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セブン-イレブン、勝ち続けられる理由とは? | インタビュー | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 今、消費は飽和の状態。そこで値上がりがあるとやはり心理的な抵抗がある。だから新しいもの、食べる物ならおいしいものを作らなくちゃいけないということを昨年から言い続け、準備をしてきた。その結果、セブン-イレブンの既存店売上高はずっと昨年を上回っている。どういう施策をとってきたかで、同じ業界の中でも相当な差が出ているのではないか。

 やはり基本が重要だ。たとえばセブンでは店を出すときにドミナント(一つの地域に集中して店を出す戦略。効率的な商品供給が可能になる)といって、密度を高くしながら出店してきた。全国制覇は重要ではない。基本を積み重ねていくことが大事。商品も、マーケットに合う商品をきちっと作れば伸びていける。同業他社ではなくて、お客さんが変わっていっている。それに合わせればいい。

だから、ほかが店を出すからうちは出さない、ということは考えない。僕は社員に「既存店の売り上げが落ちるようだったら、もう出店はやめる」と言っている。今年の8月は天候不順で清涼飲料の売り上げが非常に落ちた。でも全体ではカバーできた。震災などやむを得ない事情では売り上げが落ちても仕方ないが、それ以外の理由で2カ月も3カ月も落ちるようだったら出店は止める。


なぜならわれわれはフランチャイズ(FC)ビジネスだからだ。われわれ本部が儲かればいいということじゃない。FCビジネスは、加入していただいているオーナーさんたちも一緒に利益が上がらないといけない。本業をおろそかにしてほかのことをするのは邪道。


特に他社の研究をしているわけではないが、既存店の売り上げが伸びていないのに成長することはあり得ない。なぜならスーパーでもコンビニでも、大きいところだけが残って小さいところだけが潰れるなんていうことはあり得ない。一番大きかったダイエー西友はどうなったのか?一方で街のスーパーはまだたくさん残っているでしょう。

昔は東京で売れてますと言うと、地方でも売れた。スーパーでもファッションでもそう。でも今はむしろ、地方の人はローカルのもの(を欲しがる)。物産展なんかには結構たくさんのお客さんが集まる。

世の中は変わるから、人口が減るならそこにチャンスがある。一番わかりやすいのは老齢化。歳をとると食べる量が減り、好みの味も変わってくる。すると加工技術や調理方法も変えなくてはならない。それと、主婦や若い人で免許を取らない人が増えている。年配の人も運転をしない。すると(郊外の)ショッピングセンターの需要がなくなる。


その代わりに生まれてきたのが宅配サービスだ。われわれが行っているセブンミール(食事宅配サービス)は、もう10年も前にやれと言った。みんな最初はブーブー文句を言って、私の耳にまで聞こえてきた。だけどやりなさい、必ず必要になるからと言った。そして今、これが伸びている。目の前のことに合わせてはダメ。将来どうなるのかを考えなければいけない。人口が減る、老齢化する、一つ一つ対応していけば多くの仕事が生まれてくる。

商品の寿命もどんどん短くなっている。昔は富士山型で、その後は茶筒型、今はペンシル型でさっと出てさっと消える。これは今後も続く。今日も僕は、たらこのおにぎりを試食した。たらこのおにぎりは前からあるが、新しく出したものは本当にやわらかくほぐしてあり、同じたらこでも全然違うものを食べている気がする。そういうふうにどんどん研究しながら変えていく。


 おいしいものは飽きる。たとえ一流のレストランの食事だとしても、毎日同じものを食べていたら飽きてしまう。こうした状況に対応していくために、ベンダー(商品を製造・供給する企業)にも常に技術開発が求められる。一般的には資本を入れて、工場を押さえたりするが、われわれは食品ベンダーに積極的に資本を入れない。なぜなら、ベンダー側にセブン-イレブンやイトーヨーカ堂との取り引きをしたくないと思ったらいつでも切ってください、と。一方でわれわれも、皆さん方にいい商品をつくっていただけない、注文したことをやっていただけなかったらお別れします、と。要するにお互いに緊張感が必要だ。

 さしあたって言えば、小売業の近い将来の終着点はオムニチャネルだ。どこにいても自分の思う商品が手に入るということ。

ネット専業業者は商品を送っているだけ。サービスや説明はない。オムニチャネルはネット+サービス。単純なネットとは違う。ネットで服を買ったが、サイズが合わなかったり、色が想像と違ったりしたら、自分で包装して送り返さなければいけない。でもセブン-イレブンに持っていけば、全部やってくれて送料も安いということが今後は実現できる。


サービスが重要な時代に、ネットだけではだめだ。米国では、アマゾンからの要請でセブン-イレブンに受け取り用ロッカーを置いている。アマゾンにはそういうリアルな拠点がないということ。だからオムニチャネルがネットと同じだとか、競合するということはまったくない。

前から言っているように、セブン-イレブンの店はよく見るけれども、同業他社の店を見たことはない。僕はマーケットの変化に対応する店を作っているわけで、同業他社との競争ではない。過去にスーパーがそうした競争をやってきた。その結果、価格競争に陥っておかしくなってしまった。そういう教訓があるから、同業他社を見る必要はない。他社と比べても日販(一店あたりの1日の平均売上高)で10数万円の開きがある。それはマーケットを見つめているからで、同業他社は関係ない。

そごうなど百貨店はこれからは卸問屋頼みではだめ。PBに注力させている。過去に売り手市場であったときは問屋に発注した商品を売ってきた。楽してやってきた。その癖が抜けない。セブン-イレブンの場合は問屋に頼んでも商品が入って来なかった。どんぶりやハタキを並べて、食べ物だったらおにぎりやカップラーメンを置いた。何を取り扱ったらいいか自分たちで開発してきた。一方、百貨店はメーカーや問屋に頼めば商品が入るという癖が抜けない。これからはいくつか潰れていくと思う。自己差別化できた百貨店だけが生き残る。

5年後のことはわからない。ある程度見通して仮説を立てて、変化に対応できればどんどん伸びていく。ただそれをちょっとでもサボると、すぐにドロップアウトする。だから常に神経を張り詰めて世の中の変化を見定めながら、一歩一歩進んでいく以外にない。

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