福島第一原発の建屋から「トレンチ」と呼ばれる地下のトンネルに流れ込んでいる高濃度の汚染水について、東京電力は当初、一部を凍らせるなどして流れをせき止めたうえで汚染水を抜き取り、セメントで埋める計画でした。
しかし、今月6日に工事が完了したあとも建屋内の汚染水の水位が動くとトレンチの水位も動く状態が続いていて、流れがせき止められていないとみられています。
この問題について東京電力は21日開かれた原子力規制委員会の会合で「完全な止水が確認できていない」として、氷などで汚染水をせき止める対策を断念する考えを示しました。
そのうえで、今月下旬から汚染水が入った状態のままセメントを流し込み、トレンチを埋める作業と汚染水を抜き取る作業を並行して進めたいと提案しました。
これに対して委員からは「汚染水の通り道が残らないようにセメントを流し込めるのか」とか「固まったあと、ひび割れができるおそれはないのか」といった懸念の声が出され、議論の結果、年末にいったん作業を止めて効果を確かめることで東京電力の案を了承しました。
さらに委員からは、「汚染水を凍らせようとしたこれまでの取り組みは何だったのか」といった声も上がり、東京電力は当初の計画からの経緯を今後、改めて報告することになりました。