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第232回 目に見えないもの|塾長雑感

民主主義も立憲主義も目に見えない価値です。法律家は具体的に目に見える当事者の不利益や困難を救済するために仕事をします。ですが、ときに目に見えないものを大切にすることがあります。当事者も自分が本当は何を望んでいるのか気づいていないときがあるからです。


企業の新商品開発においても、顧客にすら見えていない欲求に応えることができればその商品は大ヒット間違いなしです。「人は見せてもらうまで何がほしいかわからないものだ」というスティーブ・ジョブズの言葉は、iPodスマホを見て初めてこれだと思った人には実感できるのではないでしょうか。どんな世界であっても、人の心の奥底が見える人が一流であり、達人なのです。気配りによって相手の真に望んでいるものを見つけることができる。目に見えないものを見ることができる。そんな本当のプロを目指したいものです。


私たちはこの国で真の民主主義も立憲主義もこれまで経験したことがありません。まだ見たことのない世界です。ですが、こうした目に見えない価値のために闘うことには意味があると思っています。当事者である個人や会社が本当に必要としていることを見つけてそれを実現するのと同じように、国家や市民社会が真に必要としていることを見つけてそれを実現するための努力を惜しまないことも法律家の仕事だと考えるからです。