FRBは、国債などを買い入れて市場に大量の資金を行き渡らせる「量的緩和」の終了を先月下旬の公開市場委員会で決定し、異例の政策対応に区切りをつけました。
FRBが19日に公開した議事録によりますと、このときの会合では、ヨーロッパや日本の景気減速や株価の急落など不安定な動きが広がれば、アメリカ経済にも影響が及びかねないという懸念が指摘されていました。
ただ、会合参加者の多くは、今のところアメリカの景気や輸出などへの影響はごく僅かに限られるうえ、原油価格の値下がりが同時に進みプラス面も見られると判断していました。
そのうえで、景気や雇用情勢の改善傾向を踏まえ、会合では予定どおり量的緩和の終了を決めていました。
一方、市場が注目する「ゼロ金利政策」を解除して利上げに踏み切る時期について、FRBは、先月はこれまでと同じ文言を使って「相当な期間続ける」という方針を維持しました。
会合では、早期の利上げに備えて文言を削除するべきだという意見も出ましたが、金融市場が政策転換と受け取って混乱しかねないという慎重な意見が多く、変更は見送られていました。
米FOMC、長期目標の文言・対話方法の修正を議論=議事要旨 | Reuters
19日公表された10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、米連邦準備理事会(FRB)当局者が長期目標に関する声明文言の変更をめぐり議論したことが明らかになった。金利の道筋や経済見通しに関する市場との対話方法についても見直しが討議された。
だが議事要旨では「現行の声明文言は、コミュニケーション手段として非常に上手く機能しているとの見方で総じて一致した」としており、長期目標の調整には「高いハードル」が存在すべきとの議論に概ね落ち着いた。
2%のインフレ目標をめぐっては、2%をやや下回る状況は、2%をやや上回る状況と同様の代償を伴うとの「幅広い合意」があるとしている。またこの見解は、国民にもすでに共有されていると多くの当局者が認識しているとした。
金融安定の目標を声明に盛り込むことも提案されたが、早期に結論を出すのは困難として見送られた。
さらに経済見通しをめぐり、FRB当局者のコンセンサス予想を示すことを検討すべきとの指摘も上がった。これについては過去にも議論され、見送られた経緯がある。