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焦点:支援合意で譲歩のギリシャに同情論、残る「離脱リスク」 | Reuters

サッカーの2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会準決勝で、ドイツがブラジルに7対1で圧勝した試合は、観戦していても気まずいものだった。ドイツなどユーロ圏諸国が20日、ギリシャと合意した支援策の4カ月延長にも、これと同じような居心地の悪さが漂っている。


今回まとまった合意は、ギリシャに要求をほぼすべてのませたドイツのいわば完封勝利だ。しかし、これは言うなれば「気持ちの良い」勝利ではなく、ユーロ圏の明るい未来を約束するものでもない。

ギリシャのチプラス首相とバルファキス財務相にとっての敗因は、強気に出過ぎたことだ。財政緊縮策を撤廃し、同時にユーロ圏にもとどまるという主張は、最初から現実味がなかった。どちらかを犠牲にしなければならないことは当然であり、ギリシャ国民の過半数がユーロ圏残留を望むなか、緊縮策のほうで譲歩せざるを得ないことは自明だった。


一方、ドイツにも「やり過ぎ」感があることは否めない。ショイブレ独財務相が、ギリシャが当初提示した融資延長案を公の場で拒絶した際には、ユーロ圏の他の国々のほか、メルケル独首相も驚いたという。


ショイブレ財務相ギリシャ案を却下したこと自体は問題ではないが、非公式に却下の意向を伝えるのではなく、交渉が微妙な段階に入るなか公の場で「ダメ出し」したことに関係者は驚きを禁じ得なかった。


ギリシャは完全に面目を失うこととなった。ギリシャの譲歩で4カ月の延長がまとまった20日、ショイブレ独財務相は「ギリシャ有権者への説明に苦労するだろう」と、傷口に塩を塗るような発言をした。


チプラス首相は国民向けの演説で、財政緊縮策からの脱却に向けた第1歩だと主張。今回の合意を勝利と演出することに躍起になった。

急進左派連合(SYRIZA)の極左メンバーはこれまでのところ、チプラス首相がのまされた譲歩について沈黙を保っている。ただこれから不満が噴出し、ギリシャ連立政権の基盤が揺らぐ可能性もある。


チプラス首相は支援延長合意について、今後数カ月に戦うべき戦闘の1つに過ぎないとしているが、少なくともその点においては正しい。


ギリシャは23日に改革案を提出。欧州連合(EU)/国際通貨基金IMF)/欧州中央銀行(ECB)で構成する「トロイカ」の承認が得られれば、各国議会の可決を経て支援延長が実現することになる。


トロイカは4月末にも、ギリシャ政府が改革案を約束通り実行したかどうかを検査し、支援策の最後のトランシェ実施の是非を判断する。


6月には、今回延長した第2弾支援の枠組みが期限を迎え、ギリシャには支援策脱却のチャンスが到来する。しかし、今夏に多額の国債償還が控えることを踏まえると、新たな財政目標や経済改革を条件とする第3弾支援プログラムに移行することはほぼ不可避と見られている。


今回の支援延長に至るまでの厳しい交渉で、ギリシャとドイツの関係はますます冷え込んでおり、先行きの交渉は容易ではないだろう。

ブリュッセルの一部高官によると、ショイブレ独財務相ギリシャのバルファキス財務相の関係は修復不可能なレベルまで悪化している。


ドイツとギリシャの対立がさらに激化した場合には、市場関係者らの間で「Grexident (accidental Greek exit)」とささやかれている事態が起こるかもしれない。つまり、非難の応酬の結果、ギリシャがユーロ圏から突発的に離脱して金融市場が動揺、ギリシャの銀行に取り付け騒ぎが発生することだ。


ドイツの高官によると「先週はこのシナリオに接近した」という。