてなかった。これは尋常ではない。


労働参加率は大きく低下している。ベビーブーマー世代が高齢化し退職する時期を迎え、この世代の労働参加率が低下するなど、人口統計上の構造的な要因も一部ある。



このため、軟調な経済のみにより(労働参加率が)低下したわけではない。ただ、経済の弱さが一部要因になったとは考えている。


<インフレに対するFRBの決意>


すべてのFOMC関係者にとり、1970年代にインフレ率が非常に高まり、当時のボルカーFRB議長がインフレを低下させるために金融引き締めに尽力したことが、(考えを)形成する上での経験として残っている。


FRBの政策が十分に引き締め的でなかったことで、高インフレがインフレ期待の上昇につながった時期も経験した。


われわれは、こうしたインフレ期待の高まりが高インフレが根強く続くことの要因になり、結果的にインフレ率を低下させるコストが非常に高くなる可能性があると考えている。


こうしたことから学んだ教訓は、われわれ全員にとり、非常に現実的なものとなっており、誰もが同様の過ちは犯したくないと思っている。われわれには、これを防ぐための手段と決意があると考えている。


完璧に成し遂げられると言うことはできない。ただ、われわれの目標達成に向けたコミットメントを明確にし、それに対する信頼感を得るため、FOMCは2%のインフレ目標を導入したということは言える。


<世帯形成、住宅ローン金利と住宅市場>


雇用市場および経済が力強さを増すのに伴い、世帯形成は持ち直すと予想している。だが新たな正常水準がどこにあるのかを正確に知ることは難しい。住宅市場の回復継続には、世帯形成が一定度持ち直すことが必要だ。


住宅ローン金利は春から夏にかけて大幅に上昇した。歴史的な水準からは依然として低い。その点において住宅価格はまだ手頃な水準にあり、住宅市場は回復すると見込んでいる。だが回復基調と思われた住宅市場は今や頭打ちとなっている。


<失業率6.5%の数値基準>


利上げ検討の目安とする6.5%の失業率目標は、失業率が8%近辺という、FRBが目指す完全雇用と呼べる状況から程遠い水準にあった時期に導入されたものだ。FRBは、短期金利の誘導目標引き上げの検討には、労働市場が大幅に改善することが必要であると市場に明示することを望んでいた。


ただ、失業率が6.5%に改善した段階でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げると表明したことはない。フォワドガイダンスの変更(失業率目標の数値基準を削除)は、失業率が低下し6.5%に近づいたことが唯一の理由であり、失業率は現在その水準も下回っている。


現時点でフォワドガイダンスに変更はない。FRBが足元、労働市場の状況に対し一段ときめ細やかな対応策を策定していく必要があるということを理解してもらいたい。


金利と財政政策>


景気回復に伴い、短期金利の引き上げが適切となる時期が来ることを想定している。長期金利は時間とともに上昇する公算が大きく、議会は将来の財政負担について検討する際、こうしたことを考慮に入れる必要がある。


<資産バブル>


株式市場全体で見たとき、株価のバリュエーションは歴史的に正常な範囲内にある。長期金利の水準は低く、これは株式市場のバリュエーションに影響を与えている要素の1つだ。適切な水準にはない可能性のある部分もあるが、広範な指標は総じて、明らかにバブルの領域にあることを示唆していない。


<所得格差>


求職者の大半が妥当な期間において、能力を備え自分に合った仕事を見つけられるといった状況になり、労働市場が正常化すれば、われわれができることはもうほとんどない。そのため大規模なバランスシートを維持したり、利上げを控えたりすることはない。


だが一部では、所得分配と不平等の広がりが消費を下押しし、消費の伸びを抑制しているとの見解がある。これに関する明白な証拠を見つけることは難しい。


真実なら、不平等が完全雇用への回復ペースを鈍らせることになり、その点において金利を現行水準に据え置く期間にも影響を与えるだろう。


財政赤字


財政政策を持続可能な軌道に乗せるには、一段の取り組みが必要だ。短期的な財政赤字の削減では、過去数年に前進が見られた。だが人口統計や給付金制度の構造、医療費の歴史的トレンドを踏まえると、長期的には財政赤字が経済規模に比べて持続不可能な水準に膨らむことが予想される。


非常に意見が分かれることは承知しているが、改革案を策定することがおそらく信頼感を支援する。


<労働参加率の低下>


労働参加率の低下は人口統計的かつ長期的であり、今後も継続すると考えている。また純粋に人口の高齢化を反映している。


労働参加率の低下の背景に、労働市場の弱さがあることは明白だ。


労働参加率は上下しているが、概ね安定している。労働参加率が安定していることは、景気循環要因による労働市場の緩みの一部が時間とともに段階的に解消している可能性を示唆している。


3─6カ月の動向から、現在見られるパターンは労働市場の改善と整合すると言える。


<インフレ>


2%はFOMCの長期目標で、継続的にこれを上回る、または下回ることは望んでいない。常にその水準にあるわけではないが、時間とともに2%に向けて緩やかに加速すると見込んでいる。

伝説のFRB議長 ボルカー

伝説のFRB議長 ボルカー

ポール・ボルカー - Wikipedia

1969年、財務省通貨担当事務次官をつとめる。
1971年、ジョン・コナリー長官下の主席財務次官として、キャンプデービッドの合意案を起草し、ブレトンウッズ協定による固定為替相場制の廃止に貢献した。
1975年、ニューヨーク連邦準備銀行総裁をつとめる。
1979年、カーター政権下で連邦準備制度理事会議長に選任され、1983年に続くレーガン政権下でも再任された。
1987年8月、後任のアラン・グリーンスパンFRB議長職を継承。

ボルカー指導下の米国連銀は、1970年代の米国におけるスタグフレーションを巧拙を抜きにして、とにかく終わらせた業績で知られている。

ノーベル賞受賞者であるジョセフ・スティグリッツは、あるインタビューでボルカーについて次のように述べている。


連邦準備銀行理事会の前議長でインフレを制御下に置いたことで知られるポール・ボルカーは、レーガン政権から規制緩和を進めるには不適任と見られて解任された。