イラク北部では、イスラム教スンニ派の過激派組織が北部のクルド人自治区の中心都市アルビルに迫っているのに対し、政府軍が反撃し、アメリカ軍も過激派組織に対する限定的な空爆を続けています。
こうしたなか、過激派組織は少数派のヤジディ教徒などへの迫害を強めており、国連によりますと、イラク北部では今月だけでも２０万人以上が避難を余儀なくされ、多くの人が山岳地帯で身動きがとれなくなっています。
このため国連は１４日、イラクで起きている人道危機を最も高い「レベル３」に指定したことを明らかにしました。
「レベル３」は、国連が、世界の人道危機の中で最も規模が大きく、支援の緊急性が高いとするもので、現在、同じレベルに指定されているのは、シリアや南スーダン、中央アフリカにとどまっています。
イラクで国連の特使を務めるムラディノフ特別代表は、声明で「イラクの人道危機の規模や複雑さに対応し、物資や資金の追加支援を速やかに進める必要がある」として、人道支援に携わる国連機関が総力を挙げて取り組む姿勢を強調し、国際社会に一層の協力を呼びかけました。
