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米国務省はなぜ、ドンバス義勇軍が避難民を射撃というニュースに鈍い反応を見せたのか - The Voice of Russia

ウクライナ国家安全保障・国防会議は、ドンバスの義勇軍が避難民を乗せた車列を22mm自走多連装ロケット砲BM-21「グラード」で殺戮したという声明を表した。この情報に対して米国務省のとった反応は特筆に価する。米国は一般市民の殺害を糾弾しながらも、従来のように「親ロシア派の分離主義者」に罪を着せることは急がなかった。


ウクライナ政権は、ドネツク武装戦闘員が児童を含む民間の避難民を乗せた車列を待ち伏せし、白旗が掲げられていたにもかかわらず、ロケット砲による砲撃を行なったという情報をプレスに流した。その結果、数十名が殺害され、中には生きたまま火に焼かれた市民もいたというのだ。これに際する証拠資料は一切提出されていない。これに対し、ドンバスの義勇軍の代表者らは銃殺のニュースを煽動かつ虚実であるとし、自分たちは事件がおきたとされる地区にグラードを差し向ける可能性を有していなかったと答えた。ところがこれに対する米国務省の反応は特筆に価する。


まず、米国務省は直ちに一般市民の殺戮を糾弾した。これまで米国政権はウクライナ南・東部においてウクライナ軍の砲撃、銃撃によって何十人も一般市民が殺戮されているニュースが入ってきても、これを強硬に無視し続けてきた。米国務省はロシアのチュルキン国連大使がこれについて表す声明を無視してきており、これと並んでおびただしい数の人権擁護団体も、本来はこうした醜態と闘うべき存在であるはずなのだが、やはり強硬にこうした事実に目を向けてこなかった。ところがキエフ当局が「分離主義者」の犯罪をあたかも知っているような声明を表すと、米国はこれを無視することはできなくなった。事実上、これは義勇軍と、あたかもその背後にいるとされるロシアを批判する新たな根拠に映ったからだ。


第2に米国はこうした機会をまだ利用したことがなかったため、今のところ避難民を銃撃した犯人はわからないことは認めている。つまり、ドンバス上空でマレーシア機が撃墜されたあととは異なる反応を見せたわけだ。あの時は、米国はキエフ当局とともに悲劇の罪を直ちに義勇軍とロシアに着せた。なぜ米国人は急に、証拠探しに躍起にならず、何の根拠もなしにウクライナの罪をすべてロシアに着せてきた今までの態度を変えたのか? これはおそらく、マレーシア機の謎の事件の調査にかかわる専門家らが余りに長い間沈黙を守っていることと関係があるのではないだろうか。仮に、マレー機を撃墜したのが義勇軍であるという説に有利な証拠が何かの形でも見つかっていれば、すでにマスコミに衝撃的ニュースとして流されていたはずだ。だがこれが未だに起きていないということはマレー機撃墜が義勇軍とロシアの手で行われた証拠はなく、そのかわりこれがウクライナ軍人によって撃墜されたことを示すなんらかの兆候が見られたのだろう。そうであれば、性急にロシアを非難し、対露制裁の連続的な発動にまでこぎつけた米国は馬鹿を見たことになる。根拠のない新たなロシア非難を展開し、自分の立場を複雑化させることを危ぶんでいるのは間違いない。


連合国だけでなく、時には敵対者に耳を傾けることも有益だ。もし義勇軍とロシアが「マレー機」を撃ち落しても自分らには何の得にもならないというのであれば、あれはキエフ当局の扇動であった可能性があり、それについては立ち止まって考えねばならない。それに義勇軍もロシアの専門家らも「マレー機」の後、キエフ当局からは新たな扇動がありえると警告を発していたではないか。これについても注意を傾ける必要があったのだ。だが米国はそれをしなかった。結果、新たな扇動はまもなくしてやってきてしまった。そして避難民の車列をドンバスの義勇軍が銃撃したという「デマ」も、おそらく扇動だったのだ。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140819#1408446613