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ウォーレン・バフェットからビル・ゲイツに渡された「最高のビジネス書」とは|人と企業はどこで間違えるのか?|ダイヤモンド・オンライン

2014年夏、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツは、自身のブログ「gatesnotes」で『Business Adventures』という1冊の本を紹介した。20年以上前にウォーレン・バフェットから推薦されたもので、以来「最高のビジネス書」として愛読し続けているという。ともに世界で1、2を争う大富豪であり、伝説的なビジネスマンと投資家である2人がそろって絶賛する本ということで、世界的に大きな話題となった。
その日本語版である『人と企業はどこで間違えるのか?』の出版にあわせ、翻訳者の須川綾子氏に同書の魅力と概要を解説していただいた。

 本書の各章で取り上げられているのは、いずれもアメリカ経済史の転機となるような出来事だ。株価大暴落、不祥事、法廷闘争、マーケティングの失敗例といった史実に関する記録なのだが、40年以上の時を経ても、それぞれの物語に時代を超えた普遍性がみられるのは驚くべきことである。

 本書の素晴らしい点は、半世紀近くたったいま読んでも、単に歴史的事実の記録にとどまらず、それぞれの出来事の裏側にある人間的な側面が鮮やかに伝わってくることにある。著者は丁寧に取材を重ね、成功と失敗の物語に隠された苦悩や葛藤に斬り込み、また一方で、有能であるはずの各界のリーダーたちがどうして道を誤ったのか、多くの示唆を与えてくれる。ブルックス氏の文章はあくまでも抑制されたものであり、お説教めいたことを書き連ねたり、声高に何かを主張したりするわけではない。登場人物たちの心の機微を感じ取るのは読者の役割であり、それが本書を読むことの一つの醍醐味にもなっているように思う。

 時代は変わる。しかし、人間の本質はそれほど変わらない。ブルックス氏は17世紀のユダヤ人商人の著作を引用したり、シェイクスピアをはじめとするエリザベス朝演劇のモチーフを引き合いに出したりするが、そんなところにも人間の普遍性を見つめる姿勢が表れているように思われる。本書に記された歴史的な成功や失敗の経験には、ビジネスという冒険に踏み出す誰にとっても貴重な教訓があるはずだ。本書はこのめまぐるしい現代においてしばし立ち止まり、よりよい方向に進路を取るための助けになるのではないだろうか。