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アングル:OPECの忍耐力試す米シェール業者のヘッジ再構築 | Reuters

原油価格をめぐり、米国のシェール生産業者と石油輸出国機構(OPEC)の神経戦がし烈になってきた。こうした中でOPECの有力加盟国は、シェール業者のヘッジポジションが満期を迎え、価格急落に対する「盾」がなくなる状況が訪れるのを指折り数えて待ち構えている。


しかしこのヘッジポジションはいわば移動する標的であるため、OPEC側は自分たちが認識しているよりもかなり長い辛抱が必要になるかもしれない。というのも事情に詳しい業界コンサルタントやバンカー、アナリストなどの話を総合すると、多くの石油会社はこれまでのヘッジポジションが期限切れとなるのを座視はせず、うまい具合に組んだ過去のポジションで生じた利益を使って、積極的なヘッジの再構築に乗り出している。


OPECとしては、米石油会社が商取引において昨年6月以降で50%超という価格下落の影響を全面的に受ける事態となれば、新規油田の掘削を縮小するので、その結果として米国の石油生産が頭打ちとなって足元で1バレル=50ドル割れを試しつつある原油価格が底を打つと期待している。


アラブ首長国連合(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は先月、ロイターなどに対して「2015年初め、ないし15年末までヘッジを組んでいる企業があるので、少なくとも15年第1・四半期まではどういった事態が起きるのか見定めたい」と語った。


ただ、OPECの期待は主に数カ月前に出された企業の四半期報告に基づいている。それ以降も原油価格は反発の兆しを見せなかったことで、少なくとも一部の石油会社は価格下落に備えて新たなヘッジポジションを構築し、当初の想定よりも長く掘削作業を続けられる態勢にある。


ヘッジ取引に関わっている大手米銀の一角を占めるシティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)のコモディティ調査グローバル責任者、エド・モース氏は「OPECは15年上半期に米国のシェール生産の伸びに何か(価格下落の)影響が出てくると予想すべきではなく、下半期の生産の伸びに対する影響も業者側のヘッジによって薄れつつある」と述べた。


<ポジション延長の好機>


今のところヘッジの再構築に取り組んでいる具体的な企業はわからない。それが判明するのは1月終盤の四半期決算になるだろう。


ただソシエテ・ジェネラル(ヒューストン)でエネルギーデリバティブ販売部門を率いるクレイグ・ブレスロー氏によると、これまでにエネルギーデリバティブの取引量と取引額はいずれも大きく膨らんでいる。


石油会社や他の非金融企業が米原先物・オプション市場で構築したネットショートポジションは、昨年8月時点の1500万バレルから先週には7700万バレルまで拡大した。


EOGリソーシズ(EOG.N: 株価, 企業情報, レポート)やアナダルコ・ペトロリアム(APC.N: 株価, 企業情報, レポート)、デボン・エナジー(DVN.N: 株価, 企業情報, レポート)、ノーブル・エナジー(NBL.N: 株価, 企業情報, レポート)といった石油会社が直近で提出した書類をみると、これらの企業は2015年生産分の一部の販売価格が1バレル=90ドルかそれ以上になるようなヘッジポジションを組んだ。


そして原油価格が下がる前に「イン・ザ・マネー」でヘッジした多くの企業にとっては、今の下落基調は利益を確定したり、ポジションを延長する好機になっている。


例えば15年の一部生産分について1バレル=90ドルでスワップを売り建てた企業は、現在1バレル=57ドル程度で買い戻すことが可能で、バレル当たり約33ドルのもうけが出ている。


石油会社の中には、この利益を懐に入れる代わりに将来の値下がりに備えるために今の価格水準に近いスワップとオプションを購入する原資に充てる動きも見られる。


一方、昨年12月30日には小規模な石油会社のアメリカン・イーグル・エナジー(AMZG.A: 株価, 企業情報, レポート)が、手元資金を厚くするために過去に89.59ドルでヘッジしていた41万4000バレルの原油を売却して1300万ドルの利益を得たが、価格が持ち直すまで掘削を中止せざるを得なくなると表明した。


こうした現象こそOPECが望んでいる価格下落の効果ではあるものの、米石油業界にとってこれは今のところ一般的というよりは例外といえる。


あるペルシャ湾産油国のOPEC代表筋は「米企業の(ヘッジ)状況は強力で、原油価格下落の影響を後ずれさせるだろう」と漏らした。