https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

イラク 政治対立解消のめど立たず NHKニュース

イラクではイスラム過激派組織の勢力の拡大を招いたとしてマリキ首相に対し退陣を求める声が強まり、マスーム大統領は11日、新しい首相候補に国民議会の副議長でイスラムシーア派のアバディ氏を指名しました。指名された候補は30日以内に内閣を発足させることになっていて、地元メディアはアバディ氏が組閣に向けた協議を始めたと伝えています。
アバディ氏はシーア派だけでなく一部のスンニ派クルド人勢力からの支持も取りつけていて、閣僚ポストの配分などを巡って交渉を進めるものとみられます。
これに対し、マリキ首相は、「指名は憲法違反だ」として最高裁判所に訴えを起こし、退陣を拒否していて、首都バグダッドでは首相の支持者が抗議デモを行うなど状況は緊迫しています。
一方、過激派組織はアメリカ軍の空爆の支援を受けたクルド人部隊などとの戦闘を続けていて、11日には、バグダッドの北およそ100キロのジャラウラを制圧しました。
アメリカ政府などは過激派組織に対抗するため宗派や民族の違いを越えた挙国一致の政権を早急に発足させるよう求めていますが、政治的な対立が解消されるめどは立たず、混乱が深まるおそれも指摘されています。

イラク 新首相候補と現職の対立続く NHKニュース

イラクでは、イスラム過激派組織の台頭を招いたとしてマリキ首相に退陣を求める声が強まり、11日、国民議会の副議長でイスラムシーア派のアバディ氏が新しい首相候補に指名されました。
アバディ氏の指名に対しては、マリキ首相と対立してきたスンニ派勢力の多くが支持を表明しているほか、クルド自治政府のバルザニ議長も12日、アメリカのバイデン副大統領との電話会談で支持する考えを正式に伝えました。また、これまで同じシーア派としてマリキ首相を支えてきた隣国のイランや、周辺国のトルコやサウジアラビアも相次いで支持を表明し、アバディ氏は首相就任に向け内外の支持を固めています。
これに対し、退陣を拒否するマリキ首相は12日、軍や治安機関の幹部を集めて会議を開きました。会議ではマリキ首相が「政治的な問題から距離をとるように」と訓示したとされていますが、一部では、マリキ首相が依然として軍などを掌握していることをアピールし、対立する勢力をけん制するねらいがあったとの見方も出ています。
首都バグダッドでは12日、シーア派住民の多い地域で爆弾テロが相次ぎ、政治的な対立をあおろうとするイスラム過激派の犯行とみられていて、混乱がますます深まる事態となっています。

イラク情勢を巡って、アメリカのバイデン副大統領は12日、クルド人自治政府を率いるバルザニ議長やイラク議会のジュブリ議長と相次いで電話で会談しました。
ホワイトハウスによりますと、この中で、バイデン副大統領は、すべてのイラク人を代表する政権を作るため、新しい首相候補に指名されたアバディ氏と緊密に連携するよう促しました。これに対し、バルザニ議長は、アバディ氏を支持し、協力していく意向を示したということです。また、ジュブリ議長も、イスラム過激派組織に対抗できる政権を作るため、アバディ氏と共に、速やかに取り組む考えを示したということです。
一方、オバマ大統領は12日、カナダのハーパー首相と電話で会談し、イスラム過激派組織に対抗するためにも、イラクの政治指導者が宗派や民族の違いを乗り越えて、挙国一致の政権を作る必要があるという認識で一致しました。アメリカ政府としては、イラク情勢の安定に向けて、挙国一致の政権を早期に発足させるため、働きかけを強めています。

アメリカ軍の空爆は12日も行われ、今月8日から5日連続の実施となりました。アメリカ軍によりますと、12日は、イラク北部のシンジャルで、イスラムスンニ派の過激派組織に対して、無人機で上空から攻撃を行ったということです。過激派組織は、避難しようとするヤジディ教徒の護衛についていたクルド人の部隊に対して、攻撃を仕掛けていたということで、アメリカ軍は空爆で過激派組織の迫撃砲を破壊したとしています。

国連のパン・ギムン事務総長は12日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、イスラム過激派組織に追われ、イラク北部の山岳地帯に逃れた少数派のヤジディ教徒について「国連の支援機関が山岳地帯に航空機で支援物資を投下しているが、人々は悲惨な状況に置かれている。人々は焼け付くような暑さにさらされ、さまよい続けている」と強い懸念を示しました。そのうえで「国際社会はヤジディ教徒を保護するためにあらゆる手段を尽くすべきだ。過激派組織による少数派への組織的な迫害は許されない」と述べ、国際社会にヤジディ教徒の保護を呼びかけました。

新しい首相の選任を巡って政治的な対立が続き、混乱が長期化していることに対し、イスラム過激派組織の襲撃によって家を追われ、2か月以上も避難生活を強いられている人たちからは、いらだちの声が上がっています。
クルド人自治区の中心都市アルビル郊外の建設途中のビルには、第2の都市モスルから逃れてきた住民、およそ1000人が身を寄せていて、厳しい暑さに耐える生活を続けています。避難している男性の1人は、「ここでの生活は本当に悲惨だ。バグダッドの政治家たちはわれわれの願いになんて何一つ答えようとしない」と話していました。また、別の男性は、「私たちにとってはスンニ派シーア派も関係ない。宗派を利用して争っているのは政治家だけだ。早く新政府を作り家に帰れるようにしてほしい」と怒りをあらわにしていました。
一方、これまでマリキ政権と北部の油田地帯の領有などを巡って対立していたクルド人自治区の住民からは、マリキ首相に代わる新しい首相候補が指名されたことに歓迎の声が上がっています。24歳のクルド人の男性は、「誰が首相になってもマリキ首相よりはましです。新しい政府がイラクに安全を取り戻してくれることを願います」と話していました。